イエローゾーン1kmで回避不能時代へ:矢野事務所

イエローゾーン1kmで回避不能時代へ:矢野事務所

 

【制度改正シリーズ②】

前回の記事では、イエローゾーンの約1km拡大は「規制強化」ではなく、対処時間の再設計として理解すべきだと整理しました。

では、その見直しが現場の飛行判断にどう響くのか。

実務で最も大きい変化は、

「外に逃がす」という設計が通用しにくくなること

です。

小型無人機等飛行禁止法の制定当時、イエローゾーンがおおむね300mとされた背景には、市街地における主なドローンの映像伝送距離が200〜300m程度であり、警察官等が操縦者を探索・発見し、措置命令を行うことができるという前提がありました。

今回の見直しは、その前提が崩れたことを出発点にしています。

そして現在は、主なドローンの最大映像伝送距離が500m〜10km程度に拡大し、携帯電話網を利用する機体であれば、エリア内全域で映像伝送して飛行させることも可能と整理されています。

飛行速度も、制定当時の時速約50kmから、現在は70〜80km程度、一部機種では時速150kmまで向上していると示されています。

300m時代は「外で処理する」余地があった

300m時代にも、もちろんイエローゾーン内での飛行は軽く扱えるものではありませんでした。

ただ実務上は、

  • 飛行範囲を少し外へずらす
  • 対象施設周辺地域に入らない経路を取る
  • 位置の調整で案件そのものを整理する

という発想が、まだ成立する案件がありました。

言い換えると、

対象施設周辺地域の外に出ることで、案件を別の論点として扱える余地があった

ということです。

この「外に逃がす」設計が成り立っていたのは、300mという距離がまだ相対的に小さく、対象施設周辺地域との接点を切りやすかったからです。

なぜ1kmで回避不能になるのか

今回の見直しで重いのは、単に300mが1kmになるという数字の変化ではありません。

問題は、

その1kmが、現場では「外に出せば済む」という処理を壊すこと

にあります。

検討会資料では、時速150kmで飛行するドローンであれば24秒で1,000mを飛行し得ることを前提に、各種対処資機材を活用した複数の警備手法を組み合わせる多重防護による対処に必要な時間的猶予を確保する観点から、イエローゾーンを「おおむね千メートル」に拡大すべきと整理されています。

この発想を実務側から言い直せば、

「本来なら外に逃がして切り離せた案件まで、制度上は対象施設周辺地域の中で扱う前提に変わる」

ということです。

都市部では「どこにも逃げ場がない」が現実になる

都市部では、対象施設が点在しています。

しかも今回の見直しは、各対象施設ごとに事情に即して合理的な範囲とすべきとされつつも、基本線としては「おおむね1km」への拡大です。

改正案を導いた諮問委員会では、対象施設周辺地域の範囲拡大に当たっては、国民にとって明確になるよう、これまで以上に効果的な周知を進めるべきとも整理されています。

ここで都市部の案件を考えると、

  • 対象施設が密集している
  • 飛行目的のある地点も限られている
  • 少しずらせば済むという余地が急速に小さくなる

という状態になります。

結果として、

「今回は外で処理する」という逃げ方そのものが現実的でなくなる

わけです。

これは、単に不便になるという話ではありません。

最初からイエローゾーン内で成立条件を作るしかない案件が増える

という意味です。

地方では「外に出ると仕事にならない」が重くなる

一方で地方や郊外では、地図だけを見ればまだ外にずらせそうに見える案件があります。

しかし、ここでも1km拡大は重く効きます。

なぜなら、

外に出ること自体はできても、外に出た瞬間に本来の飛行目的を果たせなくなる案件が増えるから

です。

◆ ドローン運航は「事後説明」を前提に設計する ◆

【ドローン専門行政書士によるサポート】

レベル3/3.5飛行、建設現場の安全体制構築、夜間・目視外飛行、イベント上空、空撮、揚重ドローン実証支援、補助金(ものづくり補助金)まで幅広く対応しています。

現場理解 × 法令理解 × 申請実務を組み合わせた実務型サポートを提供しています。

※ 本サイトの内容は、ドローン関連法令および行政実務を扱う行政書士が執筆・監修しています。法人・自治体向けのWebコンテンツ、提案資料、運用マニュアル等について、法令・運用観点からの監修・レビューのご相談にも対応しています。

ドローン運航は『事後説明』を前提に設計する◆

行政書士 矢野法務事務所

ドローン飛行の可否判断・判断整理を専門に扱っています。即答・無料判断は行っておりません。

▶ 運航判断の整理を依頼する

【免責事項】

当サイトでは、法令、制度、運用実務その他の情報について、可能な限り正確かつ最新の内容を掲載するよう努めております。もっとも、法令改正、通達・運用の変更、関係機関の判断、個別事案の事情その他の要因により、掲載内容が最新の情報と異なる場合や、将来にわたり妥当することを保証できない場合があります。また、当サイトに掲載する記事には、法令・公的情報の紹介に加え、実務上の考え方、評価、整理、見解等が含まれる場合があります。これらは、執筆時点における当職の判断・見解を示すものであり、あらゆる事案にそのまま当てはまる唯一絶対の結論を示すものではありません。とりわけドローン運航に関する適法性、安全性、運航の可否その他の判断は、飛行場所、飛行方法、第三者管理、関係機関との調整状況、現地状況その他の個別事情によって大きく異なります。そのため、当サイトの掲載情報は一般的な情報提供を目的とするものであり、個別具体的な案件についての法的判断、許認可の取得可能性、行政対応その他の結果を保証するものではありません。当サイトの情報を利用したこと、又は利用できなかったことによって生じたいかなる損害についても、当職は一切の責任を負いかねますので、あらかじめご了承ください。当サイトからリンク又はバナー等により移動した外部サイトは、当職が管理又は運営するものではありません。移動先サイトに掲載される情報、サービス等の内容、正確性、安全性等について、当職は一切責任を負いません。なお、当サイトに掲載している内容は、予告なく変更、修正又は削除される場合があります。