
ドローン許可申請のDIPSが問う5つの適格性
【操縦者の適格性】のうち飛行歴10時間以上を除いた他の4項目が一つでも「否」の場合は申請には進めません。まず特定飛行にならない飛行で各々を習得して全て「適」にしてからです。但し訓練飛行の申請は、一旦「適」として進め、別途代替策を記述するかor紙申請が可能です。航空局の助言です。
— drone高難度申請 矢野事務所 (@drone_nippon) June 18, 2025
ドローンの許可申請で、多くの人がつまずくポイントがあります。
それは「申請に進めない」状態になることです。
DIPS(ドローン情報基盤システム)では、操縦者の適格性について5つの項目が問われますが、このうち1つでも「否」があると、申請は止まります。
つまり問題は、「どう申請するか」ではなく「申請できる状態かどうか」です。
ここを理解せずに進めると、書類を整えても入口で止まるという事態が起きます。
飛行経歴10時間以上だけが問題だと思われがちですが、実際にはそれを含む5つの適格性すべてが問われます。
本記事では、DIPSの質問に一つずつ「適」と答えられる状態とは何か、その実務上の意味を整理します。
このページで分かること
DIPSが問う!操縦者の5つの「適格性」と習得法
それでは、DIPSで実際に問われる5つの「適否」項目について、その具体的な内容と、それぞれを「適」にするためのポイントを見ていきましょう。
1. 飛行を予定している無人航空機の種類別に、10時間以上の飛行経歴を有しており、意図した飛行経路を維持しながら無人航空機を飛行させることができる。
- DIPSの意図
使用するドローンと同種(例:マルチコプター、固定翼、ヘリコプター)の機体で10時間以上の操縦経験があり、計画した経路を正確に飛べる、基本的な操縦技能があるかを確認しています。 - 「適」にするには
まずは、購入したドローンと同種の機体で、許可不要な場所(DID地区外、目視内、人・物から30m以上離れた場所など)で徹底的に訓練を重ね、安定した離着陸、ホバリング、各種方向への移動、意図した場所への正確な飛行といった基本動作を習得しましょう。ドローンスクールでの実技講習も非常に有効です。
2. 航空法関係法令に関する知識及び安全飛行に関する知識を有している。
- DIPSの意図
ドローンに関する航空法規(特定飛行の要件、飛行禁止空域、罰則など)に加え、気象(風速、気圧、雨、雷など)、電波、バッテリー、機体特性といった安全飛行に必要な幅広い知識があるかを確認しています。 - 「適」にするには
- 航空法: 国土交通省のウェブサイトで公開されている航空法の無人航空機に関する部分や、飛行マニュアル、Q&Aなどを熟読しましょう。
- 安全飛行: 気象予報の見方、バッテリーの正しい充電・保管方法、電波干渉のリスク、機体の日常点検・整備方法など、座学だけでなく実践的な知識を身につけることが重要です。ドローンスクールでの座学講習は、これらの知識を体系的に学ぶ上で非常に役立ちます。
3.飛行させる無人航空機について、飛行前に、次に掲げる確認を行うことができる。
・周囲の安全確認(第三者の立入の有無、風速・風向等の気象 等)
・燃料又はバッテリーの残量確認
・通信系統及び推進系統の作動確認
- DIPSの意図
実際に飛行を開始する前に、安全を確保するための具体的な確認手順と能力があるかを確認しています。これは、ルーティンとしての確認作業の重要性を示しています。 - 「適」にするには
- チェックリストの活用: 飛行前点検チェックリストを必ず作成し、それに沿って周囲の状況(人や物件の有無、風速・風向)、バッテリー残量(複数回フライトの場合の予備バッテリー含む)、プロペラの装着状況、通信状態、モーターの異音などを確実に確認する習慣をつけましょう。
- 実践的な訓練: 訓練中に毎回、これらの項目を声に出して指差し確認するなど、徹底した安全確認のプロセスを体に覚え込ませることが重要です。
4. 飛行させる無人航空機が遠隔操作の機体である場合、GPS等の機能を利用せず、安定した離陸及び着陸ができる。適 否 遠隔操作は行わない
- DIPSの意図
GPSなどの補助機能に頼らず、手動で機体を制御し、安定して離着陸できる純粋な操縦技能があるかを確認しています。GPSが効かない場所や、電波障害が発生した緊急時に対応できる能力が問われます。 - 「適」にするには
GPSモードをオフにした状態(ATTIモードなど)で、離着陸訓練を繰り返し行いましょう。特に、風の影響を受けやすい状況下での手動操縦能力を高めることが重要です。ドローンスクールでは、ATTIモードでの訓練を必須とする場合が多いです。
5. 飛行させる無人航空機が自動操縦の機体である場合、自動操縦システムにおいて、適切に飛行経路を設定でき、かつ、飛行中に不具合が発生した際に、無人航空機を安全に着陸させられるよう、適切に操作介入ができる。適 否 自動操縦は行わない
- DIPSの意図
自動操縦システムを使用する際に、その設定を正確に行い、万が一システムに不具合が生じた場合に、速やかに手動操縦に切り替えて安全に着陸させられる緊急対応能力があるかを確認しています。
- 「適」にするには
・自動操縦システムへの理解: 使用する自動操縦ソフトウェアの操作方法、飛行経路設定のルール、エラー発生時のメッセージと対処法を完全に理解しましょう。 -
- 操作介入訓練: 自動操縦中に意図的にシステムを解除し、手動で安全に着陸させる訓練を繰り返し行いましょう。緊急停止ボタンの操作や、手動でのリカバリー方法を習熟することが重要です。
「否」の場合の対策:訓練飛行と代替策の活用
DIPSの質問に対し、もし上記の項目で一つでも「否」とチェックせざるを得ない場合でも、すぐに特定飛行の許可申請を諦める必要はありません。
Xにも投稿したように、航空局の助言として、訓練飛行の申請や代替策の記述といった方法が提示されています。
1. 特定飛行にならない飛行で「適」にする
まずは、前述した通り、航空法上の許可が不要な範囲で訓練を重ね、各項目を確実に「適」の状態にしてからDIPS申請に臨むのが最も王道かつ確実な方法です。
2. 訓練飛行の申請と代替策の記述
DIPSでは「適」と回答できない項目がある場合でも、「訓練飛行」として許可申請を進めることが可能な場合があります。
この際、DIPS上では一旦「適」と選択しつつ、別途代替策を詳細に記述した書面を提出することで、審査官が安全性を担保できると判断すれば許可が得られる可能性があります。
私はそうしました。
- 代替策の例
飛行経歴が不足している場合は、経験豊富な「一等無人航空機操縦士」や「二等無人航空機操縦士」などの有資格者を補助者として配置し、その者の監督下で飛行する計画を具体的に記述する、などです。 - 紙申請の活用
DIPSのシステムでは代替策の記述が難しい場合や、非常に複雑な安全対策を説明する必要がある場合は、紙媒体での申請も選択肢となります。紙申請であれば、図面や補足資料を自由に添付できるため、より詳細かつ説得力のある安全対策を提示することが可能です。
これらの方法は、あくまで操縦者が安全確保へ真摯に取り組む姿勢と、具体的な訓練計画、そしてリスクを補完する代替策が明確に示されていることが前提となります。
まとめ
ドローンの特定飛行許可を得るためには、単に飛行経歴10時間を満たすだけでなく、DIPSで問われる5つの「操縦者の適格性」全てに「適」と答えられる知識と技能が必要です。
もし現時点で不足する項目があっても、許可不要な場所での徹底した訓練や、「訓練飛行の申請」における代替策の記述、あるいは紙申請の活用といった方法で、その壁を乗り越える道は存在します。
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