
ドローン第三者上空は特定飛行でなくてもNG
このページはX(エックス)の投稿を深堀り解説したブログ記事です。
【特定飛行でなければ】第三者上空を飛ばして良い?一瞬虚をつかれる問いです。運用解釈3(2)の「飛行経路の直下及びその周辺の落下分散範囲に第三者がいないこと」が特定飛行以外にも適用されるか…という問題です。適用されます。第三者上空は特定飛行でないカテゴリ1でも明確に禁止されています。
— drone高難度申請 矢野事務所 (@drone_nippon) June 21, 2025
このページで分かること
「特定飛行でなければOK」は大きな誤解!
「ドローンを飛ばす際、国土交通省の許可が必要な『特定飛行』に該当しなければ、どんな場所でも自由に飛べるんじゃないの?」――
この問いは、ドローン操縦者の皆さんが一度は抱く、しかし大きな誤解を生みやすい疑問です。
Xに投稿したように、この問いは一瞬「虚を突かれる」ほど多くの人が見落としがちなポイントと言えます。
結論から言えば、「特定飛行でなければ第三者の上空を飛ばして良い」というのは、完全に誤った認識です。
ドローンの飛行において、第三者の上空を飛行させることは、特定飛行であるか否かにかかわらず、明確に禁止されています。
この普遍的なルールを理解することが、安全なドローン運用と、予期せぬトラブルを避けるための第一歩となります。
なぜ「特定飛行でなくても第三者上空はダメ」なのか?
この原則の根拠は、国土交通省が定めるドローンの基本的な安全ルールにあります。
航空法と安全原則の徹底
航空法では、ドローンの飛行について、「人又は家屋の密集している地域の上空での飛行の禁止」(航空法第132条第2号)といった制限が設けられています。
これは、機体の落下や接触による人身事故、あるいは物件損壊といったリスクを回避するためのものです。
さらに、国土交通省の「無人航空機の飛行に関する許可・承認の審査要領」や「無人航空機の飛行の安全に関する教則」においては、ドローンを飛行させる際の最も基本的な安全確保対策として、「第三者の上空を飛行させないこと」が原則として定められています。
この「第三者」には、歩行者、自転車に乗っている人、自動車に乗っている人(停車中も含む)、屋外で作業している人などが含まれます。
運用解釈が示す「落下分散範囲」の重要性
Xの投稿で引用した「運用解釈3(2)」とは、まさにこの原則を具体的に示すものです。
「飛行経路の直下及びその周辺の落下分散範囲に第三者がいないこと」 この文言は、ドローンが万が一、飛行中に落下した場合に、その機体がどこまで飛散・落下する可能性があるかを考慮し、その範囲内に第三者が存在しないことを求めています。
これは、特定飛行を行うかどうかに関わらず、すべてのドローン操縦者が負うべき基本的な安全確保義務なのです。
たとえ、人口集中地区外で、昼間に、目視内で、高度150m未満で、人や物件から30m以上離れて飛行する、いわゆる「カテゴリI(特定飛行に該当しない)」の飛行であっても、「第三者の上空」を通過することは、この普遍的な安全原則に反し、明確に禁止されています。
許可が不要だからといって、安全への配慮まで不要になるわけではないのです。
許可不要飛行の「落とし穴」と操縦者の責任
なぜ「特定飛行でなければOK」という誤解が生まれやすいのでしょうか。
その背景には、法規の複雑さと、「許可が不要=すべてが自由」という短絡的な解釈に陥りやすい心理があります。
許可不要は「お墨付き」の不在
カテゴリI飛行は、航空法上の許可・承認申請が不要であり、手続きが簡素であるというメリットがあります。
しかし、これは行政から「この飛行は安全です」という個別の「お墨付き」を得ていない状態であることを意味します。
裏を返せば、許可不要な飛行であっても、その飛行に伴うすべての安全責任は、操縦者自身が負うことになります。
万が一、ドローンが落下したり、第三者に接触したりして事故が発生した場合、たとえそれが特定飛行に該当しないカテゴリIの飛行であったとしても、操縦者は航空法違反(例:危険な方法での飛行)や、民事上の損害賠償責任、さらには刑事責任を問われる可能性があります。
プロに求められる「自己管理能力」
ドローン操縦者に求められるのは、法律の条文や許可・不要の判断基準をただ知っていることだけではありません。
最も重要なのは、いかなる飛行においても、常に最高の安全基準を自らに課し、それを実行する「自己管理能力」です。
- リスクアセスメントの徹底
飛行前に、常に飛行場所の特性、天候、周辺の状況(第三者の有無)を詳細に確認し、潜在的なリスクを洗い出す。 - 安全対策の実行
飛行経路の変更、補助者の配置、周囲への声かけ、適切な安全距離の確保など、リスクに応じた具体的な安全対策を講じる。 - 緊急時の対応計画
万が一の事態に備え、緊急着陸場所の選定、トラブルシューティング、関係機関への連絡手順を明確にしておく。
これらの行動は、許可があるかないかに関わらず、すべてのドローン操縦者がプロとして果たすべき義務なのです。
まとめ
「特定飛行でなければ第三者の上空を飛ばして良い」という認識は、ドローン飛行における最も基本的な安全原則に反する、危険な誤解です。
航空法やその運用解釈は、特定飛行であるか否かにかかわらず、「飛行経路の直下及びその周辺の落下分散範囲に第三者がいないこと」を全てのドローン操縦者に求めています。
許可が不要なカテゴリIの飛行であっても、それは行政の「お墨付き」がない分、操縦者自身の「自己責任」がより重く問われることを意味します。
ドローンを安全に、そして社会から信頼される形で運用するためには、法律の最小限の要求事項を満たすだけでなく、常に「第三者の安全を最優先する」という普遍的なプロ意識を持つことが不可欠です。
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