

花火大会ドローン許可の実務判断:矢野事務所
花火大会でのドローン飛行は、許可を取れば終わりではありません。
重要なのは、夜間・催し・高度・関係機関調整をどう切り分けて成立させるかです。
花火大会のドローン案件は、一般的な包括申請とは別物です。
夜間飛行、目視外飛行、高度150m以上、DID、催し場所上空、空港事務所、警察、消防、主催者との調整が重なりやすく、ドローン実務の中でも難度の高い部類に入ります。
しかも、本当に難しいのは許可申請そのものではありません。
イベント上空に当たるのか、花火の近くに人がいないから催し上空ではないのか、どの位置から撮るのか、立入管理が組めるのかという判断です。
この記事では、花火大会のドローン飛行について、制度説明ではなく実務でどこが分かれ目になるのかを整理します。
このページで分かること
結論|花火大会は「許可の数」より「飛行の組み方」で決まります
花火大会案件では、必要な許可や調整先が多くなります。
ただし、実務の本体はそこではありません。
- 催し上空になるのか
- 夜間目視外まで行くのか
- 150m以上に上げるのか
- 主催者・警察・消防の協力で立入管理が組めるのか
この4点で難度が大きく変わります。
花火大会で考えるべき主な許可と調整先
飛ばし方によって取捨選択はありますが、花火大会で主に問題になるのは次の論点です。
〇夜間飛行
〇催し場所上空の飛行
〇目視外飛行
〇人又は物件から30m未満飛行
〇人口集中地区上空
〇警察・消防
〇航空交通管理センター
〇空港事務所
〇航空局
〇その他管理者・関係先
ただし、全部必要になるとは限りません。
例えば、150m未満に抑える、夜間目視外を避ける、観客の上を外すという設計にすると、難度はかなり変わります。
つまり、申請の数は固定ではなく、飛行の組み方で変わるということです。
まず最初にやるべきは主催者との調整です
花火大会案件は、行政手続から入ると遅れます。
最初にやるべきは、主催者や運営者へのコンタクトです。
主催者に確認すべきこと
②大会運営上のルールや条件を確認する
③警察・消防・観光協会などの調整先を確認する
④調整や修正の状況を都度共有する
⑤必要なら主催者側の運営設計に合わせて飛行計画を組み直す
花火大会では、主催者との関係が薄いままでは成立しません。
特に重要なのは、飛ばすこと自体を主催者の運営設計の中に入れてもらうことです。
警察・消防対応は「通報対策」ではなく「運用成立条件」です
花火大会では、一般観客からの通報はほぼ前提です。
通報が入れば、たとえこちらに落ち度がなくても、飛行停止や事情聴取で時間を失います。
花火大会では1時間止まれば案件が終わるので、これは致命的です。
だからこそ、警察・消防への連絡は単なる礼儀ではありません。
飛行を最後まで成立させるための前提条件です。
最近の発覚構造は、ドローン違反の発覚理由|矢野事務所でも整理している通り、飛行そのものより、通報後の確認で崩れることが多くなっています。
150m以上を使うかどうかで難度が一気に変わります
花火大会で高いアングルを狙うと、すぐに150m以上の論点が出ます。
ここで必要になるのが、航空交通管理センターとの事前調整、空港事務所との調整、航空局申請です。
航空交通管理センターとの調整
150m以上で飛ばす場合、まず航空交通管理センターと概要レベルの調整を行います。
航空交通管理センター mail:cab-atmc-asm@gxb.mlit.go.jp
ここで飛行日時、飛行場所、飛行高度の調整が入ります。
空港事務所との調整
次に、関係する空港事務所と飛行日時・高度・場所の調整を進めます。
このあたりは、ドローン高度150m以上で飛ばす申請の世界です。
つまり、花火大会で150m以上を選ぶということは、単に映像演出の問題ではなく、申請難度を一段上げる判断です。
イベント上空になるかどうかが最大の分かれ目です
花火大会案件で一番誤解が多いのがここです。
花火大会=自動的に催し場所上空ではありません。
イベント上空になる場合
観客の近く、観客の上、または不特定多数がいる空間を飛ぶ場合です。
イベント上空にならない場合
花火の近くでも、その場所と時間に人がいない、または立入管理で人を外している場合です。
最近の考え方の土台は、立入管理区画の設計と判断基準をどう組むかです。
つまり、花火大会の近くで飛べるかどうかは、「花火だから」ではなく、飛行経路下に第三者がいるかどうかで決まります。
イベント上空の個別申請は立入禁止区画が本体です
催し場所上空に当たる場合、包括申請ではなく場所を特定した個別申請になります。
そして、この個別申請の本体は立入禁止区画です。
立入禁止区画は高度で決まる
例えば高度40mで飛ばすなら、飛行範囲外周から40m以内を立入禁止にする考え方が基本になります。
つまり、撮りたい映像から逆算するのではなく、立入禁止区画が確保できる飛行しか成立しないということです。
このため、イベント案件では、企画が固まり切ってから相談すると遅いです。
飛行範囲や立入禁止区画の設計は、企画段階から入らないと間に合いません。
夜間目視外は一気に難度が上がります
花火大会で映像的に魅力があるのは、夜間かつ目視外になりやすい構図です。
しかし、ここが一番重いです。
- 補助者配置
- 監視位置
- 立入禁止区画
- 主催者・警察・消防との運営連携
が厳しく問われます。
目視外そのものの整理は、目視外飛行の成立条件と判断整理でも触れていますが、花火大会ではそこに夜間が重なるので、通常案件とは比較になりません。
花火大会案件でよくある誤解
花火大会なら必ずイベント上空になる
違います。飛行経路下に不特定多数がいるかどうかで変わります。
許可を取れば飛ばせる
違います。主催者、警察、消防、空港事務所などとの調整結果が運用に落ちていなければ成立しません。
夜間でも補助者を増やせば何とかなる
それだけでは足りません。立入禁止区画や監視体制が維持できるかが本体です。
花火大会案件はこういう時点で相談した方がよいです
- 企画段階で撮影を入れたい
- 150m以上の絵を狙っている
- 夜間目視外になりそう
- 観客近接か、花火近接かの判断がつかない
- 警察・消防・主催者調整まで含めて崩したくない
この種の案件は、申請の代行だけでは足りません。
どこで飛ばし、どこを外し、どこまでを管理できるかの設計が必要です。
花火大会申請の実例
まとめ
花火大会でのドローン飛行は、単に「夜間だから難しい」「イベントだから許可が要る」という話ではありません。
- どこから飛ばすか
- 150m以上を使うか
- 催し場所上空になるか
- 立入禁止区画を維持できるか
- 主催者・警察・消防と運営が噛み合うか
この5点で成立可否が決まります。
つまり、花火大会案件の本体は許可の取得ではなく、夜間・催し・高度・関係先調整をどう切り分けて成立させるかです。
◆ドローン運航は『事後説明』を前提に設計する◆
許可があっても、現場で止まる案件は少なくありません
ドローン運航は「許可が取れるか」ではなく、現場で最後まで成立するかで判断する必要があります。
- 第三者管理は維持できますか?
- 監視体制は機能しますか?
- 中止判断は定義されていますか?
- 関係者への説明は通りますか?
これらが整理されていない案件は、許可があっても現場で止まります。
※飛行許可申請「のみ」のご相談にも対応しています
