レベル3.5ドローン飛行前の航空局とのやりとり:矢野事務所

レベル3.5ドローン飛行前の航空局とのやりとり

 

このページはX(エックス)の投稿を補足解説したブログ記事です。

 

レベル3.5の目的

レベル4もレベル3.5も、どちらも有人地帯を飛ばせる飛行レベルです。

その為か、有人という言葉で両者を混同してしまいます。

同じ有人地帯でも第三者の上空を飛ばすのが4で、3.5は第三者のいない上空を指しています。

つまり3.5で言う有人地帯というのは、人の「少ない」中山間部を想定していています。

人は存在しているけれど飛行経路直下にドローン墜落事故の被害者となり得る人がいる、そんな環境ではありません。

人の「少ない」中山間部、、、という部分には意味があって、これは社会問題でもある「ラストワンマイル」の地域のことです。

ラストワンマイル対策としてドローン物流を早く社会実装したいという明確な狙いがあるのです。

※ラストワンマイル問題:消費者が商品を手にするまでの最後の配送区間のこと。人手不足により物流センターから個人宅へ配送を担う労働力が不足する問題。

レベル2で可能なら3.5はNG

冒頭のX投稿は、3.5申請の依頼者が事業者ではなく個人のケースを紹介したものです。

この方は空撮目的で初回申請のご相談でした。

一度ご自身でトライされ資料作成の壁に断念されたリベンジでの依頼でした。

しかしながら、当局は申請そのものを受け付けてはくれませんでした。

それは3.5飛行の制度化の主旨が物資輸送やインフラ点検等を目的としたもので、個人の空撮の趣味等に対応するものではないからです。

個人申請の難度は上がると思っていましたが、案の定申請不可でした。

担当者のコメントが印象的でした。

「レベル2で飛行できるものはレベル2で」・・・ということです。

以下がその時の経路図です。

3.5申請の実際

そんな3.5ですから、やすやすと申請ができるものではありません。

以下に紹介するのは実際に経験した3.5の申請にたどり着くまでの当局とのやりとりです。

航空局への相談と調整

第一コンタクト

ここはまずメールで第一コンタクトをとります。

以下が実際のメール文面です

矢野事務所→航空局

航空局無人航空機安全課 制度改正担当者様

いつもお世話になっております。

●●社の顧問行政書士の矢野と申します。

この度、3.5による巡視飛行のNEDO実証事業を計画しております。

つきましては貴局HP掲載の手順に基づき申請を進めて参りますので、宜しくご対応ください。

運航概要宣言書の送付をお願い致します。

どうぞよろしくお願いいたします。

航空局から

航空局からの返信は、その日のうちにありました。

3.5の主旨の確認でした。

航空局→矢野事務所

矢野様

 お世話になっております。航空局無人航空機安全課 制度改正担当です。

 レベル3.5飛行を行う計画があるとのことですが、具体的にどのような飛行内容でしょうか。

下記をご確認のうえ、計画概要の詳細をお知らせください。(機体、飛行経路、体制、補助者の有無、時期等)特に飛行経路図をご提出ください。

レベル3.5飛行を行うにあたっては、設置する地上設備(一定以上の大きさのモニター等)、カメラ及び通信装置等の構成において、カメラからの映像を表示し、進行方向の飛行経路の直下及びその周辺に第三者の立ち入りが無いことを確認できることを事前に確認すること、また、映像伝送不良や通信不良時等、飛行のリスクと対策等の運航条件等を事前に定め、設定した運航条件に基づき飛行させることが必要です。

すでに当制度を活用されている事業者様においては、過疎地での荷物配送や、長大な送電線点検といった遠隔監視による補助者の配置が難しい自律飛行といった運航形態において、運航管理システム等の運航管理体制を構築されたうえで、レベル3.5飛行が行われております。

 どうぞよろしくお願い致します。

レベル3.5飛行の許可・承認申請について

 航空局

飛行計画概要を送付

航空局の確認に返答する形で飛行計画の概要を送りました。

矢野事務所→航空局

航空局無人航空機安全課 制度改正ご担当様

お世話になっております。早速のご連絡ありがとうございます。

現時点でお答えできる内容をお送り致します。不足等ありましたら再度ご指導ください。どうぞよろしくお願い致します。

東北ドローン 矢野

航空局からの指示の開始

ようやく必要資料が送ってきました。

航空局→矢野事務所

矢野様
お世話になっております。航空局無人航空機安全課です。飛行のご詳細についてご連絡いただきありがとうございます。
添付のとおり、運航要件宣言書および飛行マニュアルを送付いたしますので内容ご確認いただき、運航要件宣言書作成の上返送いただければ幸いです。
作成に当たり不明点等ございましたら、本メールにご返信いただくか無人航空機安全課までお問い合わせください。
どうぞよろしくお願いいたします。
無人航空機安全課担当

航空局からの指示の連発

上記で指示された資料一式を送付したところ、再度以下の指示が来ました。

航空局→矢野事務所

矢野様
お世話になっております。
レベル3.5飛行については別添の追加基準への適合の確認が必要となっております。
また、恐れ入りますがDIPSにてレベル3.5のご申請は対応しておりませんので、紙でのご申請をお願い致します。
提出される場合は、御社にて使用される運航者コードアルファベット3桁をご教授ください。
どうぞよろしくお願い致します。
無人航空機安全課

ここで意味が理解できず再確認です。

矢野事務所→航空局

無人航空機安全課 ご担当者様

お世話になっております。

念のための確認ですが、ご指示の「別添の追加基準への適合の確認」は添付資料の中の以下の2点の提出ということでしょうか?

① 別添資料1-2
無人航空機の追加基準への適合性

② 別添資料2-3
無人航空機を飛行させる者の追加基準への適合性

添付資料には「飛行経路図」も含まれていますが、今回のご指示は上記①②のみの提出で「飛行経路図」は不要という理解で良いでしょうか。(機体重量は25kg未満です)

宜しくお願い致します。

矢野

すかさず返信が来ました。

航空局→矢野事務所

矢野様
お世話になっております。
恐れ入りますが初回のご申請ですのですべての項目にご記載いただけますでしょうか
どうぞよろしくお願いいたします。
無人航空機安全課

中略

航空局→矢野事務所

矢野様
お世話になっております。

五月雨となりますが、確認にお時間がかかりそうな点より質問を送らせていただきます。
・初期故障期間にかかわる資料ですが、文書より、製造者が初期故障期間を定めている旨が読み取ることができず、補足説明にて、「「事例」となっているが製造者が「保証資料」として確約」と記載されております。
恐れ入りますが、補足説明の根拠をご教授ください。

・飛行経路図において立入管理区画の幅を数字でご記載をお願い致します。
・無人航空機の追加基準への適合性について 目視外飛行(5)について
当該基準については無人航空機の全方位を確認できる必要があるところ、「若しくは」以下の方法にて基準を満足するようにご検討をお願いします。
・無人航空機の追加基準への適合性について 目視外飛行(6)について無人航空機の落下分散距離がすべて見えていることについて補足説明をお願い致します。
・操縦者の目視外飛行の確認事項(2)について、10時間以上の教育を完了してい
ることを明記お願いします
どうぞよろしくお願いいたします。

航空局

国産機だった為、データもきちんと用意されておらず苦労しました。

航空局→矢野事務所

矢野様
お世話になっております。
以下の点についてですが、申し訳ないところ、その旨を記載したメーカーからのメール、文書そのほかの資料はございますでしょうか(メーカーへ書き直しを依頼することは不可能なのでしょうか)
どうぞよろしくお願いいたします。

→製造者に再三確認したところ「事例」を「保証」と読み替えて欲しい旨の回答を得て提示したものです。
同様の指摘を5月のレベル3飛行申請時にも貴局から頂き、ご理解いただきましたので今回も踏襲した次第です。【東空運航第●●●号】

航空局

中略

中略

そして、ようやく本省から3.5飛行を行うことについての許可がでて、具体的な飛行計画の申請に移ることが出来ました。

航空局→矢野事務所

矢野様

航空局無人航空機安全課 制度改正担当です。

頂戴した運航概要宣言書の確認が済みましたので、航空局管理番号等を追記した資料をお送りいたします。
今回の宣言書の管理番号は【●●●-01】です。
なお、内容に変更が生じた場合は適宜更新のうえ再提出いただき、新たな番号を通知させていただくこととなります。

また、今後の流れですが、添付にてお送りする申請様式(記載、資料添付を大幅に簡略化した内容です)にて飛行場所に応じた申請先官署、本件であれば東京航空局にメールにて申請いただくこととなります。記載例ファイルをご参照の上、申請書類を作成願います。
現在、レベル3.5飛行の申請はメールによる書面申請となるため、こちらの様式で申請書を作成のうえ申請先官署に送付願います。
※別途申請先官署の担当者からの指示がない限り、添付の申請様式以外の追加資料は提出省略が可能です。
※許可承認書は紙媒体での発行となり、申請先官署からの郵送用に封筒をご手配いただくこととなります。あらかじめご了承のうえ、封筒手配に関して申請先官署から案内がありましたら適宜ご対応をお願いいたします。
※cab-emujin-daihyo@mlit.go.jpへご提出ください。

加えて、貴社からの初回の申請となることから、申請書作成時点でご不明な点がございましたら当方でも対応させていただくつもりです。その際には、申請先官署への資料提出前の段階で当方までご連絡いただければと思います。

引き続きよろしくお願い申し上げます。
航空局

以上、地方航空局とのやり取りは、また別の機会に。。。

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行政書士矢野法務事務所は「個別申請を専門とする事務所」です。

全国の運航事業者やテレビ局、映像会社から「スポーツ中継・高高度・花火大会・空港周辺・ドローンショー・レベル3.5飛行、レベル3飛行、その実証実験等々」包括申請では飛ばせない様々な個別案件の申請をお引き受けしています。期限の決まっている飛行などは特に当事務所にご依頼頂き確実な飛行許可申請をなさってください。

 

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