ドローン都心高層ビルで夜間DID申請|矢野事務所

ドローン都心高層ビルで夜間DID申請|矢野事務所

東京都心の高層ビルで、夜間DID飛行の許可を取得しました。

今回の案件は、TVドラマ撮影を目的とした都心高層ビルでのドローン飛行です。

人口集中地区、夜間飛行、高層ビル周辺、交通量の多い道路付近という条件が重なり、標準マニュアル01をそのまま使うだけでは整理しきれない案件でした。

特に大きかったのは、標準マニュアル01の「高速道や交通量の多い一般道の付近では飛行させない」という規定に、具体的な条件を追記し、独自マニュアルとして認めてもらえた点です。

都心でのドローン飛行は、許可を取るだけでは足りません。

飛行範囲、補助者配置、道路付近の安全対策、夜間視認性、第三者管理を一体で整理する必要があります。

この場所で事故にならずに運航できるかは、条件によって変わります。

飛行条件を確認する

都心高層ビルでの夜間DID飛行

今回の飛行場所は、東京都心の高層ビル周辺です。

都心部である以上、DIDに該当し、周辺には歩行者、車両、建物、道路、照明、看板、通信設備など、飛行判断に影響する要素が多く存在します。

さらに夜間飛行となるため、昼間とは異なり、機体の見え方、障害物の把握、第三者の動き、緊急時の判断が難しくなります。

DIDでの飛行については、ドローンDIDとは?許可確認|矢野事務所で基本整理をしています。

夜間飛行については、ドローン夜間飛行の許可申請|矢野事務所も参照してください。

今回の収穫は独自マニュアルの承認

今回の申請で重要だったのは、標準マニュアル01の規定をそのまま読むと飛行が難しくなる場面で、条件を追記した独自マニュアルを認めてもらえたことです。

標準マニュアル01には、「高速道や交通量の多い一般道の付近では飛行させない」という趣旨の規定があります。

しかし、東京都心の高層ビルで撮影を行う以上、交通量の多い道路付近という条件を完全に避けることは困難です。

そこで、単に「飛ばしたい」と主張するのではなく、飛行範囲を限定し、補助者を拡充し、飛行方法を垂直方向中心に絞り、道路側への逸脱リスクを抑える条件を整理しました。

標準マニュアルに合わないから終わり、ではありません。

実務では、標準マニュアルの趣旨を踏まえたうえで、現場条件に応じた代替措置を設計し、それを独自マニュアルとして説明できるかが問われます。

飛行範囲を絞ることで成立させる

都心高層ビルでの飛行では、広く飛ばすほど説明は難しくなります。

今回の計画では、ビル敷地地表から高度50mポイントおよび149mポイントまでの定点・垂直飛行に限定しました。

また、ビル壁面から5〜10mの離隔距離を維持し、垂直の上昇下降を中心とすることで、水平方向への逸脱リスクを抑えています。

都心部では、「どこまで飛べるか」ではなく、「どこから先へ行かせないか」が重要になります。

飛行範囲を狭くし、飛行方法を限定し、逸脱時の対応を先に決めることで、初めて夜間DIDに耐え得る計画になります。

補助者6名による監視体制

今回の案件では、補助者6名を配置し、第三者管理と周辺監視を強化しました。

補助者は、飛行エリア内および周辺の第三者進入を監視し、飛行経路下への接近を確認した場合には口頭で注意喚起し、立入りを阻止する役割を担います。

夜間DIDでは、操縦者だけで全体を見ることはできません。

だからこそ、補助者の人数、配置、役割、連絡体制を具体化する必要があります。

単に「補助者を置く」では足りません。どこに置くのか、何を見るのか、どの時点で中止判断につなげるのかまで整理することが重要です。

TV局側の提案も安全体制に組み込む

今回の計画では、TV局側からの提案も安全体制に組み込みました。

カメラは上昇ポイントから真下を向け、垂直移動中に直下の状況をカメラでも確認できるようにしました。

また、操縦者が映像に映り込まないようにしつつ、機体と建物との距離感を常に目視できる位置で操縦する設計としました。

映像制作の現場では、撮影目的と安全対策が衝突することがあります。

しかし、今回のように撮影側の提案を安全管理の一部として整理できれば、単なる演出上の工夫ではなく、飛行計画上の意味を持たせることができます。

ジオフェンスと強風対応

都心高層ビルでは、ビル風、突風、GPS精度低下、電波環境など、機体挙動に影響する要素があります。

今回の計画では、飛行範囲の外側5〜10mにジオフェンスを設定し、範囲を超えた場合には機体が離発着場所へ帰還する設定としました。

また、DID夜間飛行であることを踏まえ、風速と機体速度の和が7m/sを超えた場合は直ちに飛行を中止する基準を設けています。

さらに、判断の見落としに備え、送信機に強風警告が表示される機体を使用することも安全対策として位置づけました。

都心高層ビルでは、現場の感覚だけで飛行を継続するのは危険です。

あらかじめ中止基準を決め、機体側の警告も判断材料に組み込むことで、止める設計を持たせる必要があります。

次は高高度を加えた追加申請へ

今回の申請は、夜間DIDを中心とした都心高層ビルでの飛行でした。

次の段階では、ここに150m以上の高高度飛行を加える追加申請を予定しています。

150m以上の飛行になると、夜間DIDの現場管理だけでなく、有人航空機との関係を含む空域調整が主眼になります。

150m以上の高高度飛行については、ドローン高度150m以上の飛行許可|矢野事務所で整理しています。

このように、都心高層ビルの飛行は一度で全てを広げるのではなく、夜間DID、道路付近、独自マニュアル、高高度という論点を段階的に整理していくことが重要です。

まとめ

東京都心の高層ビルでの夜間DID飛行は、標準マニュアルをそのまま当てはめるだけでは成立しにくい案件です。

今回の案件では、飛行範囲を限定し、補助者6名による監視体制を組み、垂直飛行を中心とし、ジオフェンスや強風中止基準を設定しました。

そのうえで、標準マニュアル01の道路付近規定に条件を追記し、独自マニュアルとして認めてもらえたことが大きな成果でした。

都心部のドローン飛行では、「許可が取れるか」だけでなく、なぜその条件なら飛行が成立するのかを説明できる状態にする必要があります。

◆ドローン運航は『事後説明』を前提に設計する◆

許可があっても、現場で止まる案件は少なくありません

ドローン運航は「許可が取れるか」ではなく、現場で最後まで成立するかで判断する必要があります。

  • 第三者管理は維持できますか?
  • 監視体制は機能しますか?
  • 中止判断は定義されていますか?
  • 関係者への説明は通りますか?

これらが整理されていない案件は、許可があっても現場で止まります。

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