ドローン飛行申請の審査基準を理解する方法:中身も解説

飛行許可の審査基準は全体像を知ること

ドローンの飛行許可申請は国交省の定める「無人航空機の飛行に関する許可・承認の審査要領」によって審査・判断されます。

膨大な量の内容を知る前に、この審査基準の全体の体系・構成がどのようになっているかをつかんでおくと混乱しません。

膨大な基準はまず外観から入る

ドローン飛行許可承認を申請すると、国交省航空局は予め決められた「審査基準」に基づいて申請内容を吟味し可否判断を行います。

当たり前のことですが、申請するにあたって審査基準を事前に目を通しておくことは無理無謀な申請が避けられ、また飛行ルールを学ぶ上でも大切なことです。

ところが、この審査基準はその量も中身も相当に広く・深く・細かく定められており、読んでいるうちに分からななくなってくる・・という声が多く聞かれます。

確かに全44ページをしっかり理解することは困難です。

そこでまず、内容を知る前にこの審査基準の全体の体系・構成がどのようになっているかをつかんでおきましょう。

記載されている部分が特に注意すべき大事なところなのか、それともいつもの基本的なところなのか、その理解が進み頭に入りやすくなるからです。

また、その判断基準(審査基準)がどのようなものかを外観だけでも知っておき「全体像をつかんでおく」ことは、円滑で確実な飛行許可承認を取得する上では随分と有益となり、申請スケジュールや準備すべきものについての整理がし易くなります。

そこで、下に全体像が分かるよう体系整理をしてみました。

まず、外観をつかんでから基準の内容を読んでください。

そして読み始めて「今読んでいるところが一体どこのことなのか」が分からなくなったら、この図に戻って再度確認して下さい。

外観・体系・俯瞰図

「無人航空機の飛行に関する許可・承認の審査要領」のうち、申請手続き関連を除いた審査基準に関する部分は、11~35ページに記載されています。

文字数にして実に2万3000字のボリュームですが、その内容は下記のように構成で表されています。

項番1から項番3までの大項目で全体に関わる基本的な基準が示され、項番4で八つの飛行形態別に「機体・操縦者・体制」の在り方を細かく決めています。

この体系図にも表れているように、まず冒頭には「基本的な基準」について次のように記載されています。

受けようとする許可等の事項にかかわらず、次に掲げる基本的な基準に適合すること。ただし、無人航空機の機能及び性能、無人航空機を飛行させる者の飛行経歴等、安全を確保するために必要な体制等とあわせて総合的に判断し、航空機の航行の安全並びに地上及び水上の人及び物件の安全が損なわれるおそれがないと認められる場合は、この限りでない。

では、1~3の内容を追っていきましょう。

1.無人航空機の機能および性能の基準

機体に関する基準は「すべての無人航空機」と「重量25kg以上の無人航空機」と二つ設けられています。

後者の方は「追加される基準」であることに注意しましょう。

◆すべての無人航空機

1.鋭利な突起物のない構造であること(構造上必要なもの除く)

2.無人航空機の位置及び向きが正確に視認できる灯火または表示等を有していること。

3.無人航空機を飛行させる者が燃料またはバッテリーの状態を確認できること。

4.遠隔操作により飛行させることができる無人航空機の場合には、上記1から3の基準に加え次の掲げる基準にも適合すること。

・特別な操作技術又は過度な注意力を要することなく、安定した離陸および着陸ができること。

・特別な操作技術又は過度な注意力を要することなく、安定した飛行(上昇、前後移動、水平方向の飛行、ホバリング(回転翼航空機
に限る)、下降)ができること。

・緊急時に機体が暴走しないよう、操縦装置の主電源の切断、または同等な手段によりモーターまたは発動機を停止できること。

・操縦装置は操作の誤りの恐れができる限り少ないようにしたものであること。

・操縦装置により適切に無人航空機を制御できること。

5.自動操縦により飛行させることができる無人航空機の場合には、上記1から3の基準に加え次に掲げる基準にも適合すること。

・自動操縦システム(自動操縦により飛行させるためのシステムをいう。以下同じ)により、安定した離陸および着陸ができること。

・自動操縦システムにより安定した飛行(上昇、前後移動、水平方向の飛行、ホバリング(回転翼航空機に限る)下降等)ができること。

・あらかじめ設定された飛行プログラムに関わらず、常時、不具合発生時等において、無人航空機を飛行させるものが機体を安全に
着陸させられるよう、強制的に操作介入ができる設計であること。ただし、飛行中に不具合が発生した際の対応も含め、操作介入
等を必要としない機能を有する設計であり、かつ、その機能に関しては十分な信頼性(例:飛行のリスクに応じた DALレベルに
相当する信頼性)を有することを製造者が証明できる場合はこの限りではない。

◆最大離陸重量25㎏以上の無人航空機(追加基準)

最大離陸重量25kg以上の機体には、堅牢性や耐久性、安全性向上のための機器・機能・構造等についての基準が「すべての無人航空機」に加えて更に追加されています。

1.想定される全ての運用に耐えうる堅牢性を有すること

2.機体を整備することにより、100時間以上の飛行に耐えうる耐久性を有すること

3.機体と操縦装置との間の通信は、他の機器に悪影響を与えないこと

4.発動機、モーター又はプロペラ(ローター)が故障した後、これらの破損した部品が飛散する恐れができる限り少ない構造であること

5.事故発生時にその原因調査をするための飛行諸元を記録できる機能を有すること

6.次表の想定される不具合モードに対し、適切なフェイルセーフ機能を有すること

想定される不具合モード

〇通信系統
・電波状況の悪化による通信不通・操縦装置の故障・他の操縦装置との混信・送受信機の故障

〇推進系統(発動機の場合)
・発動機の出力の低下または停止・不時回転数上昇

〇推進系統(電動の場合)
・モーターの回転数の減少または停止・モーターの回転数上昇

〇電源系統
・機体の主電源消失・操縦装置の主電源消失

〇自動制御系統
・制御計算機の故障

2.無人航空機の操縦者の飛行経歴、知識および能力

1.飛行を予定している無人航空機の種類別に10時間以上の飛行経歴を有すること(飛行機、回転翼航空機、滑空機、飛行船のいずれか)

ただし、自動操縦システムを使用して飛行させる場合であって、飛行中に不具合が発生した際の対応も含め、操作介入等を必要としない機能を有する設計であり、かつ、その機能に関しては十分な信頼性(例:飛行のリスクに応じた DALレベルに相当する信頼性)を有することを、製造者が証明できる場合は、10時間の飛行経歴に代えて、予定する飛行の方法並びに機体の機能および性能を勘案し、安全飛行のために十分と認められる飛行経歴(製造者が設定した操作訓練時間など)とすることができる。

→このただし書きで「10時間縛り」が緩和されています。

2.次に掲げる知識を有すること

a)航空法関連法令に関する知識(無人航空機に関する事項)

b)安全飛行に関する知識

・飛行ルール(飛行の禁止空域、飛行の方法

気象に関する知識

・無人航空機の安全機能(フェイルセーフ機能等)

・取扱説明書等に記載された日常点検項目

・自動操縦システムを装備している場合には、当該システムの構造および取扱説明書等に記載された日常点検項目

・無人航空機を飛行させる際の安全を確保するために必要な体制

・飛行形態に応じた追加基準

3.施行させる無人航空機について、次に掲げる能力を有すること

a)飛行前に次に掲げる確認が行えること
・周囲の安全確認、(第三者の立ち入りの有無、風速・風向等の気象 等)
・燃料又はバッテリーの残留を確認
・通信系統および推進系統の作動確認

b)遠隔操作により飛行させることができる無人航空機の場合には、a)の能力に加えて GPS 等による位置の安定機能を使用することなく、次に掲げる能力を有すること

ア)安定した離陸および着陸ができること

イ)安定して次に掲げる飛行ができること
・上昇
・位置、高度を維持したホバリング(回転翼航空機に限る)
・ホバリング状態から、機首の方向を90度回転(回転翼航空機に限る)
・前後移動
・水平方向の飛行(左右移動または左右旋回)
・下降

c)自動操縦により飛行させることができる無人航空機の場合には、a)の能力に加えて、次に掲げる能力を有すること。

ア)自動操縦システムにおいて適切に飛行経路を設定できること

イ)自動操縦システムにより飛行中に不具合が発生した際に無人航空機を安全に着陸させられるよう、適切に操作介入ができること。なお、操作介入が遠隔操作による場合には、 b) の能力を有すること

3.無人航空機を飛行させる際の安全を確保するために必要な体制

ここからは主に飛行方法に関する基準となります。安全確保のために守るべき次項が列挙され飛行環境や機体の状況、操縦者の状況に即応した判断と実行が求められています。

安全確保のための順守事項

1.第3者に対する危害を防止するため、原則として、第三者の上空で無人航空機を飛行させないこと。
2.飛行前に、気象(仕様上設定された飛行可能な風速等)、機体の状況及び飛行経路について、安全に飛行できる状態であることを確認すること。

また、現行経路に関わる他の無人航空機の飛行予定の情報(飛行日時、飛行範囲、飛行高度等)を飛行情報共有システム(国土交通省が整備したインターネットを利用し無人航空機の飛行予定の情報等を関係者間で共有するシステムを言う)で確認するとともに、当該システムに飛行予定の情報を入力すること。

ただし飛行情報共有システムが停電等で利用できない場合、又は専ら公益を図る目的での飛行であって、飛行予定を秘匿する特段の必要性が存し、飛行予定の情報共有により無人航空機を飛行させる者の正当な業務に著しい支障が発生すると認められる場合は、この限りでない。

なお、この場合においては国土交通省航空局、次世代航空モビリティ企画室に無人航空機の飛行予定の情報を報告するとともに、自らの飛行予定の情報が当該システムに表示されないことに鑑み、当該無人航空機を飛行させる者において特段の注意をもって、飛行経路周辺における他の無人航空機および航空機の有無等を確認し、安全確保に努めること。

3.取扱説明書に記載された風速以上の突風が発生するなど、無人航空機を安全に飛行させることができなくなるような不測の事態が発生した場合には、即時に飛行を中止すること。

4,多数の者の集合する場所の上空を飛行することが判明した場合には即時に飛行を中止すること。ただし「多数の者の集合する催し場所の上空における飛行を行う場合における基準」(図表1参照)と同様の安全上の措置を講じている場合はこの限りでない。

5.アルコール又は薬物の影響により、無人航空機を正常に飛行させることができない恐れがある間は、飛行させないこと。

6.飛行目的によりやむを得ない場合を除き、飛行の危険を生じる恐れがある空域の上空での飛行は行わないこと。

7,飛行中の航空機を確認し、衝突の恐れがあると認められる場合には、地上に降下させることその他適当な方法を講じること。

8,飛行中の他の無人航空機を確認したときは、当該無人航空機との間に安全な間隔を確保して飛行させること。その他衝突の恐れがあると認められる場合は、地上に降下させることその他適当な方法を講じること。

9,不必要な低空飛行、高調音を発する飛行、急降下など他人に迷惑を及ぼすような飛行を行わないこと。

10,物件吊り下げ、または曳航は行わないこと。業務上の理由等により、やむを得ずこれらの行為を行う場合には、必要な安全上の措置を講じること。

11,飛行目的によりやむを得ない場合を除き、視界上不良な気象状態においては、飛行させないこと。

12,無人航空機の飛行の安全を確保するために製造事業者が定める取扱説明書に従い、定期的に機体の点検・整備を行うとともに、点検・整備記録を作成すること。ただし、点検・整備記録の作成について、趣味目的の場合はこの限りでない。

13,無人航空機を飛行させる際は、次に掲げる飛行に関する事項を記録すること。ただし趣味目的の場合はこの限りでない。

・飛行年月日
・無人航空機を飛行させる者の氏名
・無人航空機の名称
・飛行の概要(飛行目的および内容)
・離陸場所および離陸時刻
・着陸場所および着陸時刻
・飛行時間
・無人航空機の飛行の安全に影響のあった事項(ヒアリ・ハット等)

14,無人航空機の飛行による人の死傷、第三者の物件の損傷、飛行時における機体の紛失または航空機との衝突もしくは接近事案が発生した場合には、次に掲げる事項を速やかに許可等を行った国土交通省航空局次世代航空モビリティ企画室、地方航空局保安部運用課または空港事務所まで報告すること。なお、夜間等の勤務時間外における報告については、管轄事務所に電話で連絡を行うこと。

・無人航空機の飛行に係る許可等の年月日および番号
・無人航空機を飛行させた者の氏名
・事故等の発生した日時および場所
・無人航空機の名称
・無人航空機の事故等の概要
・その他参考となる事項

15.無人航空機の飛行による人の死傷、第三者の物件の損傷、飛行時における機体の紛失または航空機との衝突もしくは接近事案の非常時の対応および連絡体制があらかじめ設定されていること

16.飛行の際には、無人航空機を飛行させる者は許可書又は承認書の原本または写しを携行すること。ただし、口頭により許可等を受け、まだ許可書又は承認書の交付を受けていない場合はこの限りでない。なおこの場合であっても、許可等を受けた飛行であるかどうかを行政機関から問われた際に許可等の年月日および番号を回答できるようにしておくこと

(図表1:多数の者の集合する催し場所の上空における飛行に関わる追加基準)
機体・操縦者

機体
・第三者および物件に接触した際の被害を軽減する構造を有すること
例:プロペラガード・衝突した際の衝撃を緩和する素材の使用またはカバーの装着等

・想定される運用により、10回以上の離陸および着陸を含む3時間以上の飛行実績を有すること。

操縦者
・意図した飛行経路を維持しながら無人航空機を飛行させることができること

安全確保のための体制

第三者の上空で無人航空機を飛行させないよう、次に掲げる基準に適合すること

ア)飛行させようとする経路およびその周辺を事前に確認し、適切な飛行経路を特定すること

イ)飛行経路全体を見渡せる位置に、無人航空機の飛行状況および周囲の気象状況の変化等を常に監視できる補助者を配置し、補助者は無人航空機を飛行させる者が安全に飛行させることができるよう必要な助言を行うこと

ウ)飛行経路の直下およびその周辺に第三者が立ち入れないように注意喚起を行う補助者の配置等を行うこと

エ)催しの主催者等とあらかじめ調整を行い、次表に示す立ち入り禁止区画を設定すること(※)

飛行のコードと立入禁止区画

〇20m未満・・・・・・・飛行範囲の外周から30m 以内の範囲
〇20m以上50m未満・・・  〃  40m    〃
〇50m以上100m未満・・・  〃   60m   〃
〇100m以上150m未満・・・   〃  70m    〃
〇150m以上・・・・・・・飛行範囲の外周から落下距離(当該距離が70m 未満の場合にあっては70m とする)以内の範囲

オ)風速5m/秒以上の場合には飛行を行わないこと(※)

カ)飛行速度と風速の輪が7m /秒以上となる場合には、飛行を行わないこと(※)

※機体に飛行範囲を制限するための係留装置を装着している場合、第三者に対する危害を防止するためのネットを設置している場合又は製造者が落下距離を保証し飛行範囲外周から当該落下距離以内の範囲を立入禁止区画として設定している場合は不要。

飛行マニュアルの作成と厳守

さらに、安全確保のためには、点検や訓練、飛行方法等、守るべき事項を記載した「飛行マニュアル」を作成しなければなりません。
飛行マニュアルについては、作成する側の負担を考慮し航空局が標準マニュアルを用意してくれており、これをそのまま提出し(同じものであれば提出自体は省略可)使うことも出来ますし、自らこれを修正し独自マニュアルとして承認を得ることもできます。

マニュアルへの記載事項

1.無人航空機の点検整備

無人航空機の機能および性能に関する基準に適合した状態を維持するために、次に掲げる事項に留意して、機体の点検整備の方法を記載すること。

 a)機体の点検・整備の方法

  ・定期的または日常的な点検整備の項目
・点検整備の時期等

b)機体の点検整備の記録の作成方法

・点検整備記録の作成手順
・点検整備記録の様式等

 

2,無人航空機を飛行させる者の訓練

無人航空機を飛行される者の飛行経歴、知識および能力を確保・維持するため、次に掲げる事項に留意して、無人航空機を飛行させる者の訓練方法等を記載すること。

a)知識および能力を習得するための訓練方法

・基本的な飛行経歴、知識および能力ならびに飛行形態に応じた能力を習得するための訓練方法

・業務のために無人航空機を飛行させるために適切な能力を有しているかどうかを確認するための方法等

b)能力を維持させるための方法

・日常的な訓練の内容等

c)飛行記録(訓練も含む)の作成方法

・飛行記録の作成手順
・飛行記録の様式
・記録の管理方法等

d)無人航空機を飛行させるものが遵守しなければならない事項

 

3、無人航空機を飛行させる際の安全を確保するために必要な体制

a)飛行前の安全確認の方法

・気象状況の確認項目および手順
・機体の状態の確認項目および手順等

b)無人航空機を飛行させる際の安全管理体制

・安全飛行管理者の選定
・飛行形態に応じた補助者の役割分担および配置数
・補助者の選定方法
・緊急時の連絡体制等

c)無人航空機の飛行による人の死傷、第三者の物件の損傷、飛行時における機体の紛失または航空機との衝突もしくは接近事案といった非常時の対応および連絡体制


・非常時の連絡体制
・最寄の警察および消防機関の連絡先
・報告を行う国土交通省航空局、次世代航空モビリティ企画室地方航空局保安部運用課または空港事務所の連絡先 等

以上が、基本的な基準とされている審査基準となります。
更に、この基本的基準に加えて飛行形態(空域や飛行方法)に応じた「追加基準」が8通り設けられています。
冒頭に掲示した図の右側の部分です。

行政書士矢野法務事務所は東京都八王子の事務所です。北海道の案件も九州の申請もお受けしている全国型の事務所です。
ドローン法務に詳しい当事務所にご依頼頂き、手間の要らない確実なドローンの飛行許可申請を行いましょう。

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