ドローン運航の判断設計・体制構築

【制度改正シリーズ③】

これまでイエローゾーンの議論は、「距離」の問題として語られることが多くありました。

しかし今回の見直しで、もう一つ見落としてはいけない変更があります。

イエローゾーン上空飛行の直罰化

です。

この場所で事故にならずに運航できるかは、条件によって変わります。

飛行条件を確認する

これまでの構造(命令前置)

現行制度では、イエローゾーン上空での飛行は、直ちに処罰される構造ではありませんでした。

まず警察官等による措置命令が出され、

その命令に違反した場合に初めて罰則が適用される

という構造です。

つまり、

飛行しただけでは直ちに処罰対象にはならない

という前提がありました。

なぜこの構造が見直されるのか

今回の改正では、この「命令前置」の仕組みが見直されます。

背景にあるのは、前回の記事で整理したとおり、

対処が間に合わない状況の増加

です。

つまり、

  • 発見する
  • 命令を出す
  • 従わせる

というプロセス自体が成立しにくくなっているということです。

このため制度としては、

命令を前提とせず、飛行そのものを違反として扱う方向

に整理されます。

直罰化で何が変わるのか

この変更によって、判断の前提が大きく変わります。

従来は、

「注意される可能性がある」

という理解で済んでいた場面が、

「飛行した時点で違反となり得る」

という前提に変わります。

ここで重要なのは、

リスクの発生タイミングが前倒しになる

という点です。

なぜ「相談せずに進めるリスク」が変わるのか

命令前置の構造では、

  • 現場で調整する
  • 指示に従って対応する

といった余地が一定程度ありました。

しかし直罰化されると、

その余地が制度上なくなります。

つまり、

「やってみて調整する」という発想が成立しなくなる

のです。

実務で何が変わるのか

この変化は、現場の意思決定に直接影響します。

これまでは、

「飛ばせるかどうか」

という問いから入ることができました。

しかし今後は、

「この案件を扱ってよいのか」

という入口判断が先に来ます。

さらに、

  • 例外に該当するか
  • 事前手続が整っているか
  • 説明可能な状態か

を事前に整理しておかないと、

そもそも着手できない案件

になります。

回避不能化との関係

ここで、前回の記事との関係が重要になります。

イエローゾーン1km拡大により、

回避できない案件が増える

一方で直罰化により、

安易に踏み込めない領域になる

という変化が同時に起きます。

つまり、

「回避しにくくなる上に、安易に踏み込むこともできない」

という構造になります。

ここで初めて必要になる判断

この状態で必要になるのは、

成立する案件かどうかを入口で見極める判断

です。

そしてその判断は、

  • 法令上の位置付け
  • 関係機関との関係
  • 運用条件の整理

を踏まえたものでなければなりません。

つまり、

「飛ばせるか」ではなく「扱ってよい案件か」

という判断に変わるということです。

まとめ

イエローゾーンの直罰化は、単なる罰則強化ではありません。

本質は、

飛行後に対応する構造から、飛行前に判断を完結させる構造への転換

です。

回避不能化と組み合わさることで、

事前判断を誤ること自体がリスクになる

という状態になります。

◆ ドローン運航は「事後説明」を前提に設計する ◆

関連記事

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イエローゾーン1kmで回避不能時代へ

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イエローゾーンで止める判断はどこか

シリーズ一覧:
イエローゾーン1km改正まとめ実務判断

法人・自治体案件のご担当者さまへ

イエローゾーン1km時代の案件では、従来の整理では成立しないケースが発生します。

「許可があるか」ではなく、その運航が最後まで成立するかを事前に整理しなければ、現場で停止・是正対応が発生する可能性があります。

判断に迷う案件がある場合は、事前に運航成立性の観点で整理することをお勧めします。

許可があっても、現場で止まる案件は少なくありません

ドローン運航は「許可が取れるか」ではなく、現場で最後まで成立するかで判断する必要があります。

  • 第三者管理は維持できますか?
  • 監視体制は機能しますか?
  • 中止判断は定義されていますか?
  • 関係者への説明は通りますか?

これらが整理されていない案件は、許可があっても現場で止まります。

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