DID+夜間+目視外複合飛行を申請

 

この記事はX(エックス)投稿を補足解説したブログ記事です。

ガンバ大阪の試合をスタジアムの外から遠巻きに空撮する飛行でした。

広報用の映像資料ということで操縦者はその道のプロである朝日放送のカメラマンです。

  このページで分かること

飛行の概要

飛行内容

飛行内容
・飛行場所大阪府吹田市千里万博公園33 万博記念公園スポーツ広場内
・飛行日令和7年2月14日(金)・予備日2月15日(土)時刻16:00~21:00
・人口集中地区における高度150m未満の夜間・目視外による飛行
・パナソニックスタジアム吹田の夜間の遠景撮影を目的とする

飛行範囲等

飛行範囲等
・スタジアムに隣接するガンバ大阪練習場の敷地内に限定
・飛行は対地高度65m未満にて実施
・飛行時間は1回約15分程度で必要に応じて3~4回程度飛行させる
・最大同時飛行機数は1機

経路図

この案件の申請当時、夜間飛行の一番のポイントは「飛行高度と同半径の第三者制限」でした。

つまり飛ばす高さと同じだけの半径を立入管理とせよというルールです。

国土交通省航空局標準マニュアル②(令和4年 12 月5日版)

3-3(2)飛行高度と同じ距離の半径の範囲内に第三者が存在しない状況でのみ飛行を実施する。

飛行計画の第一歩はこのルールをどう実現するか、、、です。

そしてそれを反映した飛行経路がこの図でした。

飛行のために確保できていたのはこの長方形の敷地で、ここがガンバ大阪の練習場です。

この敷地の上空で飛ばそうとする場合、その飛行地点からの半径をその時の飛行の高度と同じ長さだけ第三者の進入ができないよう措置する必要がありました。

たとえば半径距離が最も取れそうな敷地の中心部である黄色の点の地点で上昇できるのは高度65mまでです。

それ以上になると半径も65m以上確保する必要が生じ、例えば70mまで広がれば隣を走る「道路」にまで第三者進入を制限しなければならなくなり、それができないからです。

この敷地(練習場)で立入禁止にできる距離は65m周囲が限界なので、結果高度の上限もも65mまでということになるわけです。

青の線で描かれている30mの半径距離と高度30mの関係も同様です。

高度30mで飛ばす範囲が、どこをとっても半径30mが立入禁止になっていることがわかります。

これが2025年3月までのルールでした。

なお、このルールは現在では撤廃され標準マニュアルは次のような記載に変更されています。

3-3(2)
日中、飛行させようとする経路及びその周辺の障害物件等を事前に確認し、適切な飛行経路を選定する。

安全管理

この経路図で示した趣旨を文章で表したものを「安全管理策」として飛行計画書に記載しました。

立入管理区画

①夜間時間帯の飛行の為、飛行高度と同距離の半径の範囲内に第三者が存在しない状況でのみ飛行を行う。
②飛行高度65m未満を踏まえ、飛行範囲の外周から65m以内の範囲を立入管理区画とする。
③当該区画の明示及び第三者進入等の監視は下記の通り補助者の配置により行う。

安全対策について

①ドローンの飛行エリア内であること、飛行中であることを周知するために補助者を配置する。
②補助者は練習場の全体が見渡せ、立入禁止区画に隣接する道路との境界近隣に配置し立入制限や注意喚起を行う。
③補助者は飛行経路下に第三者の進入を認めた場合、またその他飛行に支障があると判断した場合は飛行を中止するよう操縦者に助言を行う。
④その他、特に飛行マニュアルの「夜間の目視外飛行」を遵守する。

第三者の多いDIDであること、夜間は機影が見えにくいこと,、、等から、風にあおられ制御できずに経路からはずれる事態の重さをを懸念しました。

風速による飛行の中止

風速による飛行の中止
①夜間における目視外飛行であることを鑑み、強風時の対応を以下とする。
②風速+速度が7mを超えた場合は直ちに飛行を中止する。
③②の見落としに備え使用機は送信機に強風警告表示される機種( DJI MAVIC3 )

夜間の目視外飛行

更に最も難度の高い「夜間の目視外飛行」の安全を確保するために独自マニュアルを作成しました。

ここが経路図に続く最大の山場です。

ここには全20項目を列挙しまさに安全対策のオンパレードとなりました。

独自マニュアル

3-5 夜間に目視外飛行(補助者あり)を行う際の体制

(1) フェールセーフ機能
(2) モーターの回転を即時停止できる機能
(3) 事前確認
(4) 試験飛行
(5) 異常の有無を把握し、その記録を保管
(6) 危機回避機能
(7) 不時着し、沈没した場合
(8) 補助者の義務
(9) 補助者の業務
(10) 夜間時、離発着場所の処置
(11) 飛行経路下一帯の安全体制
(12) 補助者配置場所の記録保管・管理
(13) 機の位置及び異常の有無を常時モニター
(14) 機体の灯火(LED)確認
(15) 自動操縦システム
(16) 夜間飛行の能力
(17) 夜間飛行の訓練
(18) 補助者配置と役割
(19) 遠隔操作の能力
(20) 夜間・目視外体制への準拠

このようにして「DID+夜間+目視外」という複合飛行に許可がおりたということです。

おわり

他の申請事例はこちら

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