
「無人航空機」のキーワード「非乗・遠隔or自動・100g」
無人であるが故の寛容とリスク回避とを共存させた法律
飛ばしてはならない場所で飛ばすとき、飛ばしてはいけない方法で飛ばすとき
このページで分かること
無人航空機とは?
定義
構造上、人が乗ることができない機器であって、遠隔操作または自動操縦により飛行することができるものを無人航空機と言います。
ただし、これには重量制限があって重さが100g未満のものは無人航空機には該当しません。
また、この重量にはバッテリーは含まれますがプロペラガード等の付属品は含まれない状態での本体の重さとなります。
「ラジコン」も無人航空機?
従来のラジコンも人が乗ることのできない機器であり、ラジオコントローラー無線機で遠隔操作で飛ばすものですから無人航空機に含まれます。
この場合も重量100g未満のものは除外されます。
ワイヤーでつながれても同じ?
はい、無人航空機です。「人が乗ることができなくて遠隔操作できるもの」であれば該当します。
では、ゴム動力飛行機や重量 100g 未満のラジコン、マルチコプターは、自由に規制無く飛行させることができるでしょうか。
100g未満のラジコンやマルチコプターなどは「模型飛行機」に分類され無人航空機の規制は適用されませんが、これとは別に空港周辺や150m以上の高度での飛行については「航空法」の規制が適用されます。
このて点は気を付けてください。
また、これらミニドローンでも「公園」の飛行を条例で禁止している地方自治体がほとんどです。
人が乗れる機体も無人航空機?
有人機に近い性能・構造・能力を有している場合は、航空法上の「航空機」に該当する可能性があります。
人が乗ることができないからといって無人機の全てが「無人航空機」に当たるかかというと、そうではありません。
この辺りは画一的な基準は存在せず、個別具体的な判断となるため、都度国土交通省に直接問い合わせて相談するようになっています。
飛行許可取得が必要な時ふたつ
どのような場合に飛行の許可や承認を取る必要があるのでしょうか。
一つは、「所定の空域を飛行させる場合」には「許可の手続き」が必要となり、もう一つは「所定の方法によらずして飛行させる場合」に「承認の手続き」が必要になります。
「許可」と「承認」との違いを厳密に言えば以下の通りです。
◎許可:一般に禁止されている行為を特定の人に法律の範囲で許すこと(例:運転免許)
◎承認:申請があった一定の行為を許諾すること(例:建築許可)
「許可」と「承認」とのあえて二つに分けているのは行政上の扱いの違いであり、実質的には同じものと考えて差し支えありません。
この二つに該当しない場合は許可・承認を取る必要はありません。
分かりやすく言えば
「飛ばしてはならない場所で飛ばすとき」
「飛ばしてはいけない方法で飛ばすとき」
このときには国土交通大臣の許可・承認を取って下さいということです。
ドローン特有の規制
飛ばしてはいけない空域
- 空港等の周辺
- 地表・水面から150m以上の空域
- 人口集中地区の上空
- 緊急用務区域(災害等で国が緊急に指定する禁止空域のこと)
飛ばしてはいけない方法
以下の事項に反する飛行をする場合は「飛ばしてはいけない飛行方法」となります。
- 目視の範囲内で無人航空機とその周辺を常時監視して飛行させること(ドローンを直接肉眼で見て飛ばすこと)
- 日中の飛行(日の出から日没までの間)
- 人または建物、車両などの物件との間に距離30mを保って飛行させること
- 催事など多数の人が集まる場所(要はイベント)の上空で飛行させないこと
- 爆発物など危険物を輸送しないこと
- 無人航空機から物を投下しないこと
上記は航空法で定めれれている必ず守らなければならない飛行の規制なのですが、これを守れないときにはあらかじめ届け出て許可・承認を取ってくださいというルールです。
例えば、人がたくさん住んでいるような場所(人口密集地区)で飛ばそうとする場合や夜間に飛行させようとする場合は許可・承認を取らなければならないということです。
様々な禁止空域
飛行禁止とされている空域、つまり許可の取得が必要となる空域を、もう少し詳しく見ていきましょう。
空港等周辺
空港
全ての空港が対象となっています。
但し下の八空港は特に航空機の離発着が多い大型空港のため、特別に区別して規制されています。
新千歳伊空港・成田国際空港・東京国際空港・中部国際空港・大阪国際空港・関西国際空港・福岡空港・那覇空港
その他の空港やヘリポート
空港の中には難解な基準ですが「進入表面・転移表面等々の〇〇表面」というエリアが設定されている空港があります。
このエリアにかかったドローン飛行が禁止されます。
これらは国土交通省航空局ホームページや国土地理院サイトで大まかな図を確認することができますが一般の人にはわかりづらいので直接空港の事務所に確認できることが許されています。
飛ばそうとしている空域の最寄りの空港事務所に確認しましょう。
見落としがちなのが「ヘリポート」です。
ヘリポートは病院の屋上やテレビ局の屋上、最近ではタワーマンションの屋上にあったりします。
これらも全て空港に該当するということを把握しておいてください。
高さ制限以下か以上か
ただしこれらの空港周辺の指定空域では一切飛ばせないということではありません。
空港周辺の空域でも「高さ制限」というものが設けられており、その高さ制限以下であれば飛行は可能となる場合があります。
この「高さ制限」は空港ごとに異なり空港ごとの「高さ制限システム」を利用すれば分かります。
中にはこのシステムがない空港もあるのでその場合は直接空港事務所に確認するようにしましょう。
とにかく空港はそれぞれ独自の決まりがある為、空港周辺での飛行をしようとするときには必ず事前に空港事務所に確認することをお奨めします。
地表又は水面から150m以上の高さの空域
150m以上の高さとなると有人機が飛行する空域になります。
衝突の危険を考えこの150mという基準が設けられています。
ここでいう高さは「地表又は水面」からのものであり「海抜ではない」ことに気を付けなければなりません。
例えば山の頂上の海抜100mの地点から飛ばし始めて、そのまま山から離れた地点で同じ海抜100mを飛行していても地表からは200mを飛んでいればアウトです。
人口密集地区での飛行
人口密集地区(DID地区)とは
人口密集地とは5年に一度の国際調査で指定される地域で、人口密度4千人/k㎡以上の二つの市区町村の隣接した部分が、5千人/k㎡以上の人口密度になった場合にそのエリアが指定されます。
5年に一度の国勢調査で決まりますから人口の急減によって、いままで飛ばしていたところが飛ばせなくなったり、その逆もありえるということです。
2022年は改定のタイミングですので要注意です。
人口集中地区の確認の仕方
国土地理院の地理院地図で一発で確認できます。この赤色で編みかけられた範囲の上空が飛行禁止とされています。
この人口集中地区(DID地区)になると、たとえその一帯に人がいなくても飛行許可なしで飛ばすことはできません。
そこが農地であったり河原であったり私有地だとしても許可が必要です。
操作を誤ることで近隣の人や物件に危害を及ぼす可能性があるからです。
人口集中地区で許可なく飛ばせるところは「屋内」しかありません。航空法の適用外だからです。
この屋内はゴルフ練習場のように四方や上部がネットで囲われて外にドローンが飛び出ないような措置がなされているところであればその場所も屋内とみなされます。
最後に、人口集中地区で飛行許可を取った場合でも全てが許されるわけではないことを知っておく必要があります。
第三者の土地の上空を飛行させることは「所有権の侵害」に当たる可能性があるからです。
航空法とは異なる民法の問題となります。
イベント上空での飛行
尚、イベント上空も飛行禁止空域ですがイベントごとに変わる可変空域となります。今回は固定的な禁止空域を解説しました。
イベント上空の規制についてはこちらを→イベント上空での飛行ルールは?
ドローン特有の禁止事項の全体像は下の記事で確認できます。
ドローン飛行の基本【国土交通省:無人航空機の飛行許可・承認手続き】
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