
夜間催し飛行は高度40mが境界の特定基準
このページはX(エックス)の投稿を深堀り解説したブログ記事です。
【同じ催しでも夜間の】立入禁止区画は設定基準が高度40mを境に二分されます。これ未満はいつもの①高度別の表が適用され、これ以上は②高度=半径に。標準マへの記載も無く、申請する機会でも無ければ知る事もないマイナーな基準ですが②は3月の飛行マ改訂で削除された「夜間」の規定との再会です。
— drone高難度申請 矢野事務所 (@drone_nippon) June 17, 2025
ドローンを用いたイベント空撮は、その迫力ある映像で多くの人々を魅了します。
特に、夜間に開催される催しの雰囲気は格別です。
しかし、そのような夜間の催し場所上空でのドローン飛行は、昼間とは異なる、より厳格な安全基準が適用されることをご存知でしょうか。
そして、その中には、一般にはあまり知られていないものの、当局が明確に示した根拠のある「特定基準」が存在します。
今回は、夜間飛行における「高度40m」を境とした立入禁止区画の設定基準について、その実態と重要性を深掘りします。
このページで分かること
夜間イベント飛行の落とし穴
催し場所上空でのドローン飛行は、航空法上の特定飛行に該当し、国土交通大臣の許可・承認が必要です。
昼間であっても、第三者や物件への危害を防止するため、立入禁止区画の設定など厳重な安全対策が求められます。
しかし、これが「夜間」となると、視認性の低下という要因が加わり、更に複雑な基準が適用されるのです。
一般的な立入管理と夜間の特殊性
通常の催し場所上空飛行における立入禁止区画は、機体の飛行高度に応じて半径が定められた「高度別の表」が適用されます。
例えば、高度30m未満であれば水平距離30m、高度40m未満であれば40mといった具体的な数値です。
これは、万が一の墜落時に、機体が想定される範囲内に収まるよう設計されたものです。
しかし、夜間飛行の場合、特に高度40mを境にこの基準が大きく変化するという極めて重要な点があります。
当局確認済:高度40mが分水嶺
この基準は、私自身が当局に直接確認し、明確な根拠を持って示されたものです。
標準的なマニュアルには明記されていないため、許可申請の機会がなければ、その存在を知ることはほとんどありません。
基準1:高度40m未満の場合
夜間の催し場所上空飛行であっても、飛行高度が40m未満であれば、昼間と同様に「いつもの高度別の表」が適用されます。
つまり、高度に応じた半径の立入禁止区画を設定すれば良いことになります。
これは、比較的低い高度であれば、夜間であっても、補助者の監視や機体の灯火によって、リスクを管理しやすいという考えに基づいていると考えられます。
基準2:高度40m以上の場合
問題は、夜間の催し場所上空を高度40m以上で飛行する場合です。
この場合、適用される基準は劇的に厳しくなり、「高度=半径」という基準が求められます。
つまり、飛行する高度と同じ距離(半径)の立入禁止区画を設定しなければならないのです。
例えば、夜間に催し上空を高度50mで飛行する場合、その水平距離50mの立入禁止区画が必要となります。
高度100mであれば、水平距離100mの区画が必要になるということです。
この「高度=半径」という基準は、実は2025年3月の飛行マニュアル改訂で一旦削除された、かつての「夜間飛行」における一般的な厳格規定の再登場でもあります。
夜間は昼間と比較して機体の視認が困難であり、異常発生時の状況把握や墜落時の被害範囲予測が難しいため、より広い安全距離の確保が求められるという考え方が根底にあります。
なぜこの基準を知る必要があるのか
この「高度40m」を境とする夜間催し場所上空飛行の基準は、ドローンの運用計画に大きな影響を与えます。
- 計画段階でのリスク評価
夜間のイベント空撮を計画する際、この基準を知らなければ、適切な立入禁止区画を設定できず、安全確保体制が不十分と判断される可能性があります。 - 許可取得の可否
基準を満たせない場合、そもそも許可が下りないか、あるいは計画の大幅な変更を余儀なくされます。特にDID地区内で催しが開催される場合、広大な立入禁止区画の確保は非常に困難になることもあります。 - 現場での安全確保
許可が下りたとしても、この基準を理解していなければ、現場での安全管理がおろそかになり、事故のリスクが高まります。
この基準は、ドローンを安全かつ適法に運用するための、まさに「知る人ぞ知る」重要な情報であり、特にイベント運営者や映像制作者にとっては、企画段階から考慮すべき必須の知識と言えるでしょう。
まとめ
夜間の催し場所上空でのドローン飛行は、昼間とは異なる厳格な安全基準が適用されます。
特に「高度40m」を境に立入禁止区画の設定基準が大きく変わるという事実は、当局が明確に示した根拠のあるものであり、ドローン運用者は必ず理解しておくべき重要なポイントです。
このようなニッチながらも実践的な基準は、標準的なマニュアルだけでは把握しきれないことが少なくありません。
私たちは、ドローンを安全かつ適法に運用される皆様が、見落としがちな重要情報も確実に把握できるよう、今後も最前線の情報を提供してまいります。
複雑な飛行計画の策定や許可申請でお困りの際は、どうぞお気軽にご相談ください。
行政書士矢野法務事務所は「個別申請を専門とする事務所」です。 全国の運航事業者やテレビ局、映像会社から「スポーツ中継・高高度・花火大会・空港周辺・ドローンショー・レベル3.5飛行、レベル3飛行、その実証実験等々」包括申請では飛ばせない様々な個別案件の申請をお引き受けしています。期限の決まっている飛行などは特に当事務所にご依頼頂き確実な飛行許可申請をなさってください。 【免責事項】
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