
夜間目視外飛行は許可より運航設計で決まる|矢野事務所
【夜間の目視外飛行】の許可はやはり簡単ではないのですが、飛行時の場面でのあらゆる事象を鵜の目鷹の目で真摯に想定しその対策を羅列説明するしか無さそうです。単に独自マを添付するだけでなく飛行計画書の中にマニュアルの夜間目視外の項目部分をあえて特記し訴求する事をお勧めします。
— drone高難度申請 矢野事務所 (@drone_nippon) May 18, 2025
ドローンを業務で活用する場面では、夜間に、しかも目視外で飛行させる必要が出てくることがあります。
インフラ点検。
災害時の確認。
夜景や施設周辺の撮影。
人の少ない時間帯に行う調査。
こうした飛行では、単に「許可が取れるか」だけでは足りません。
夜間と目視外が重なると、視認性、通信、補助者機能、第三者管理、中止判断のすべてが重くなります。
つまり、夜間目視外飛行で本当に問われるのは、許可取得そのものではありません。
暗く、見えにくく、直接確認できない状態でも、運航として成立する設計になっているかです。
このページで分かること
夜間目視外飛行は難度が高い飛行
夜間飛行と目視外飛行は、それぞれ単独でも難度の高い飛行です。
夜間飛行では、機体、障害物、第三者、地形、離着陸場所の確認が難しくなります。
目視外飛行では、操縦者が機体を直接確認できないため、モニター、補助者、通信、機体情報に依存する割合が高くなります。
この二つが重なると、単にリスクが足し算されるだけではありません。
視認性の低下と直接確認できない状態が重なり、現場判断そのものが難しくなります。
そのため、夜間目視外飛行では、飛行前の設計段階で、起こり得る事象を具体的に想定しておく必要があります。
許可取得だけでは成立しない理由
夜間目視外飛行では、許可・承認を取得することは重要です。
しかし、許可があるからといって、現場で安全に成立するとは限りません。
実務で問題になるのは、次のような点です。
- 暗い中で機体の位置や向きを把握できるか
- 目視外状態で飛行経路を維持できるか
- 補助者が何を監視するのか
- 第三者が近づいたときに気づけるか
- 通信断や映像途絶時にどう止めるか
- 離着陸場所や回収方法を確保できるか
これらが決まっていなければ、許可があっても運航は不安定です。
夜間目視外飛行では、「許可を取った」ことより、許可条件を現場で維持できるかが重要になります。
視認性低下を前提にする
夜間飛行では、日中と同じ感覚で現場を見ることはできません。
障害物との距離感がつかみにくくなります。
地形や電線、樹木、建物の輪郭も分かりにくくなります。
第三者の接近にも気づきにくくなります。
さらに、目視外飛行では、操縦者が機体を直接見て確認することができません。
そのため、夜間目視外飛行では、「見えるはず」ではなく、「見えない前提」で設計する必要があります。
飛行経路。
離着陸場所。
補助者の配置。
灯火やモニター確認。
異常時の帰還方法。
これらを事前に整理しなければ、現場で判断が止まります。
目視外飛行では確認構造が問われる
目視外飛行では、機体を直接見て確認できません。
だからこそ、確認構造が必要になります。
操縦者は何を見て機体位置を把握するのか。
補助者はどの範囲を監視するのか。
飛行経路の逸脱をどう把握するのか。
第三者の接近を誰が確認するのか。
異常時に誰が中止を伝えるのか。
ここが曖昧なままでは、目視外飛行は成立しません。
目視外飛行全体の考え方は、目視外飛行の成立条件と判断整理|矢野事務所でも整理しています。
補助者は配置ではなく機能で見る
夜間目視外飛行では、補助者の役割が非常に重くなります。
ただし、補助者を置けば足りるわけではありません。
重要なのは、補助者が安全管理上の機能を果たしているかです。
- 機体の位置や向きを確認できるか
- 飛行経路周辺の第三者を確認できるか
- 障害物や逸脱リスクを把握できるか
- 操縦者に即時連絡できるか
- 中止判断につながる情報を出せるか
暗視装備、ライト、通信手段、監視範囲、役割分担が整理されていなければ、補助者はいても機能しません。
夜間目視外飛行では、補助者の人数ではなく、補助者機能が成立しているかを見る必要があります。
第三者管理は日中より難しくなる
夜間は、第三者の接近に気づきにくくなります。
人通りが少ない時間帯であっても、第三者が存在しないとは限りません。
夜間作業者。
通行人。
車両。
施設利用者。
警備員。
このような人の動きがある場合、第三者状態を維持できるかが問題になります。
飛行開始時に人がいないことだけでは足りません。
飛行中に第三者が入らない状態を維持できるか。
第三者が入ったときに誰が気づくのか。
どの時点で止めるのか。
ここまで決めて初めて、第三者管理が成立します。
通信断・映像途絶時の停止条件
夜間目視外飛行では、通信断や映像途絶時の対応を事前に決めておく必要があります。
モニター映像が乱れたらどうするのか。
通信が不安定になったらどうするのか。
機体位置の把握が不確実になったらどうするのか。
帰還機能が作動した場合に安全な経路を確保できるのか。
離着陸場所まで安全に戻せるのか。
これらを決めないまま飛行すると、異常時に判断が遅れます。
夜間目視外飛行では、「異常が起きたら考える」では遅すぎます。
異常が起きたら、どの条件で止めるのかを先に固定しておく必要があります。
飛行計画書では想定事象を具体化する
夜間目視外飛行では、飛行計画書の書き方も重要です。
単に独自マニュアルを添付するだけでは、現場の成立性が伝わりにくい場合があります。
飛行計画書の中で、夜間目視外飛行特有の論点をあえて明示することが重要です。
- 夜間の視認性低下にどう対応するか
- 目視外状態で機体位置をどう把握するか
- 補助者が何を監視するか
- 第三者接近時にどう止めるか
- 通信断や映像途絶時にどう対応するか
- 離着陸場所や緊急着陸場所をどう確保するか
このように、起こり得る事象と対応策を具体的に示すことで、単なる許可申請ではなく、運航設計として説明しやすくなります。
夜間目視外飛行は中止判断が中心
夜間目視外飛行では、飛行できる条件だけでなく、中止条件が重要です。
例えば、次のような場合です。
- 機体位置を確実に把握できない
- 補助者が監視対象を見失った
- 第三者が飛行範囲に近づいた
- 通信や映像が不安定になった
- 風速や天候条件が悪化した
- 離着陸場所の安全が維持できない
このような場合に、誰が止めるのか。
操縦者が判断するのか。
補助者が中止を伝えるのか。
現場責任者が判断するのか。
ここが決まっていなければ、夜間目視外飛行は成立しません。
中止判断の考え方は、ドローンは「中止判断」で決まるでも整理しています。
夜間目視外飛行は運航管理の問題
夜間目視外飛行は、操縦技能だけで成立する飛行ではありません。
機体。
補助者。
通信。
第三者管理。
離着陸場所。
中止判断。
飛行計画書。
これらを一体で管理する必要があります。
つまり、夜間目視外飛行は「操縦」の問題ではなく、運航管理の問題です。
この考え方は、ドローンは操縦でなく運航管理|矢野事務所でも整理しています。
まとめ
夜間目視外飛行の許可取得は簡単ではありません。
しかし、本当に難しいのは、許可取得そのものではありません。
夜間で見えにくい状態。
目視外で直接確認できない状態。
その中で、第三者管理、補助者機能、通信断対応、中止判断を維持できるかです。
飛行時に起こり得る事象を想定し、それぞれに対する対策を飛行計画書の中で具体化すること。
これが夜間目視外飛行の運航設計です。
夜間目視外飛行は、許可より運航設計で決まります。
◆ドローン運航は『事後説明』を前提に設計する◆
法人案件では「飛ばせるか」だけでは進まないことがあります
ドローン運航は、許可が取れるかだけでなく、現場で最後まで成立するかで判断する必要があります。
- 第三者管理は維持できますか?
- 監視体制は機能しますか?
- 中止判断は定義されていますか?
- 発注者・関係者への説明は通りますか?
これらが整理されていない案件は、許可があっても現場で止まる方向に傾きます。
※飛行許可申請のみのご相談にも対応しています