
第三者上空は特定飛行でなくても不可|矢野事務所
「特定飛行でなければ、第三者上空を飛ばしてよいのか」
実務では、こうした質問を受けることがあります。
一瞬、許可申請の要否の話に見えます。
しかし、ここで判断を誤ると、運航そのものが成立しません。
第三者上空の問題は、特定飛行かどうかだけで決まるものではありません。
重要なのは、落下分散範囲を含めて第三者状態を維持できるかです。
このページで分かること
特定飛行でなければ大丈夫という誤解
ドローンを飛ばす人の中には、特定飛行に当たらなければ自由に飛ばせると考える方が少なくありません。
しかし、ここには大きな誤解があります。
第三者の上空を飛ばすことは、特定飛行かどうかにかかわらず、そのまま許されるものではありません。
人口集中地区外、昼間、目視内、高度150m未満といった条件を満たしていても、第三者の上空を通す運用は別問題です。
ここを取り違えると、許可不要だから大丈夫という判断につながります。
問題は特定飛行かどうかではなく第三者状態維持
ドローン運用で重要なのは、第三者に危険を及ぼさないことです。
そのため、飛行判断では、単に申請の要否を見るのではなく、飛行経路の直下やその周辺に第三者がいないかを確認する必要があります。
ここでいう第三者には、次のような人も含めて考える必要があります。
- 歩行者
- 自転車に乗っている人
- 車に乗っている人
- 屋外で作業している人
- 通行や立入りの可能性がある人
つまり、下に人がいないと思っていた、では足りません。
落下分散範囲まで含めて、第三者がいない状態を維持できるかが問われます。
で整理しているように、第三者整理は単なる分類ではありません。
運航成立性を左右する判断です。
なぜこの誤解が起きやすいのか
この誤解が起きやすい理由はシンプルです。
多くの人が、まず許可が必要かどうかから考えるからです。
もちろん、特定飛行に当たるかどうかは重要です。
しかし、実務ではその前後に別の判断が必要になります。
- 第三者の上空にかからないか
- 落下分散範囲に第三者が入らないか
- 立入管理ができているか
- 現場で説明できる運用になっているか
- 条件が崩れたときに止められるか
このため、許可不要と安全に実施できるは同じ意味ではありません。
で整理しているように、許可や申請の要否は入口にすぎません。
落下分散範囲まで見る必要
第三者上空の判断では、真下だけを見ても足りません。
問題になるのは、飛行経路の直下だけではなく、その周辺の落下分散範囲です。
ドローンは、異常時に真下へだけ落ちるとは限りません。
風、速度、高度、機体状態、緊急操作の影響を受けます。
そのため、第三者が真下にいないから安全という整理では弱くなります。
実務では、
- 飛行経路
- 高度
- 機体特性
- 落下可能範囲
- 第三者の流入可能性
- 立入管理の方法
を一体で確認する必要があります。
実務で成立しにくい場面
実際の現場では、次のような理解で止まりやすくなります。
- 特定飛行に当たらないから問題ない
- 短時間だから大丈夫
- 小型機だから大丈夫
- 人が通るかどうかは当日見ればよい
- 人が来たらその場で避ければよい
しかし、こうした整理では、現場で第三者の通行が発生した瞬間に運航条件が崩れます。
特に、次のような場所では注意が必要です。
- 道路
- 公園
- 河川敷
- 湖岸
- 共有空間
- 施設周辺
- 駐車場
制度上は許可不要に見えても、運用として成立しないことがあります。
誰が第三者流入に気づくのか
第三者上空を避けるには、計画段階の確認だけでは足りません。
運航中に第三者が流入したとき、誰が気づくのか。
誰が操縦者へ伝えるのか。
誰が中止判断を持つのか。
ここまで決めておく必要があります。
補助者を置く場合も、単に配置すれば足りるわけではありません。
- どの範囲を見るのか
- どの状態で警告するのか
- どの状態で中止するのか
- 操縦者との連絡方法は何か
が決まっていなければ、補助者は機能しません。
運航管理として成立しているか
実務では、飛ばせるかではなく、成立するかを見ます。
重要なのは、次の観点です。
- 第三者に危険が及ばないか
- 落下分散範囲を説明できるか
- 立入管理が維持できるか
- 現場で説明できるか
- 問題が起きたときに止められるか
つまり、特定飛行かどうかは入口にすぎません。
最終的には、説明耐性、現地耐性、中止耐性まで含めて設計する必要があります。
で整理しているように、操縦できることと、運航として成立することは別問題です。
判断内容を文書化しておく必要
第三者上空に当たらないと判断した場合ほど、その理由を残す必要があります。
- なぜ第三者上空に当たらないと判断したのか
- 落下分散範囲をどう見たのか
- 第三者流入をどう監視するのか
- どの条件で中止するのか
- 誰が判断主体なのか
これらを文書化しておかなければ、事後に説明できません。
で整理しているように、文書化は事務作業ではありません。
判断内容を後から説明できる状態にするための設計です。
まとめ
特定飛行でなければ第三者上空を飛ばしてよい、という理解は誤りです。
許可が不要な飛行であっても、第三者の上空を通すことや、落下分散範囲に第三者が入る状態は、そのまま認められるものではありません。
実務では、申請の要否だけではなく、
- 第三者状態維持
- 落下分散範囲
- 立入管理
- 補助者機能
- 中止判断
- 文書化
まで含めて判断する必要があります。
重要なのは、特定飛行かどうかではありません。
第三者に危険を及ぼさない状態を維持できるかです。
◆ドローン運航は『事後説明』を前提に設計する◆
許可があっても、現場で止まる案件は少なくありません
ドローン運航は「許可が取れるか」ではなく、現場で最後まで成立するかで判断する必要があります。
- 第三者管理は維持できますか?
- 監視体制は機能しますか?
- 中止判断は定義されていますか?
- 関係者への説明は通りますか?
これらが整理されていない案件は、許可があっても現場で止まります。
※飛行許可申請「のみ」のご相談にも対応しています
