
イベント上空ドローン飛行は設計で決まる|矢野事務所
「イベント上空」飛行は包括申請では出来ません。場所を特定した「個別申請」が必要です。高度ごとに距離・範囲が厳格に決められた立入禁止区域の必設など,主催者共々の安全体制も義務となっています。2017年岐阜県大垣公園イベント墜落事故以来,非常に厳しくなりました。
— drone高難度申請 矢野事務所 (@drone_nippon) August 27, 2023
花火大会、野球大会、駅伝、地域イベント――。
季節によって「イベント上空」飛行の相談が集中する時期があります。
しかし、この分野の飛行申請は、一般的な包括申請とはまったく別世界です。
立入禁止区画、補助者配置、主催者との連携、安全管理体制まで含め、現場そのものが成立するかを審査されます。
つまりイベント上空飛行は、「飛ばせるか」ではなく、「その条件で本当に成立するか」が問われる飛行です。
イベント上空飛行の基本整理については、イベント上空はここで止まるでも整理しています。
このページで分かること
イベント上空飛行は包括申請ではできない
イベント上空飛行は、包括申請では対応できません。
必ず場所を特定した個別申請が必要になります。
しかも、単に場所を示せばよいわけではありません。
主催者との連携体制、補助者配置、第三者管理、立入禁止区画、飛行範囲、高度設定まで含めて具体的に示す必要があります。
つまり、イベント上空飛行は「許可申請」ではなく、実質的には「運航成立設計」の審査です。
厳格化の背景にある事故
2017年の岐阜県大垣公園でのイベント墜落事故以降、この分野の審査は大きく変わりました。
実際に来場者を巻き込む事故が発生したことで、立入禁止区画や飛行条件の考え方が大幅に厳格化されたのです。
現在では、高度ごとに必要な離隔距離が定められ、主催者を含めた安全体制まで含めて審査されます。
つまり、現在のイベント上空飛行の厳しさは、単なる行政運用ではなく、実際の事故を踏まえた安全設計の積み重ねです。
「そもそもイベント上空に該当するのか」という論点については、イベント上空か否かの判断基準でも詳しく整理しています。
線路は物件ではないが、安全判断は別
航空法上、「人又は物件から30m未満」の飛行規制があります。
ただし、土地と一体となった線路などは、形式上の「物件」には含まれないと整理されています。
しかし、だからといって鉄道付近を軽く考えてよいわけではありません。
実際の案件では、包括申請で「人モノ30m」の承認を持っていたとしても、鉄橋から30mを除外した経路をあえて設計したことがあります。

違反かどうかではなく、安全かどうかで判断したからです。
イベント上空飛行でも同じです。
条文上の許可要件だけではなく、「その現場条件で本当に成立するか」が問われます。
経路図作成は「運航設計」そのもの
イベント上空飛行では、経路図の精度が非常に重要になります。
上空写真、KML変換、DIPS経路図、緯度経度管理などを組み合わせ、飛行範囲と立入禁止区画を整合させる必要があります。
特に高高度案件では、DIPS経路図そのものが空域確認資料として有効な場合があります。

地図下に座標が並び、経緯度が60進法で表示されるため、空域確認との相性が良いのです。
経路図とは、「どこを飛ぶか」を描くものではありません。
「どこまで安全に成立させるか」を図面化する作業です。
大球場でのTV中継でも同じ
大球場でのTV中継にドローン映像を加える場合も、イベント上空飛行として立入禁止区画が必要になります。
飛行外周全方向に離隔距離が必要になるため、実際に使える飛行空間はかなり限定されます。
つまり、映像演出だけでなく、「その高度と飛行範囲で成立するか」を逆算して設計しなければなりません。
駅伝中継では多箇所申請になる
駅伝中継飛行では、多箇所申請になることがあります。
その場合、飛行範囲の外周から内側に向けて、高度ごとに立入禁止区画を刻みながら設計することがあります。
これは、当日の現場判断に柔軟性を持たせるためです。
高度を上げるということは、その高度に耐えられる立入禁止区画を先に確保するという意味です。
つまり、高度設計と第三者管理は完全に一体です。
飛行範囲と立入禁止区画、どちらが先か
催し上空飛行では、飛行高度に応じて、飛行外周から一定距離の立入禁止区画が必要になります。
逆に言えば、立入禁止区画が成立しなければ、その高度では飛ばせません。
つまり実務では、「飛ばしたい経路」から設計するのではなく、「成立する第三者管理」から逆算して飛行範囲を決めていきます。
そして最後に問われるのが、「もし現場条件が崩れた時、誰が中止判断を下すのか」です。
この考え方については、ドローンは中止判断で決まるでも整理しています。
まとめ
イベント上空飛行は、包括申請では成立しません。
場所を特定した個別申請が前提となり、立入禁止区画、補助者配置、主催者との連携、安全管理体制まで含めて審査されます。
つまり、問われるのは「許可が取れるか」ではありません。
「その現場条件で、本当に安全に成立するか」です。
飛行範囲、高度、第三者管理、主催者連携、中止判断まで含めて整理しない限り、同じイベントでも結論は変わります。
◆ドローン運航は「事後説明」を前提に設計する◆
許可があっても、現場で止まる案件は少なくありません
ドローン運航は「許可が取れるか」ではなく、現場で最後まで成立するかで判断する必要があります。
- 第三者管理は維持できますか?
- 監視体制は機能しますか?
- 中止判断は定義されていますか?
- 関係者への説明は通りますか?
これらが整理されていない案件は、許可があっても現場で止まります。
※飛行許可申請「のみ」のご相談にも対応しています
