
FPV飛行は確認機能で成立する|矢野事務所

ゴーグルを装着し、機体から送られてくる映像を見ながら飛ばす方式をFPV(ファースト・パーソン・ビュー)といいます。
FPV飛行では、航空法だけでなく、電波法上の準備も必要になります。
ただし、FPVの本質は「ゴーグルで飛ばすこと」ではありません。
操縦者自身が直接周囲を見続けられない中で、どう確認機能を代替するかです。
つまりFPVでは、
- 映像が切れたらどうするか
- 第三者接近を誰が確認するか
- 補助者が何を見るか
- 異常時どこで止めるか
- 帰投判断をどう行うか
まで含めて整理しなければ、実務上の運航は成立しません。
このページで分かること
FPV飛行では「資格」と「開局」が必要
趣味でFPVを行う場合、一般に問題になるのは、映像伝送に使う無線設備です。
JARDは、5.6GHz帯を利用するドローンFPVについて、第4級アマチュア無線技士以上の資格と、アマチュア無線局免許が必要だと案内しています。
つまり、資格を取るだけでも足りず、無線局の開局まで進めて初めて運用の前提が整います。
まず必要なのはアマチュア無線資格
趣味のFPV運用では、まずアマチュア無線の資格を取得します。
一般には第4級アマチュア無線技士以上が入口になります。
ここで大切なのは、資格を取っただけではまだ飛ばせないということです。
無線従事者資格は「使う人の資格」であって、「その機材をそのまま使ってよい」という意味ではありません。
業務利用は別整理になる
仕事や業務でFPVを使う場合は、趣味運用とは整理が変わります。
業務利用では、無線局の種類、主任無線従事者、運用体制など、別の整理が必要になる場合があります。
業務用開局はこちらで整理しています。
FPVの本質は「確認機能低下」
FPVでは、操縦者がゴーグル映像へ集中します。
つまり、周囲全体を直接見続けることが難しくなります。
その結果、
- 第三者接近
- 車両進入
- 補助者位置
- 障害物接近
- 有人機接近
- 周辺変化
の確認が弱くなります。
つまりFPVは、単なる映像飛行ではありません。
「直接目視できない状態をどう補完するか」の運航です。
FPVは映像断を前提に考える
FPVでは、映像伝送へ依存します。
しかし、FPV映像は常に安定するとは限りません。
例えば、
- 映像遅延
- ノイズ
- 映像断
- 受信不安定
- VTX出力問題
- アンテナ方向ズレ
が起きる可能性があります。
つまり、FPVでは「見えている前提」が突然崩れることがあります。
そのため、
- 映像断時どうするか
- 帰投判断をどう行うか
- どこで飛行中止するか
を事前に決めておく必要があります。
補助者は「いるだけ」では意味がない
FPVでは、補助者が極めて重要になります。
ただし、補助者を配置すれば終わりではありません。
重要なのは、補助者が何を確認するのかです。
例えば、
- 第三者接近
- 周辺車両
- 有人機接近
- 飛行範囲逸脱
- 操縦者死角
などを、補助者側で確認する必要があります。
つまりFPVでは、
操縦者の確認機能を補助者側へ分担移転する
という発想が必要になります。
第三者管理はFPVでさらに重要になる
FPVでは、操縦者がゴーグル映像へ集中するため、第三者接近への反応が遅れやすくなります。
したがって、第三者が立ち入らない状態をどう維持するかが重要になります。
特に、
- 公園
- 河川
- イベント
- 観光地
- 空撮現場
などでは、第三者の動きが読みにくくなります。
そのため、FPVでは、
- 誰が周囲を見るのか
- どこを監視するのか
- 誰が停止判断するのか
を先に整理する必要があります。
第三者整理の考え方は、第三者と関係者の整理で止まる理由:矢野事務所でも整理しています。
資格取得方法は2つ
1)国家試験で取得する
日本無線協会が実施する国家試験を受けて取得する方法です。
参考書で勉強して試験に臨む、最も一般的な方法です。
2)養成課程(講習)で取得する
もう一つは、養成課程を受講して取得する方法です。
日本無線協会は、各地の公募養成課程を案内しています。
国家試験に比べて費用はかかりやすいですが、比較的早く資格取得しやすい特徴があります。
ただし、ここで取得できるのはあくまで無線従事者資格です。
FPV運用そのものは、次の開局手続まで終えて初めて前に進みます。
次に必要なのが「無線局開局申請」
VTXは無線局の問題になる
FPVでは、機体側のカメラ映像を送る送信機をVTX(ビデオトランスミッター)と呼びます。
このVTXが電波を発射する以上、電波法上は無線局の論点が生じます。
つまり、資格を持っていても、使う送信機側の整理が終わっていなければ、そのまま合法運用にはなりません。
JARDがFPV手続を案内している
JARDは、FPVドローン向けに「ドローンFPVの免許/増設の手続」を案内しています。
JARDでの審査完了まで2〜4週間程度、その後に総合通信局の審査を経て、免許事項証明書が送られる流れが示されています。
つまり、資格取得後すぐ飛ばせるわけではなく、開局まで一定期間が必要です。
技適がないVTXはさらに注意が必要
FPV機材では、海外製VTXを使うケースがあります。
この場合問題になるのが、技術基準適合証明、いわゆる「技適」の有無です。
FPVでは、
- 資格があるか
- 開局できているか
- VTXを適法に扱えているか
を分けて確認する必要があります。
FPVは「目視外」の論点も重なる
FPVは、ゴーグル飛行である以上、航空法上の目視外飛行の論点も発生します。
つまり、FPVでは、
- 電波法
- 航空法
- 目視外飛行
- 第三者管理
- 補助者設計
が同時に重なります。
したがって、「無線資格だけ取れば飛ばせる」という単純な話ではありません。
目視外飛行全体の考え方は、目視外飛行の成立条件と判断整理|矢野事務所でも整理しています。
まとめ
FPV飛行では、まずアマチュア無線資格を取得し、その後にVTXを含む無線局の開局手続を行う必要があります。
しかし、本質は資格取得だけではありません。
FPVでは、操縦者自身が周囲を直接見続けられないため、確認機能をどう代替するかが重要になります。
映像断。
第三者接近。
補助者機能。
停止判断。
帰投判断。
これらを整理して初めて、FPV運航は成立します。
◆ドローン運航は『事後説明』を前提に設計する◆
法人案件では「飛ばせるか」だけでは進まないことがあります
ドローン運航は、許可が取れるかだけでなく、現場で最後まで成立するかで判断する必要があります。
- 第三者管理は維持できますか?
- 監視体制は機能しますか?
- 中止判断は定義されていますか?
- 発注者・関係者への説明は通りますか?
これらが整理されていない案件は、許可があっても現場で止まる方向に傾きます。
※飛行許可申請のみのご相談にも対応しています
