
ドローン山間部で機体を追えない飛行|矢野事務所
【尾根が連なる】起伏激しい山林地帯。補助者も経路全体を見通せず機も追えない…。第三者立入り余地の無い事と林道進入等万が一の監視体制を克明に示した個別申請で許可得ました。補助者見通し悪くも追加基準ではベラガ無しOK。という事は包括で良かった可能性も?審査官に聞いてみたい結果論です。
— drone高難度申請 矢野事務所 (@drone_nippon) April 9, 2025
山間部でのドローン飛行は、「人が少ないから安全」と誤解されやすい飛行です。
しかし実務では、尾根が連なる地形では補助者も経路全体を見通せず、機体を追えない状況が普通に発生します。
つまり問題は、単に「山だから飛ばせる」ではありません。
機体を追えない状態で、第三者管理をどう成立させるかです。
今回の案件では、包括申請で押し切るのではなく、第三者進入可能性と監視体制を個別に説明する個別申請として整理しました。
補助者なし目視外飛行の成立条件については、補助者なし目視外飛行の考え方|矢野事務所でも詳しく整理しています。
このページで分かること
なぜ個別申請にしたのか
本件で最大の問題は、補助者を配置しても機体を追えないことでした。
尾根・森林・地形起伏によって、経路全体を一望できないからです。
この状況で包括申請レベルの説明だけで成立させることには、実務上かなりの不安がありました。
そこで今回は、
- 第三者進入可能性
- 林道管理状況
- 補助者配置可能地点
- 進入監視方法
- 飛行中止基準
これらを個別に整理し、個別申請として成立させました。
飛行計画の概要
計画概要
- 飛行場所:長野県上伊那郡中川村大草
- 飛行目的:測量業務
- 飛行環境:起伏の激しい山林地帯
- 飛行方法:目視外飛行
- 飛行高度:対地70m
- 飛行回数:15分×最大5回程度
飛行経路図

問題は「補助者がいても見えない」こと
通常、目視外飛行では補助者配置によって第三者管理を行います。
しかし本件では、そもそも補助者が見通せません。
つまり、
補助者を置けば安全、という構造が成立しない
という問題がありました。
ここで重要なのは、補助者が「機体を見る」ことではなく、
第三者進入可能性をどこで監視するか
へ発想を切り替えることです。
補助者なし飛行の成立条件については、ドローン夜間目視外は補助者なしで成立するのか|矢野事務所でも詳しく整理しています。
今回の安全管理体制
① 林道両端に補助者を配置し第三者進入を監視
② 第三者進入時は飛行経路から離れるよう注意喚起
③ 飛行継続困難と判断した場合は飛行中止を助言
④ 通行止め林道であることを前提に第三者侵入可能性を評価
⑤ 補助者配置不能エリアは地形・森林・通行状況で説明
包括で良かったのでは?という論点
今回、結果として許可は成立しました。
さらに、プロペラガード無しでも許容されています。
ここから逆算すると、審査側は、
- 第三者立入り可能性が極めて低い
- 林道進入は監視可能
- 全体として危害可能性が低い
と見た可能性があります。
つまり結果論としては、
包括整理でも成立した可能性
は確かにあります。
ただし、ここを後出しで語るのは危険です。
なぜなら、山間部飛行は「見えないもの」をどう扱うかで成立が変わるからです。
実際は「運航管理」の問題
この案件は、単なる山間部飛行ではありません。
見通せない環境で、どこまで監視できるのか
という運航管理設計の案件です。
つまり問われているのは操縦技量ではなく、
成立条件をどう説明するか
です。
運航管理の考え方については、ドローン運航管理とは何か|矢野事務所でも整理しています。
まとめ
- 山間部だから安全とは限らない
- 補助者を置いても機体を追えないケースはある
- 重要なのは第三者進入可能性の説明
- 包括か個別かは「見えないリスク」をどう整理するかで変わる
- 山間部飛行は運航管理設計で成立が決まる
◆ドローン運航は「事後説明」を前提に設計する◆
法人案件では「飛ばせるか」だけでは進まないことがあります
ドローン運航は、許可が取れるかだけでなく、現場で最後まで成立するかで判断する必要があります。
- 第三者管理は維持できますか?
- 監視体制は機能しますか?
- 中止判断は定義されていますか?
- 発注者・関係者への説明は通りますか?
これらが整理されていない案件は、許可があっても現場で止まる方向に傾きます。
※飛行許可申請のみのご相談にも対応しています
