
ドローン多人数訓練、複製申請の極意
このページはX(エックス)の投稿を深堀り解説したブログ記事です。
【多人数の訓練飛行】申請を代行依頼すると費用もかさみます。先日の高校生の校庭訓練ではまず当方で個別申請を1件許可取得し以降の多人数分は複製申請して貰います。訓練の実施方針や詳細経路図等々を載せた飛行計画書や具備資料も微調整しつつ再利用します。人数がかさむ時はこれがお勧めです。
— drone高難度申請 矢野事務所 (@drone_nippon) June 23, 2025
ドローン産業の成長とともに、企業研修や学校教育、あるいはプロを目指す個人の育成など、多人数でのドローン訓練の需要が急速に高まっています。
しかし、多人数での訓練飛行は、安全確保のための準備はもちろんのこと、航空法に基づく飛行許可申請の費用と手間がかさむという現実的な課題を伴います。
先日、私自身の情報としてSNSでも触れましたが、この「多人数の訓練飛行」の許可申請を効率化する非常に効果的な方法があります。
それは、まず個別申請を1件許可取得し、以降の多人数分は複製申請を活用するという戦略です。
さらに、訓練の実施方針や詳細経路図等々を載せた飛行計画書や具備資料も微調整しつつ再利用することが、申請業務の負担を大幅に軽減する「極意」と言えるでしょう。
このページで分かること
多人数訓練のニーズと課題
ドローンの普及、特に国家資格制度の導入は、安全で質の高い操縦者を求める声を高めています。
これにより、ドローンスクールではもちろんのこと、自社でドローン運用を行う企業や、教育機関でも、複数人が同時にドローンの操縦訓練を行う機会が増えています。
しかし、このような多人数の訓練飛行も、航空法上の「特定飛行」に該当する場合(例:人口集中地区内、夜間、目視外など)は、国土交通大臣の飛行許可・承認が不可欠です。
操縦者の人数が増えるほど、それぞれの申請手続きや、管理業務にかかる費用と手間が比例して増大するという課題が生じます。
申請効率化の「秘策」:複製申請
この多人数訓練における申請業務の課題を解決する「秘策」が、ドローン情報基盤システム(DIPS)の「複製申請」機能の活用です。
- 「まず1件許可取得」の重要性
最初に、代表者(または代表的な訓練生)1名と、代表的な機体、訓練内容、飛行経路などを盛り込んだ個別申請を完璧な形で作成し、許可を取得します。この最初の1件が、その後の複製申請の「マスターテンプレート」となります。 - DIPS複製機能の活用
DIPSでは、一度許可された申請内容を複製して、新しい申請を作成することができます。この機能を使えば、一から申請書を作成する手間を大幅に省けます。 - 多人数申請への応用
この複製機能を使って、2人目以降の訓練生の申請を作成するのです。氏名、機体番号など、個人や特定の情報のみを修正すればよいため、申請作業にかかる時間を劇的に短縮できます。
この戦略は、「人数がかさむ時」の費用と手間を軽減する上で、非常に有効な手段となります。
資料再利用の工夫
申請業務の負担は、DIPSへの入力だけでなく、飛行計画書や安全確保体制に関する様々な資料の作成にもあります。
しかし、これらも「微調整」しながら再利用することが可能です。
- 飛行計画書の再利用
訓練の実施方針、具体的な訓練内容、詳細経路図、リスクアセスメントの結果など、共通する項目が多い飛行計画書は、テンプレートとして再利用できます。個別の訓練生の情報(氏名、機体番号など)や、訓練日程のみを「微調整」します。 - 具備資料の再利用
飛行マニュアル、安全確保体制図、機体情報、操縦者の技能証明など、一度作成した資料の多くは、内容が共通していればそのまま、または一部修正して再利用できます。特に、標準マニュアルをベースにした独自マニュアルであれば、その改訂版を作成し、複数人での訓練に合わせた項目を追加・調整することで、効率的な管理が可能です。
文書管理の観点からも、これらの資料を適切にテンプレート化し、バージョン管理を行うことで、今後の申請業務をさらに効率化できるでしょう。
効率化と安全確保の両立
申請業務の効率化は、事業運営において非常に重要ですが、安全確保の手を抜いてはならないことは言うまでもありません。
複製申請や資料の再利用は、あくまで「安全が担保されている」ことを前提とした、手続き上の工夫です。
多人数の訓練においては、以下の安全管理のポイントを徹底することで、効率化と安全確保を両立させることが可能です。
- 詳細な訓練計画の策定
訓練内容に応じたリスクアセスメントを綿密に行い、具体的な安全対策を計画に盛り込みます。 - 適切な訓練場所の選定
飛行エリア、立入管理が容易で、周辺環境への影響が少ない場所を選定します。 - 指導者・補助者の適切な配置
訓練生の人数、訓練内容に応じて、指導者や補助者を適切な人数配置し、それぞれの役割分担を明確にします。 - 緊急時対応訓練の徹底
万が一の事故やトラブルに備え、緊急時の対応手順を訓練生全員で共有し、定期的な訓練を実施します。
まとめ
ドローンの多人数訓練における飛行許可申請は、DIPSの複製申請機能と資料の再利用を賢く活用することで、費用と手間を大幅に削減できる「極意」が存在します。
この効率化は、ドローンスクールや企業研修など、多人数でのドローン運用を推進する上で大きな助けとなります。
しかし、この効率化は、安全確保の責任を軽減するものでは決してありません。
むしろ、効率化された手続きの裏側で、徹底した安全管理体制の構築と、訓練内容に応じた計画の綿密な微調整が不可欠となります。
多人数での安全かつ適法な訓練を推進し、質の高い操縦者を育成することで、ドローン産業のさらなる発展に貢献していきましょう。
行政書士矢野法務事務所は「個別申請を専門とする事務所」です。
全国の運航事業者やテレビ局、映像会社から「スポーツ中継・高高度・花火大会・空港周辺・ドローンショー・レベル3.5飛行、レベル3飛行、その実証実験等々」包括申請では飛ばせない様々な個別案件の申請をお引き受けしています。期限の決まっている飛行などは特に当事務所にご依頼頂き確実な飛行許可申請をなさってください。
【免責事項】
○当サイトのコンテンツや情報において可能な限り正確な情報を掲載するよう努めておりますが、 誤情報が入り込んだり古くなったりすることもあり必ずしもその内容の正確性および完全性を保証するものではございません。当該情報に基づいて被ったいかなる損害について、一切責任を負うものではございませんのであらかじめご了承ください。
○当サイトから移動された先のホームページは、当サイトが管理、運営するものではございません。移動先サイトで提供される情報の真偽、サービス等につきましても一切の責任も負いませんのでご了承ください。なお、予告なしに内容が変更または廃止される場合がございます。