ドローン改造申請の実務|矢野事務所
【機体改造の申請事項】は、用途目的、製品名、製造者、材質、高・幅・奥行、装着法、取外し可否、飛行への影響etcです。先日のLTEモジュール搭載の申請では「飛行許可申請」の中で行い機体登録までは不要でした。今後LTE利用が増えて来ればモジュール搭載の為の改造申請もポピュラーになりそうです。
— drone高難度申請 矢野事務所 (@drone_nippon) March 9, 2025
ドローンの改造申請で止まりやすいのは、改造そのものよりも、何をどこまで説明すべきかが整理できていないことです。
実務では、ただ「部品を付けました」では足りません。
航空局やDIPS側が見たいのは、何を装着し、どう固定し、どこが変わり、飛行の安全にどんな影響があるのかです。
とくに、LTEモジュール、カメラ、センサー、外付け機器、特殊な取付具などは、「軽い追加」のつもりでも申請上は改造として扱うべき場面があります。
この記事では、ドローン改造申請で実際に問われる整理ポイントを、通す側の実務でまとめます。
このページで分かること
結論|改造申請は「付けた物」ではなく「飛行への影響」で決まる
まず結論です。
改造申請で重要なのは、部品の名前そのものではありません。
その変更が機体の重量、重心、寸法、空力、通信、飛行安定性に影響するかです。
逆に言えば、ここを説明できなければ止まります。
- 何を改造と見るべきかが曖昧
- 改造後の重量・寸法・重心の説明が不足
- 装着方法の説明が弱い
- 飛行への影響評価が抽象的
- 機体登録との関係整理ができていない
ドローンの「改造」とは何か
ドローンの改造というと、大掛かりな加工を想像されがちですが、実務ではそれほど単純ではありません。
機体の安全性や飛行性能に影響し得る変更であれば、改造として扱う前提で見た方が安全です。
たとえば次のようなものです。
- LTEモジュールの追加
- 外付けカメラやセンサーの追加
- 専用ブラケットやアタッチメントの装着
- バッテリー構成の変更
- 機体寸法や重量が変わる装備追加
「メーカー純正ではない追加物」だけを改造と考えるのではなく、飛行への影響がある変更は広めに拾う方が安全です。
なぜ改造申請が必要になるのか
理由は明確です。
改造前の機体として安全確認されていた前提が、改造後もそのまま維持されるとは限らないからです。
たとえばLTEモジュール一つでも、重量増、取付位置、振動、電源系統、電波利用、外形変化などの論点が出ます。
そのため、申請では次のような点が見られます。
- 重量が増えていないか
- 重心が変わっていないか
- 脱落のおそれがないか
- 飛行時間や安定性に影響しないか
- 通信や電波法上の問題がないか
実務では、ここを「問題ありません」で済ませず、どういう理由で問題がないのかまで言わなければ通りません。
申請で求められる主な項目
改造申請では、追加した物の名称だけではなく、その内容を立体的に説明する必要があります。
実務上、押さえるべき主な項目は次のとおりです。
- 用途目的
なぜその機器を搭載するのか。点検、測量、通信確保、撮影など、業務目的を明示します。 - 製品名・製造者
装着する部材や機器の名称、メーカー名を特定します。 - 材質
取付部材やブラケット等の材質を示し、強度や軽量性の説明につなげます。 - 高・幅・奥行
改造後に機体外形がどう変わるかを示します。 - 装着法
どう固定するのか。ネジ止め、専用ブラケット、結束、粘着など、方法を具体化します。 - 取外し可否
簡単に着脱できるのか、恒久装着なのかを明示します。 - 飛行への影響
最重要項目です。重量、重心、安定性、飛行時間、操作性への影響を説明します。
ここが弱いと、「部材の説明」はあっても「安全の説明」がない申請になります。
航空局が実際に見ているポイント
ここは非常に重要です。
改造申請は、部品説明の勝負ではありません。
安全上の説明が成立しているかの勝負です。
実務では、次のような点が特に見られます。
1. 脱落しないか
追加部品が飛行中に外れないかは基本中の基本です。
固定方法が曖昧だと、それだけで不安材料になります。
2. 重量と重心はどう変わるか
重量増加が小さくても、取付位置によって重心は変わります。
とくに機体下部や前方への追加装備は、説明が甘いと危険です。
3. 飛行安定性に影響しないか
追加物が風を受けやすくしていないか、姿勢制御に影響しないか、振動が増えていないかなどが見られます。
4. 通信・電源に無理がないか
LTEモジュールのように通信や電源系統に触れる改造では、ここが大きな論点になります。
LTEモジュール搭載の実務整理
LTEモジュール搭載は、今後かなり増える論点です。
先日の実務では、この申請は飛行許可申請の中で改造機として整理し、別途の機体登録変更までは不要という処理でした。
ただし、これは「何でも登録不要」という意味ではありません。
案件ごとに、
- 今回の申請で何を処理するのか
- 登録制度側の変更要否はどうか
- 通信機器として別法令の論点はないか
を分けて考える必要があります。
ここを一緒くたにすると混乱します。
機体登録との関係で誤解しやすい点
ここは誤解が多いです。
飛行許可申請で改造内容を説明することと、登録制度上の変更手続が不要であることは同義ではありません。
DIPSの登録制度では、改造した機体について、改造概要、機体重量、最大離陸重量、機体寸法、機体画像などの入力・提出が必要になる場面があります。
したがって実務では、
- 飛行申請で足りるのか
- 登録側も動かすべきか
- その両方なのか
を、事案ごとに切り分ける必要があります。
改造申請が通りやすくなる準備
通すためには、文章だけでなく、見せ方の準備が必要です。
- 改造箇所の写真
- 改造前後の比較
- 重量と寸法の整理
- 固定方法の写真や図
- 飛行への影響に関する説明メモ
この準備があるだけで、申請の通りやすさはかなり変わります。
逆に、ここが無いと補正が増えやすくなります。
こういう案件は最初から相談した方が早い
- LTEモジュール搭載
- 外付けカメラ・センサー搭載
- 独自ブラケット装着
- 点検・測量仕様への変更
- 重量や寸法が変わる改造
こうした案件は、機体改造の説明と飛行申請の説明が一体になりやすく、途中から整えるより、最初から整理した方が早いです。
まとめ
- 改造申請は「付けた物」ではなく「飛行への影響」で決まる
- 用途、製品名、寸法、装着法、取外し可否、飛行への影響が重要
- LTEモジュール搭載は今後増える実務論点になる
- 飛行申請と機体登録の論点は分けて考える必要がある
改造申請で本当に問われるのは、改造したことではなく、その状態で安全に飛ばせると説明できるかです。
ドローン運航は「事後説明」を前提に設計する
許可があっても、現場で止まる案件は少なくありません
ドローン運航は「許可が取れるか」ではなく、現場で最後まで成立するかで判断する必要があります。
- 第三者管理は維持できますか?
- 監視体制は機能しますか?
- 中止判断は定義されていますか?
- 関係者への説明は通りますか?
これらが整理されていない案件は、許可があっても現場で止まります。
※飛行許可申請のみのご相談にも対応しています

