
隅田川ドローン飛行の実務判断|矢野事務所
隅田川上空でドローンは飛ばせます。
ただし、「河川上空だから飛ばせる」では終わりません。
実務で問題になるのは、河川管理の手続が要るかどうかだけではなく、
- どこから離着陸するのか
- 橋や公園管理に触れないか
- 警視庁の水路使用許可が必要か
- 第三者管理が成立するか
この4点です。
つまり、隅田川案件は「手続があるか」ではなく、どの場所から、どの構造で飛行を成立させるかが本体です。
このページで分かること
結論|隅田川は飛ばせるが、そのままでは成立しません
隅田川上空の飛行は、河川上空というだけで一律禁止されているわけではありません。
しかし、現場では次の順番で整理しないと止まります。
隅田川飛行は「飛ばせるか」ではなく「どこから、どの管理で、どう成立させるか」で決まります。
- 河川管理側の手続要否
- 離着陸地点の管理者確認
- 橋・公園・護岸の扱い
- 警視庁の水路使用許可
ここを飛ばして「川の上だから大丈夫」と進めると、現場で止まります。
隅田川上空そのものは一律禁止ではありません
隅田川はDIDのど真ん中です。
そのため、最初は「行政の河川管理ルールで相当厳しく規制されているだろう」と見られがちです。
ところが実務では、河川上空そのものについて、都の建設事務所側で特別な手続が要らないと整理される場面があります。
ただし、ここで誤解してはいけません。
「都の手続が不要」=「その飛行がそのまま成立する」ではありません。
このズレは、道路上空でも同じです。
→ 申請不要でも止まる道路上空の実務事例はこちら
最初に分けるべきは「上空」と「離着陸地点」です
隅田川案件で最初にやるべきことは、河川上空の話と、離着陸地点の話を分けることです。
上空の整理
河川上空自体については、都の河川管理手続が不要と整理される場合があります。
離着陸地点の整理
一方で、どこから機体を上げ下ろしするかは、別の問題です。
ここで重要なのは、民地か、公用地かです。
- 民地 → その土地管理者との関係で整理
- 公用地 → 行政管理者の使用手続が必要になる場合がある
つまり、隅田川案件では「上空だけ見て進める」と必ずズレます。
橋は使えるとは限りません
隅田川で人気の撮影ポイントの一つが桜橋です。
ただし、ここで典型的な勘違いが起きます。
「橋の上は見通しがいいから、そこから離着陸すればよい」
これは危険です。
桜橋は歩行者専用橋で、しかも公園的な管理に乗っています。そのため、橋上での離着陸はNGと整理されることがあります。
つまり、撮影対象として橋が魅力的でも、離着陸地点として成立するとは限りません。
橋を撮るなら「橋から飛ばす」ではなく「橋を外から撮る」発想です
実務では、橋から10m程度離れた護岸から離着陸し、橋梁から30mを外して飛行させる、というような組み方が現実的です。
この考え方は、単なる距離規制ではなく、第三者や管理対象物との関係をどう切るかの問題です。
→ ドローン30m規制の考え方
実務上の離着陸候補は墨田川テラスです
隅田川の護岸は「隅田川テラス」として整備されている区間があります。
このため、橋上や公園内ではなく、護岸側から飛ばすという発想が実務では有力です。
ただし、ここでも「整備されているから自由に使える」ではありません。
管理主体の確認が必要です。
左岸・右岸で担当が分かれます
例えば隅田川テラスの利用や撮影については、都の建設事務所側で担当が分かれています。
第五建設事務所(左岸・墨田区側)
隅田川テラスの利用や撮影:管理課 河川管理担当 03-3692-4356
第六建設事務所(右岸・台東区側)
テラスの撮影:管理課 テラス適正化担当 03-3882-1268
つまり、隅田川案件では、どの岸から飛ばすかで確認先まで変わります。
河川管理だけで終わらないのが隅田川案件です
ここが一番大事です。
都の手続整理ができても、まだ終わりません。
警視庁湾岸警察署の水路使用許可が論点になります。
これは、河川や水路上空での飛行において、船舶通行や水上利用との関係を整理するための実務上かなり重い手続です。
まず電話確認、その後に資料整理です
実務感覚では、いきなり書類を出すより、まず電話で管轄を確認し、許可の方向性を内諾レベルで確認してから入った方が安全です。
提出資料は軽くありません。
- 飛行経路図
- 機体スペック
- 安全対策
- 飛行許可書
- 緊急連絡体制
など、実務ではかなりのボリュームになります。
したがって、撮影日ありきで動くと危険です。水路許可だけで10日程度を見込む感覚が必要です。
隅田川案件で本当に止まるのは「手続不足」より「設計不足」です
隅田川案件は、手続が多いから難しいのではありません。
手続と現場が一致していないと成立しないから難しいのです。
具体的には、
- 橋から飛ばせないのに、橋から飛ばす前提で組んでいる
- 護岸利用が必要なのに、その管理者確認が抜けている
- 川上空はよくても、警察の水路許可が抜けている
- 第三者管理や立入管理が弱い
こういうズレで止まります。
つまり、隅田川案件は「法令調査」だけでは足りません。飛行の組み方そのものを設計できるかが本体です。
こういう案件は事前整理した方がよいです
- 隅田川や運河など都心水辺の撮影案件
- 橋梁を撮りたい案件
- 護岸・テラス・河川敷を離着陸地点に使いたい案件
- 警察・河川管理・施設管理が複数重なる案件
この種の案件は、許可があるかどうかより前に、どこから、どの管理下で、どう飛ばすかを固めた方が安全です。
まとめ
隅田川上空でドローンは飛ばせます。
ただし、川の上だからそのまま飛ばせるわけではありません。
- 河川管理手続の整理
- 離着陸地点の管理者確認
- 橋や公園の扱い
- 警視庁の水路使用許可
- 第三者管理と立入管理
この5点を切り分けて初めて、隅田川案件は成立します。
つまりこの案件は、「飛ばせるか」ではなく、どこから、どういう構造で成立させるかの問題です。
◆ドローン運航は『事後説明』を前提に設計する◆
許可があっても、現場で止まる案件は少なくありません
ドローン運航は「許可が取れるか」ではなく、現場で最後まで成立するかで判断する必要があります。
- 第三者管理は維持できますか?
- 監視体制は機能しますか?
- 中止判断は定義されていますか?
- 関係者への説明は通りますか?
これらが整理されていない案件は、許可があっても現場で止まります。
※飛行許可申請のみのご相談にも対応しています
