ドローン夜間飛行、その定義と注意点を知る:矢野事務所

ドローン夜間飛行、その定義と注意点を知る

 

このページはX(エックス)の投稿を深堀り解説したブログ記事です。

ドローンを飛行させる上で、多くの人が誤解しやすいのが「夜間飛行」の定義です。

夕方、まだ空に明るさが残っていても、時刻によってはすでに「夜間」と見なされ、航空法上の厳しい規制の対象となることがあります。

この厳密な定義と、夜間飛行に潜むリスク、そして適切な許可取得の方法を理解することは、ドローンを安全かつ適法に運用するために不可欠です。

Xの投稿でも触れましたが、「夜間飛行の『夜間』とは日没から日の出までの時間。夕方、機体が視認出来ても日没過ぎていれば夜間飛行になるので要注意です」という点は、多くの方がうっかり見落としがちな盲点です。

しかし、このルールを知らずに飛行すれば、知らぬ間に航空法違反となってしまう可能性があります。

夜間飛行の厳密な定義

航空法における「夜間」とは、まさに「日没から日の出までの時間」を指します。

これは、空の明るさや、機体が肉眼で確認できるかどうかといった、主観的な判断基準ではありません。

国立天文台が発表する「各地のこよみ」に記載されている、その日の、その地域の正確な日の出時刻から日の入り時刻までが、法的に定められた「昼間」であり、それ以外の時間は「夜間」となります。

例えば、夏場は日没が遅く、19時を過ぎてもまだ明るいと感じる日もありますが、日の入り時刻を過ぎていれば、その瞬間からドローンを飛行させるには「夜間飛行」の許可が必要となるのです。

この厳密な時間管理が、夜間飛行における最初の、そして最も重要な注意点です。

夜間飛行がなぜ難しいのか

夜間飛行は、航空法上の「特定飛行」に該当し、原則として国土交通大臣の許可・承認が必要です。

これは、夜間飛行が以下のような固有のリスクを伴うためです。

  • 視認性の低下
    暗闇の中では、機体の位置、姿勢、飛行方向を目視で正確に把握することが極めて困難になります。遠近感も失われがちです。
  • 障害物の把握困難
    地上の電線、樹木、建物といった障害物が暗闇に溶け込み、衝突のリスクが大幅に増加します。
  • 緊急時対応の困難さ
    万が一、機体に異常が発生したり、不時着を余儀なくされたりした場合、暗闇の中での状況把握や機体の回収作業が非常に困難になります。
  • 周囲の状況変化の見落とし
    夜間は人や車の動き、気象条件の微細な変化などを察知しにくく、危険予知が難しくなります。

これらのリスクは、日中にはない夜間特有のものであり、事故に直結する可能性が高いことから、厳格な規制と安全対策が求められます。

包括申請での夜間飛行

ドローンを事業で活用する多くの事業者にとって、全国で1年間飛行できる包括申請は非常に便利です。

この包括申請を行う際、「万が一に備え包括申請では必ず夜間飛行を入れています」というのは実務上の習慣です。

これは、実際に夜間飛行の予定がなくても、包括申請の際に夜間飛行の項目を含めて許可を得ておくことで、予期せぬ業務依頼や、日中飛行中に日没が迫ってしまった場合など、運用上の柔軟性を確保できるためです。

ただし、夜間飛行を包括申請に含めるには、操縦者の夜間飛行経験や、機体の灯火など、所定の安全要件を満たしていることが条件となります。包括申請の許可は、あくまで申請時に提示したマニュアルや安全対策を講じることを前提としています。

安全な夜間飛行のために

夜間飛行の許可を取得したからといって、安全性が保証されるわけではありません。

実際の飛行においては、以下のような具体的な安全対策を徹底することが不可欠です。

  • 機体の灯火
    機体の位置、向き、姿勢を明確に視認できる強力な灯火(LEDライトなど)を必ず装着し、点灯させます。
  • 補助者の配置
    操縦者とは別に、飛行経路の安全確認や、周囲の状況監視、緊急時対応を行う補助者を配置します。補助者も、ライトやビブスなどで視認性を確保し、操縦者と密に連携を取れる体制とします。
  • 飛行範囲の限定と事前調査
    夜間飛行は、見通しが良く、障害物が少ない場所を選定します。日中のうちに、飛行経路、周囲の障害物、緊急着陸地点などを徹底的に調査し、危険箇所を把握しておきます。
  • 気象条件の厳格な確認
    夜間は風向・風速や視程が急変しやすいため、飛行前には気象情報を詳細に確認し、運用限界を超えないことを確実に判断します。
  • フェールセーフ機能の確認
    電波断絶時やバッテリー低下時などに、機体が自動で安全な行動(自動帰還、その場でのホバリングなど)をとるフェールセーフ機能が正常に作動することを、事前に確認しておきます。

まとめ

ドローンの夜間飛行は、日没から日の出までの時間という厳密な定義で判断され、たとえ機体が視認できる明るさであっても、暦上の時刻が基準となります。

この時間帯の飛行は航空法上の特定飛行であり、リスクも高いため、国土交通大臣の許可・承認が必須です。

申請事例&ブログ一覧はこちら

行政書士矢野法務事務所は「個別申請を専門とする事務所」です。

全国の運航事業者やテレビ局、映像会社から「スポーツ中継・高高度・花火大会・空港周辺・ドローンショー・レベル3.5飛行、レベル3飛行、その実証実験等々」包括申請では飛ばせない様々な個別案件の申請をお引き受けしています。期限の決まっている飛行などは特に当事務所にご依頼頂き確実な飛行許可申請をなさってください。

 

【免責事項】
○当サイトのコンテンツや情報において可能な限り正確な情報を掲載するよう努めておりますが、 誤情報が入り込んだり古くなったりすることもあり必ずしもその内容の正確性および完全性を保証するものではございません。当該情報に基づいて被ったいかなる損害について、一切責任を負うものではございませんのであらかじめご了承ください。
○当サイトから移動された先のホームページは、当サイトが管理、運営するものではございません。移動先サイトで提供される情報の真偽、サービス等につきましても一切の責任も負いませんのでご了承ください。なお、予告なしに内容が変更または廃止される場合がございます。