ドローン輸送に「廃線」活用の可能性

 

レベル4で実現しようとしているドローン物流は、ラストワンマイル問題の解決が期待され

ドローンの社会実装の到達点と考えられています

そのドローン輸送の一方法として「鉄道の廃線利用」の可能性を考えてみました。

ドローンが廃線の軌道上空を飛行し荷物を運ぶということです。

可能性を感じる理由

この方法が可能性を持っているその理由を列挙してみました。

廃線の周辺地域は過疎化

鉄道が廃線となる大きな理由は乗客の少なさです。

従って、廃線の周辺地域はもともと過疎化の進んだ地域であり、廃線化されればその不便さから人口は益々減少していきます。

そうなれば近隣に商店も少なくなり生活するには一層不便な場所となっていき、生活物資の宅配ニーズは多いはず。

もともと都市部や郊外地域を結ぶ役割を果たしていた鉄道の上空をドローン飛行に使えば、都市部と近郊地域の荷物の配送がスムーズになり、人々の生活を改善することができます。

レベル4よりも安全で簡単

ベル4飛行は、人がいる地帯の上空を補助者なしでモニターを見ながら飛行させるという、危険性や難度の高い飛行方法です。

人が極めて少ない廃線の上空で飛行することは無人地帯と同様の環境となり、街の中をレベル4で飛行させるよりも安全・簡単で、より多くの荷物を運ぶことにもつながります。

直線的な飛行

廃線となった鉄道の軌道は、長い距離をつなぐ道路や高速道路と同様に、地形にそってまっすぐに伸びています。

直下に交通渋滞や道路工事などが少なく、より高速で安全に移動できるという利点があります。

鉄道の地上空は、建物や道路などの障害物が少なく、空間が広く開けています。

これはドローンが移動するための理想的な場所であり、ドローンにとって飛行しやすい環境となった鉄道の廃線軌道を利用することで、より効率的かつ環境に優しい輸送が可能になるかもしれません。

荷物の受渡し場所へのアクセス

ドローンは「飛行」することによって、地上を走る車やトラックと比べて、直線的に進むことができるため、軌道に沿って荷物の受け渡し場所を設置しておけば、受取手にとってはアクセスすることが容易になるでしょう。

廃線の再利用課題を解決

「廃線の再利用」というのは鉄道貴社や地方自治体が再活用を模索している社会的な課題となっています。

2020年、豊田市と愛知県は、名鉄三河線廃線跡の一部区間をドローンの専用空路に見立て、地元小売店から地域住民への商品配送を想定した実証実験を行いました。

また、名鉄グループは荷物の配達など輸送、分野でのドローン活用に注目し、ドローン配送の実証実験に積極的に取り組んでいます。

将来的には廃線を利用した配送網の構築を目指すことも考えられ、再利用事業に一筋の光が見えてきます。

空域・安全性・遠隔操作・天候・機体etc

しかし、ドローンを鉄道の軌道上で飛行させるためには、いくつかの課題があります。

空域管理の問題

鉄道の廃線上空は、現在は航空法によって管理されていません。

ドローンが上空を飛行するためには、適切な空域管理が必要となります。

ドローンの安全性

ドローンが鉄道の廃線上空を飛行する場合、地上に人がいないかどうか、障害物がないかどうか、十分に確認する必要があります。

また、万が一ドローンが墜落した場合の被害を最小限に抑えるための対策も必要です。

ドローンの遠隔操作

鉄道の廃線上空を飛行するドローンは、遠隔操作によって操縦されることがほとんどです。

遠隔操作の安定性や通信の問題が発生した場合、ドローンの操作が困難になる可能性があります。

また、地上の電波状況に影響される可能性もあります。

飛行ルートの設計

安全かつ効率的なルートを設計する必要があります。

また、ドローンの飛行地上がの施設や住民の生活に影響を与えないようにすることも必要です。

天候条件の影響

天候条件によって飛行できなくなるのがドローンです。

風が強い場合や雨が降る場合など、飛行可能な環境であるかどうかを常に確認する必要があります。

飛行上の環境問題

ドローンが飛行上に廃棄物やゴミなどが発生させるような可能性はないものでしょうか。

電力の確保

長時間の飛行、荷物の重量に堪え得る電力を確保するためには、適切なバッテリーの使用や、充電設備の整備などが必要です。

航空機の信頼性

高度に信頼性の高い機体が必要です。

特に、遠隔操作で操縦されるドローンの場合、通信エラーやバッテリー切れなどによる機体の停止は大きなリスクとなります。

法律上の問題

鉄道の廃線上空を飛行するドローンは、法律上の規制が必要です。

例えば、航空法に基づく運用規則や、個人情報保護法に基づくプライバシー保護などがあります。

規制を遵守しながら運用する必要があります。

参考記事:ドローン宅配いつから?ラストワンマイル問題