このページで分かること
プライバシー侵害をしないドローンの飛ばし方
今後、レベル4の解禁や免許制度のスタートに象徴されるようにドローンの飛行の範囲や方法、操縦者人口が益々拡大していくことは間違いありません。
これに伴い、付いて回るのがプライバシーの問題です。
ドローンの事業者が気をつけるべき点を解説します。
撮影される側のリスク
ドローンは、その有用性から様々な場面で使われ始めています。
どんなところからも撮影できるというドローンの利点というのは、一方でどんなところからもドローンで写されてしまうという「撮影される側」のリスクの問題とも同居しています。
様々なところを自在に「撮影」できることと併せて、撮影されたものが様々なところで「公開」されるという、これまたもう一つの「撮影された側」のリスクに他なりません。
ドローンを飛行させる行為は、プライバシーの問題と直面するというリスクをはらんでいるのです。
撮影はほとんどが「公開」を前提に行われます。「撮影」することと「公開」されること・・・。
ドローンにおけるプライバシーの問題は小さくありません。
現に、ドローンで勝手に撮影されて、その映像を勝手に掲載されて裁判になった事例もあります。
慰謝料が認められた判例を考えると、ドローンを飛行させる側としては損害賠償のリスクと常に隣り合わせにあるということを認識している必要があります。
上空に飛来したドローンから自宅が撮影され、ベランダが映されて洗濯物も映されるのではないか、、、、。
家の中も映されるのではないか、、、、。
普段見られることのない部分を覗かれているのではないか、、、。
そしてインターネットで自分の生活が丸裸に公開されるのではないか、、、。
そんな「プライバシーの侵害」問題になるわけです。
「プライバシーの侵害」とは、「プライバシー情報を他者にみだりに公開されない権利を侵害する行為」のことを言います。
例えばドローン撮影によるプライバシー侵害を想定したとき、これに近似する裁判事例があります。
それは、ツイッター上に写真を無断でアップロードされた側が、肖像権やプライバシーを侵害されたとして損害賠償請求を起こした事例です。
原告の主張が認められ被告は賠償金を支払うことになりました。
Googleが訴えられた事例
典型的なプライバシー侵害のケースは、その人自身やその人の住居や私生活に関する写真を公開するケースです。
Googleがストリートビューで訴えられた事例があります。
家のベランダの洗濯物が映り込んでいた精神的苦痛により持病の精神疾患が増したというものでした。
このケースでは「公開された画像からは本人が特定できない」という趣旨で訴えは棄却されています。
公道からの撮影であることや特定の家屋や家の中を映す意図はないこと、外観が映っているものであり家の中は映っていないことや、画像全体に占めるベランダの画像の割合が小さい等が判決の理由になったようです。
この例で学ばせてならないことは、判決の内容よりも「プライバシーの感じ方は人ぞれぞれであり、侵害と感じた人は容易に訴えることができるもの」だとうことです。
そういうことからすると、ドローンによる撮影でも、遠く公道の上空から撮っていて、そこにその家の外観としてベランダなどが映ってしまっているが、それも少しだけのレベルであれば、それだけで違法となるものではないでしょう。
明らかに敷地内にまで入って、その部屋の内部まで写したものはもちろん違法ですが、公道上からその外観を撮る分には問題ないと言えるのではないでしょうか。
プライバシー侵害のない飛ばし方
ただ、訴訟には勝てても、訴えられるという事実とそれにかかる時間や費用を考えると、ドローンによるプライバシー侵害の問題は大きなリスクと言えます。
撮影される側の印象や感情や考え方によっては、いつでもドローンは訴えられ得るものだということをしっかり認識しておかなければなりません。
気を付けるべきこととはどんなことでしょうか。
総務省から出ている「ドローンによる撮影映像等のインターネット上での取扱いに係るガイドライン」を一通りに頭にいれて飛ばすことです。
このガイドライン中には
【3章 具体的に注意すべき事項】として
1 住宅地にカメラを向けないようにするなど撮影態様に配慮すること
2 プライバシー侵害の可能性がある撮影映像等にぼかしを入れるなどの配慮をすること
3 撮影映像等をインターネット上で公開するサービスを提供する電気通信事業者におい ては削除依頼への対応を適切に行うこと・
という三つの角度から注意すべき点が具体的に示されています。
カメラの角度や、ズーム機能への注意、高層マンションのケース、人の顔やナンバープレート、表札、住居の外観、住居内の住人の様子、洗濯物が撮影映像等に写り込んでしまった場合…等々、「プライバシー侵害となる可能性」を考慮しながらかなり細かく記載されています。
このガイドラインを参考にするだけでも相当の未然防止につながります。
飛行前の準備もそうであるように、ドローンにおいてはひとたびことが起こる前の「備え」が最も安全でリスクを最小化する行為であることを認識しましょう。
総務省:「ドローン」による撮影映像等のインターネット上での取扱いに係るガイドライン
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