
【制度改正シリーズ④】
ここまで、イエローゾーンの1km拡大と直罰化によって、前提がどう変わるかを整理してきました。
この2つが重なると、現場ではある変化が起きます。
「飛ばせるかどうか」ではなく、「どこで止めるか」を先に決めないと成立しない
という状態です。
このページで分かること
なぜ「止める判断」が必要になるのか
従来は、イエローゾーンの外に飛行範囲を設定することで、リスクを切り離せる案件がありました。
しかし1km拡大により、
最初からイエローゾーン内で扱う前提の案件が増えます。
さらに直罰化により、
「やってみて調整する」という余地が制度上成立しなくなります。
この2つが組み合わさると、
成立しなくなる瞬間を事前に決めておかないと運航自体が組めない
という構造になります。
成立条件は「満たすもの」ではなく「維持するもの」
ここで重要なのは、成立条件の考え方です。
従来は、
- 必要な条件を満たしているか
- 手続が整っているか
という静的な判断が中心でした。
しかしイエローゾーン内では、
その条件が運航中に維持され続けるか
が問題になります。
つまり、
成立条件は「満たすもの」ではなく「崩れない状態を保つもの」
に変わります。
「飛ばせるか」と「成立するか」は違う
ここで区別しておくべきなのが、
「飛ばせるか」と「成立するか」は同じではない
という点です。
「飛ばせるか」は、
- 法令上問題がないか
- 必要な手続が整うか
- 形式的な条件を満たしているか
という入口の判断です。
一方で「成立するか」は、
- その条件を運航中に維持できるか
- 途中で前提が崩れないか
- 崩れたときに止められるか
という運航全体の判断です。
つまり、
飛ばせることと、最後まで成立することは別問題
です。
成立が崩れるのはどういう瞬間か
成立条件は、ある瞬間に崩れます。
典型的には次のような場面です。
- 第三者の動きが管理範囲を超えたとき
- 監視が行き届かなくなったとき
- 機体の挙動が想定から外れたとき
これらは、
安全対策の問題ではなく、成立条件が崩れた状態
です。
したがってこの時点で、
運航は継続できない状態に入っています。
なぜ現場判断に依存すると危険なのか
ここでよくある誤りが、
「現場で判断すればよい」
という考え方です。
しかし直罰化された状態では、
判断が遅れた瞬間にリスクが顕在化します。
つまり、
現場判断に任せる=止める基準が曖昧なまま運航する
ということになります。
これは制度の前提と合いません。
止める判断はどこで決めるのか
止める判断は、現場ではなく、
設計段階で決めておく必要があります。
具体的には、
- どの条件が成立条件なのか
- その条件が崩れるのはどの場面か
- 崩れたときに誰が止めるのか
を事前に整理します。
ここが曖昧なままでは、
そもそも成立していると言えない運航
になります。
ここまでの流れの意味
ここまでのシリーズを整理すると、
- 対処時間の再設計(①)
- 回避不能化(②)
- 直罰化(③)
によって、
判断の重心が「可否」から「成立性」に移っている
ことが分かります。
そしてこの④の記事で、
成立性は「止める基準」を含めて初めて成立する
というところまで来ます。
まとめ
イエローゾーンの実務では、
「飛ばせるか」
という問いは、もはや入口ではありません。
重要なのは、
「どの条件が崩れたら止めるのか」
を先に決めておくことです。
それが決まっていない運航は、
成立しているとは言えない状態
にあります。
◆ ドローン運航は「事後説明」を前提に設計する ◆
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対象施設拡張でどこでも対象になる時代
シリーズ一覧:
イエローゾーン1km改正まとめ実務判断
法人・自治体案件のご担当者さまへ
イエローゾーン1km時代の案件では、従来の整理では成立しないケースが発生します。
「許可があるか」ではなく、その運航が最後まで成立するかを事前に整理しなければ、現場で停止・是正対応が発生する可能性があります。
判断に迷う案件がある場合は、事前に運航成立性の観点で整理することをお勧めします。
許可があっても、現場で止まる案件は少なくありません
ドローン運航は「許可が取れるか」ではなく、現場で最後まで成立するかで判断する必要があります。
- 第三者管理は維持できますか?
- 監視体制は機能しますか?
- 中止判断は定義されていますか?
- 関係者への説明は通りますか?
これらが整理されていない案件は、許可があっても現場で止まります。
※飛行許可申請のみのご相談にも対応しています