ドローン高度150m以上申請の許可事例

 

この記事はX(エックス)投稿を補足解説したブログ記事です。

高度1000m

高度150m以上の申請は何度もやって来ましたが、1000mクラスは初めてでした。(実際の飛行は風速の問題から高度700mで行われました。)

しかも場所が東京都内のDIDで、更に時間帯も日出前、日没後の「夜間」でした。

非常に珍しい飛行だったので、業界紙も取材にきました。

東京都内で3月18日、日の出前後に、ドローンを使って空中の二酸化炭素(CO2)濃度を測定する実験飛行が行われた。東京都内、夜間、目視外、高高度と多くの許可・承認申請の対象条件を整えた飛行は珍しい。実験は東京大学大気海洋研究所気候システム研究所気候モデリング研究部門の部門長、今須良一教授を中心に、秋田県立大学、東京都立大学、東北大学、合同会社ソラビジョン、株式会社東北ドローン、矢野法律事務所などの専門家チームが実施し、地上700m超までの高さから地上までの間を測定した。実験結果は分析したうえ学会で公表する方針だ。

ドローントリビューン:東京都内で夜間、目視外、高高度飛行によるCO2濃度測定 東大・今須教授ら専門家チーム

×矢野法事務所
〇矢野法事務所

飛行許可申請

150m以上、DID(人口集中地区)、夜間、目視外、人モノ30m、、、という申請ラインナップです。

とてもDIPS内だけの記述では伝わらないので、いつものように別途「飛行計画書」を作成し提出しました。

その飛行計画書も、管制機関である自衛隊基地との調整やスケジュール変更で、結局第四版まで作りなおすことになりました。

自衛隊基地との調整

時間の調整

東京管制部から指示された「横田基地」との調整を皮切りに、自衛隊立川基地との調整が難航しました。

というのも離着陸地点が立川飛行場の管制圏に入っていたからです。

訓練機が通過する空域とちょうどかぶっていて、訓練機の飛行時間の8時から17時までは不可。

そこで、その時間帯を避けて「17時半~翌日7時半」の間の飛行となりました。

上昇ポイントの変更

また、1000m高度のポイントを管制圏「外」とすることも許可の条件となりました。

訓練機が通過する高度と同じだからということです。

そこで下図のように、離陸地点と高高度上昇ポイントとをずらし、管制圏から脱出する方法をとりました。

調整結果(飛行方法)

このような調整の結果、飛行計画書に記載した「飛行方法」は次の通りです。

飛行方法

離陸地点から高度150M未満を維持しながら東方向に約550M水平移動する。550M地点から垂直上昇に転じ最高高度1000m地点でホバリングする。徐々に真下に降下し、200m毎にホバリングし気温測定する。(1000m→800m→600m→400m→200m)
飛行時間は午前4時から午前7時までの間。1回約15分程度で必要に応じた回数を飛行させる
最大同時飛行機数は1機

東京空港事務所

以上の調整結果をもとに東京空港事務所へ飛行許可を申請します。

申請方法はいつものDIPSです。

基本はDIPSの設問に導かれて行けばよいのですが、不可欠なのは「調整の結果」です。

DIPSの参照中で次のように示されています。

地表等から150m以上の上空の飛行の申請の場合には、空域管理機関と調整の上、調整結果を入力してください。なお飛行申請手続きに関し、空域を管轄する関係機関の了解を得られていない空域・飛行高度での申請は認められません。また、関係機関との事前調整後、空域・飛行高度の内容を変更する場合は改めて事前調整を行った上で、調整結果を入力してください。

 

下のように、調整先と調整内容を記載する欄があるので記載します。

この記載内容に基づいて空港事務所は調整機関に直接連絡を取り確認をします。

立川基地との調整が二転三転した際などは、空港事務所へ申請する都度、立川基地に確認が入り、未決状態の時には押し戻されました。

DIPSからのサジェスト

申請を進めていくと次のような案内が出てきます。

当然、今回の飛行は目視外飛行も夜間飛行も行う計画ですので、DIPS申請はこの指示通りに東京空港事務所と東京航空局の二か所に送りました。

まずは東京空港事務所におくりました。

以下もDIPSの中で確認できる案内です。

申請書の提出先は次のとおりです。
・空港等の周辺又は地上等から150m以上の高さの空域における飛行の許可の申請
→東京空港事務所または関西空港事務所
・上記以外の許可・承認申請
→東京航空局または大阪航空局
・公海上のみ
→国土交通省(本省)
なお「空港等の制限表面高さを超える飛行」かつ「人又は家屋の密集している地域の上空の飛行」等、申請提出先が異なる飛行申請を必要とする場合は、同一の申請書を空港事務所、及び地方航空局宛て申請する必要があります。
この場合、一方の申請書を作成した後に、申請書複製機能を使用して、作成済みの申請書の提出先を変更し、それぞれに提出してください。

つぎに飛行経路を作成します。

場所については非公開とされています。ご容赦ください。

これ以降は、通常のDIPS申請と同じです。

最後に「飛行計画書」を添付しました。

東京航空局

次に、もう一つの申請先「東京航空局」です。

上記と同じ申請書でも、こちらでは目視外飛行や夜間飛行等の高度150m以上以外の特定飛行について審査されます。

特筆すべきことはありませんでした。

許可書

以上でした。ここまでお読みいただきありがとうございました。

行政書士矢野法務事務所は「個別申請を専門とする事務所」です。

全国の運航事業者やテレビ局、映像会社から「スポーツ中継・高高度・花火大会・空港周辺・ドローンショー・レベル3.5飛行、レベル3飛行、その実証実験等々」包括申請では飛ばせない様々な個別案件の申請をお引き受けしています。期限の決まっている飛行などは特に当事務所にご依頼頂き確実な飛行許可申請をなさってください。

 

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