災害時のドローン飛行許可手続き:包括申請の矢野事務所

災害対応の緊急度VS.飛行許可

 

災害時におけるドローンには様々な用途があり、この時ぞとばかりドローンならではの真価を発揮します。

実際に、平成28年の熊本地震や岩手県台風10号、29年九州北部豪雨では被害を受けた地域を
国土地理院がドローンで撮影を行い情報収集に貢献しました。

平常時のドローン飛行は様々な規定に囲まれていますが、災害時ではどうなるのでしょうか。

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【刷新版】独自マニュアル進呈

災害時のドローン飛行許可手続き

飛行調整の発令と飛行自粛

大規模災害発生時には、被害状況の調査、行方不明者の捜索、漂流者の救助等々を目的として航空機・無人航空機が多く飛行します。
この為、よくおこなわれるのが「飛行調整」と言われるものです。

平常時はドローンでも飛行許可の不要な場合がありますが、この「飛行調整」の際には許可・承認を要しない飛行についても「飛行の自粛」や飛行調整のための「通報」を求められることがあります。

この飛行調整等の緊急措置が発せられた場合は、国土交通省HP「無人航空機(ドローン・ラジコン器等)の飛行ルール」に「最新情報」として掲載されます。

ドローンの災害時の特例

飛行調整が発令されれば基本的にはドローンの飛行は自粛することになりますが、それでも飛ばさなければならない場合があります。

この時には、ドローンが通常時に航空法によって禁止されている空域や禁止されている飛行方法が無許可で許される特例があります。

元々、飛行禁止区域というのは高度150m以上、人口密集エリア、空港の周辺の三つ。飛行の方法で禁止されているものは、人又は物からの距離30m未満飛行・夜間飛行・目視外飛行・イベント上空・物件投下・危険物輸送の六つです。

これらの禁止規定が災害時においては適用されない場合があるのです。

 特例適用者による飛行

どのような場合かというと、国や地方公共団体又はこれらの依頼を受けた者である「特例適用者」が行う場合です。

 国や自治体がやる場合が許されるのは理解できます。しかし、民間の事業者でも国や自治体の依頼を受けた者であれば航空法の規定から外れることができるのです。

この点については、国交省が「無人航空機の飛行に関するQ&A」で明記しています。

「国や、地方公共団体又はこれらの依頼を受けた者が、事故・災害に際し、捜索、救助のために無人航空機を飛行させる場合には、航空法132条(飛行の禁止空域)及び第132条の二の第5号から第10号まで(飛行の方法)の規定が適用されません。」

自治体以外の例えば事業者の場合でも、災害時、国や自治体から依頼された者ならば、通常時の飛行許可がなくても飛ばせるということです。

航空法で定められている分けではありませんが、自治体との協定で事後の報告ルールを定めるケースもあるようです。

因みに静岡県三島市では、災害時に備えてドローンの活用に関する協定を一般企業と締結しました。

この企業が特例適用者に該当します。

熊本地震や九州北部豪雨などの経験から、ドローンによる空撮画像で情報収集することが有効な手段であると改めて認識された結果です。

航空法第132条の92の適用を受け無人航空機を飛行させる場合の運用ガイドライン

一般事業者の無許可事項はNG

では、国や地方自治体からの依頼を受けた者以外の事業者独自の自主的災害対応は含まれるのでしょうか?

ここについても国交省はQ&Aで明記しています。

「含まれません。事業者独自の対応は許可・承認を取得して頂く必要があります。」

「なお、事故発生時の無人航空機の使用に支障のないよう、数か月から1年といった一定の期間内の飛行や、複数の個所及び地域における飛行について包括的に許可を行うなどの運用も考えています。」

災害時のドローン飛行では、国や地方自治体依頼を受けた者に関しては飛行許可は必要ない。しかしそれ以外の事業者は許可が必要だということです。

国や地方公共団体に関わらない事業者独自の自主的災害対応はこの特例には含まれない。

事業者独自の対応は許可承認を取得する必要ありということです。

一般事業者独自の対応は要注意

殆んどの事業者が持っている包括申請で、例えば「30m未満、目視外、DID」は取得していたが、たまたま「夜間飛行」は取得していない人がいた場合、大きな地震が夜間に起こってドローンを飛ばさなければならなくなった際に緊急の措置として飛ばせるかというと、飛ばせません。

一般事業者は「特例適用者」にが該当しませんから「夜間飛行」の許可取得がなければ飛ばすことができないということです。

ここの事業者独自の災害対応で注意しなければならないところです。

 災害時の被害状況の調査もOK

更に、災害時の被害状況の調査は「捜索・救助のために行う無人航空機の飛行」に該当するのでしょうか。

該当します。

「人命や財産に脅迫した危険のおそれがある場合、人命の危機や財産の損傷を回避するための調査については「捜索・救助のために行う無人航空機の飛行」に該当します・・・

と、Q&Aには書かれています。

そういった被害調査に関してもドローンを飛ばしても大丈夫ということです。

 

災害時は捜索や救助のためしか飛ばせない…というふうに読み取れてしまう可能性がありますが、そうではなく被害状況の調査に関しても飛ばして良いということになっています。

 特例適用者も飛ばし放題ではない

国もしくは地方公共団体又はこれの元の依頼を受けた者、これ特例適用者といいます。

特例適用者が事故災害時に飛ばす場合に、特に気をつけないといけないことが特別に文書化されています。

【航空法第 132 条の3の適用を受け無人航空機を飛行させる場合の運用ガイドライン】です。

このガイドラインの「目的」に

「特例適用者の責任においてその飛行により、航空機(有人機)の航行の安全並びに地上および水上の人および物件の安全が損なわれないよう、許可等を受けた場合と同程度の必要な安全確保を自主的に行って無人航空機を飛行させる必要がある」

とされています。 

つまり、別に国だからといって飛ばし放題というわけではないということです。

航空機の航行の安全と地上および水上の人および物件の安全が損なわれないよう安全確保を行いなさいということが、念押しされているということです。

許可はいらないがしっかりと安全対策をとりなさいという趣旨です。

空港周辺・150m以上は空港事務所への通知

特にこの空港周辺および地上または水上から150m以上でドローン飛ばす場合は、空港等の管理者又は空域を管轄する関係機関と調整した後、当該空域の場所を管轄する空港事務所に以下の情報を電話した上で、電子メールまたはファクシミリにより通知しなさいというルールになっています。

 通知すべき情報というのは次の通り。

通知すべき情報

・飛行目的(例えば山岳救助:滑落者の捜索)

・飛行範囲(地域名又は都道府県名、緯度経度)

・最大の飛行高度(地上高及び海抜高)

・飛行日時(終了時刻が未定の場合はその旨を連絡)

・機体数(同時に飛行する無人機の最大機数)

・機体諸元(種類、重量、寸法、色等)

・飛行の主体者の連絡先

・飛行の依頼元(依頼に基づく場合) 

これらの情報をしっかりと伝えてくださいということです。

なお、「航空法132条第1項第1号の空域」(空港周辺・地上・水上から高度150m以上)以外で無人航空機を飛行させる場合は、
空港事務所への通知は不要である…と念が押されています。

解説記事
空港周辺でのドローン飛行その1
空港周辺でのドローン飛行その2
高度150m以上の空域を飛ばすケース

航空機の航行の安全確保

災害時は捜索や救助を目的とした有人機が飛び交います。有人機に航路を譲ったり、十分な距離を保ったり、ドローンの飛行そのものを中止したりして、航空機の安全を図ることとされています。

飛行マニュアルの作成

特例適用者は更に飛行マニュアルを作成することが望ましいとされています。

「特例を受けた場合、特例適用者の責任において航空機並びに地上及び水上の人および物件の安全を確保する必要があるため

・・・運用方法をマニュアルに定め、当該マニュアルに基づき安全な飛行を行うことが望ましい・・・

となっています。

〈マニュアルの規定内容(例)〉として次の通りに例示されています。

総則(目的・適用範囲)

  • 無人飛行機の点検・整備
    (機体の点検・整備の方法、機体の点検・整備記録の作成方法)
  • 無人飛行機を飛行させる者の訓練
    (知識・能力の習得訓練、能力維持の方法、飛行記録の作成方法、遵守事項)
  • 無人航空機を飛行させる際の安全を確保するために必要な体制
    (飛行前の安全確認の方法、安全管理他姓、飛行による人の死傷・第三者物件の損傷、飛行時の機体の紛失、航空機との衝突、接近事案の非常時の対応、連絡体制)

そして、こう書かれています。

・・・・なお、マニュアル作成に当たっては参考する航空局通達をそのまま適用することが困難な場合があることなどを十分に踏まえ、状況に応じた無人航空機を飛行させる際の実施体制等を規定することが期待される・・・

 

災害時の制約や緊急性・限界性を十分に考慮して、状況に応じて無人航空機を飛行する際の実施体制を規定しなさいということです。おそらく、「無人航空機を飛行させる際の安全を確保するために必要な体制」の内容が、通常よりも大幅に変わってくることを想定しての記述と思われます。

現実的に、災害時の緊急度や切迫度を考えると状況に応じて臨機応変に行うしかありません。

 大規模災害時の飛行調整

東日本大震災のような大規模地震と津波が発生し広範囲にわたる大規模災害が発生した場合、空には多数の航空機や無人航空機が飛行することが想定されます。

一刻を争う人命救助のドクターヘリやドローンを出すような状況です。

 

そういった場合は、

・・・現地災害対策本部等を通じて、無人航空機の飛行の方法(日時・飛行場所など)を調整することが望ましい・・

と伝えています。

 

大混乱している災害時に、最も情報集まってくるのは災害対策本部です。

自衛隊、警察、消防、国交省、自治体他、あらゆる人々が集まってきて様々な情報が集約され、飛び交う有人機との調整も迅速に行えます。

通常は存在しない組織機能ですが、この最も重要な災害対策本部と調整することが望ましいと最後に明記してあります。

関連記事:緊急用務空域

 まとめ:ポイント

災害時のポイント
〇災害時のドローン飛行は許可が必要な場合と不要の場合がある
〇許可不要の場合でも「事後報告」は必要
〇特例適用者でない事業者は独自で許可取得や調整が必要
〇特例適用者も空港周辺、150m以上当の飛行の場合は空港事務所との調整が必要
〇飛行マニュアル作成、大規模災害の場合には災害対策本部との調整

行政書士矢野法務事務所は東京都八王子の事務所です。北海道の案件も九州の申請もお受けしている全国型の事務所です。
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