ドローン運航の判断設計・体制構築


ドローンをビジネスで活用する際、日中の目視内飛行だけでなく「夜間の目視外飛行」が必要となる場面も少なくありません。

夜間のインフラ点検、災害時の捜索活動、あるいは夜景を背景にした映像制作など、その可能性は多岐にわたります。

しかし、夜間かつ目視外という条件下での飛行は飛行許可・承認申請の中でも特に難易度が高いものとされています。

私自身の経験として、この許可を取得するには、飛行時のあらゆる事象を徹底的に想定し、その対策を具体的に説明することが不可欠だと感じています。

単に一般的なマニュアルを添付するだけでは不十分であり、申請書や飛行計画書の中で、夜間・目視外の項目をあえて特記し、その安全性を強力に訴求する必要があります。

この場所で事故にならずに運航できるかは、条件によって変わります。

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夜間目視外飛行の難しさ

夜間目視外飛行は、通常の目視内飛行に比べて、リスク要因が格段に増加します。

  • 視認性の低下
    夜間は、機体の位置や姿勢、周囲の状況を目視で確認することが困難ですし、障害物の視認も極めて困難です。
  • 通信の不安定化
    夜間特有の電波状況の変化や、周囲の電子機器の影響を受ける可能性も考慮が必要です。
  • 緊急時の対応の困難さ
    機体異常や不時着時に、暗闇の中での状況把握や回収作業が非常に困難になります。

これらの理由から、夜間かつ目視外での飛行は、航空局が特に厳しく審査する特定飛行に該当します。

許可取得の鍵となる準備

夜間目視外飛行の許可を取得するためには、徹底した準備と、それを具体的に申請書類で示すことが不可欠です。

  1. 確かな操縦技能と経験:

    • 夜間・目視外それぞれの飛行経験や、それらを複合した訓練の実績を積んでいることが求められます。
    • モニター越しの情報だけで機体を正確に制御できる能力が不可欠です。
  2. 高性能な機体と装備:

    • 高精度なGPS、安定した通信システム、十分な灯火など、夜間目視外飛行に必要な性能を持つ機体を選定します。
    • フェールセーフ機能(自動帰還機能、電波が復帰するまで空中で位置を維持する機能等)が正常作動することも確認が必要です

飛行マニュアルでの訴求

最も重要なのは、これらの準備状況を「飛行マニュアル」の中で、具体的に、そして説得力のある形で示すことです。

一般的なマニュアルの雛形をそのまま使うだけでは不十分で、夜間目視外飛行特有のリスクと対策を詳細に記述する必要があります。

提供されたマニュアルの具体的な内容を参考に、以下のような項目を網羅し、その安全性を訴求します。

  1. 追加の安全体制
    既存の体制に加え、夜間目視外の特殊性を考慮した、より厳格な安全体制を講じ、適切に実行することを示します。
  2. 機体と補助者による監視
    • 機体には、向きや姿勢が正確に視認できる2つ以上の灯火を装備します。
    • 飛行中は、機体の向きや姿勢を監視する補助者を配置し、操縦者に適切な退避指示を実施できる体制とします。
    • 補助者は、暗視ゴーグルや強力なLEDライトを使用し、夜間でも機体の位置や向き、姿勢を正確に把握します。特に高高度や機体との距離が離れる場合は、望遠機能付きの暗視ゴーグルを使用します。
  3. 風速制限と飛行中止基準
    • 150m以上の高さや、人又は家屋の密集地域の上空では、飛行速度と風速の和が7m/s以上の状態では飛行させないなど、具体的な気象条件での飛行制限を設けます。
    • 飛行中に制限を超えた場合や、強風警告が表示された場合は、速やかに飛行を中止する手順を盛り込みます。
  4. 第三者への配慮と経路確認
    • 飛行経路の直下や周辺に第三者が立ち入らないよう、補助者の配置と標識の設置により注意喚起を行います。
    • 補助者は、日中に飛行経路や障害物を事前に確認し、飛行中も経路逸脱や新たな障害物を監視し、操縦者に指示を行います。
  5. 確実なコミュニケーション
    • 操縦者と補助者、関係者間で、インターコミュニケーションやトランシーバーなどの遠隔対話手段を常時使用し、密に連絡が取れる体制とします。
  6. モニター操縦能力
    • 操縦者がモニターを見ながら、遠隔操作で意図した飛行経路を維持し、安全に着陸させられる能力があることを示します。

 

※夜間と目視外が重なる場合は、単純な包括処理ではなく、補助者、第三者管理、飛行経路の整理まで含めて判断が必要です。目視外飛行全体の考え方は
目視外飛行の成立条件と判断整理|矢野事務所
をご参照ください。

まとめ

夜間目視外飛行の許可取得は、決して簡単ではありません。

しかし、それは決して不可能ではありません。

飛行時のあらゆる事象を真摯に想定し、それに対する具体的な対策を上記マニュアルのように詳細に羅列し、申請書類の中で明確に訴求すること。

このプロセスこそが安全な夜間目視外飛行を実現し、ドローンのさらなる可能性を拓く為の、避けては通れない道なのです。

許可取得のプロセスは、安全性への高い意識と周到な準備の証でもあります。

困難な飛行に挑戦する際は、ぜひこれらの点を念頭に置き、安全第一で取り組んでください。


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