発令の前例はまだないドローン禁止の「緊急用務空域」とは?

飛行直前に国交省ホームページで確認する義務

ドローンを飛行させる前に緊急業務空域の確認を必ず行って下さい。
通常は飛行可能な空域も、捜索救助等活動のため緊急にドローン飛行が禁止される場合があります。
飛行開始前に当該空域が緊急用務空域に該当するか否かの確認義務が課されているのです。

飛行前に必ず確認する義務

緊急用務空域とは?

大規模な災害時等に、消防救助、警察業務その他の緊急業務を行うための航空機の飛行の安全を確保する必要があります。
この時、国土交通大臣が無人航空機の飛行を禁止する空域として指定する空域のことを「緊急用務空域」と言います。

消防や警察が誰かの命を助けるためにヘリや飛行機を飛ばす場合には、緊急用務空域という禁止空域を突然決めざるを得ないので、そこは飛ばさないでくださいということです。

この法律ができた背景には令和32月の事件があります。

栃木県足利市で起きた山火事の消火活動の最中に、ドローンが飛来し消火活動が一時中断されたという事件です。

この事件を受けて、このようなことが二度とないようにする為、原則無人航空機の飛行を禁止としました。

消防や救助、警察業務その他の緊急業務を行うために航行する航空機の安全を確保すべく、これらの航空機が飛行する空域を緊急空域として指定して、緊急対応を行う航空機の活動に支障がないようにしたということです。

→参照: ドローンが山火事消化を邪魔した事件

急遽、飛行許可が必要な空域になる

繰り返しになりますが、無人航空機を飛行させる方は飛行する前に当該空域は緊急用務空域に該当するか否かの区別を確認することが義務付けられています。

この緊急用務空域が指定された場合は、国交省のホームページやインターネット等で公示する決まりになっていますので、ドローンの飛行前には必ず確認しなくてはなりません。

要はドローン飛ばす人は全国全員ここを見てから飛ばしてくださいということです。

そしてこの緊急用務空域はドローンの飛行禁止空域とされていますから「飛行許可承認」の取得が必要となる空域となるのです。

災害が起こると緊急対応を行うためのドクターヘリや自衛隊の捜索ヘリが飛び交い、警察による広範囲な警備活動を行う等、様々な公的な動きがなされます。

ドローン飛行の予定空域がそうした緊急用務空域として指定された瞬間に、ドローンは原則飛行禁止になります。

災害の定義

日本の災害対策基本法では、災害を
防風、竜巻、豪雨、豪雪、洪水、崖崩れ、土石流、高潮、地震、津波、噴火、地滑りその他の異常な自然現象又は大規模な火事もしくは爆発その他の異常な自然現象又は大規模な火事もしくは爆発その他その及ぼす被害の程度においてこれらに類する政令で定める原因により生ずる被害。。。
と定義しています。

 

これは場合によっては自然災害だけでなく交通事故等の人災も含むかもしれません。

交通事故でも相応の規模で起こってしまったら警察や消防の救助がそれなりの規模で動くことは十分に考えられます。

こういうときは、ドローンを飛ばすことができない緊急用務空域なるものが、予期せぬ時に予期せぬタイミングで突然現れるということになるわけです。

包括許可あってもNG

1年間にわたりいつでも全国を飛行させる包括許可(包括申請)というものがありますが、それを取得していたとしても緊急用務空域では飛ばすことはできません。それくらい絶対的な空域です。

もしも緊急用務空域が指定された場合には、飛行許可取得を申請しなければ飛ばすことはできません。

ただ、緊急用務空域にはヘリ等の様々な航空機が飛び交っていますから、申請したとしてもおそらく許可は下りないのではないでしょうか。

契約書に記載しておくこと

ドローンを飛ばすことができない緊急用務空域が予期せぬ時に予期せぬタイミングで突然現れるということになる・・・となると、飛行計画が実行できなくなり、予定していた空撮や点検等の中止・延期を余儀なくされます。

ドローンの飛行を自らの為に行うのであれば別ですが、これを空撮等で業務として請け負っていた場合(つまりビジネス)となると、飛行の中止や延期によって損害が発生することになります。

このようなケースに備えてドローンの飛行を受注する側としては、契約条項の中にあらかじめ想定した記載をしておくことをお奨めします。

つまり緊急用務空域指定発動等、不可抗力で飛行できなくなった際にはキャンセル料が発生する(或いはしない)旨の記載です。
通常は契約書や見積書の中に反映することとなります。

緊急用務空域の発令により、中止・延期せざるを得なくなることがあるということで、その場合のキャンセル料をどうするか・・・
ここはしっかりと明記しておかなければいけません。

このことは天候の場合も同様です。

不慮の出来事で不可抗力により飛ばせない場合、キャンセル料が発生するような契約をしている方も多いかと思いますが、緊急用務空域指定についても忘れずに同様な扱いにすることです。

この点は発注先としっかりと契約して確認しておかないとご自身が損をすることにもなりかねないということです。

大切なリスクヘッジです。

捜索救助のための特例

また、捜索救助のための特例というものが定められているので、これも解説しておきます。

国、地方公共団体又はこれらの依頼を受けた者が、事故・災害の際、捜索救助のために無人航空機を飛行する場合は、航空法第132条、飛行の禁止空域および132条5から10以降の方法の規定が適用されない、と定められているものです。

国もしくは地方公共団体又はこれの元の依頼を受けた者、これを特例適用者といいます。

捜索や点検確認等を目的として国や自治体がドローンを飛ばすケースです。

捜索活動等の緊急の要のためにドローンを飛行させる場合は、通常の飛行禁止空域での飛行を可能とするというものです。

確かにこの点は臨機に応変せざるを得ないという面から当然と思えます。

それでも、この特例適用者が事故災害時に飛ばす場合にでも、特に気をつけないといけないことが特別に文書化されています。

【航空法第 132 条の3の適用を受け無人航空機を飛行させる場合の運用ガイドライン】です。

このガイドラインの「目的」に

「特例適用者の責任においてその飛行により、航空機(有人機)の航行の安全並びに地上および水上の人および物件の安全が損なわれないよう、許可等を受けた場合と同程度の必要な安全確保を自主的に行って無人航空機を飛行させる必要がある」

とされています。

つまり、別に国だからといって飛ばし放題というわけではないということです。

要は、先に述べた包括許可と同じように、通常時に飛行許可や公的な提携を取得していても、ひとたび緊急用務空域となった場合は
一気に制約され許可承認は通用しなくなるということを覚えておく必要があります。

関連記事→災害時のドローン飛行は許可必要?

前日と当日に確認を 

 実はこの緊急用務空域の発令は、ルールが出来てからまだ一度も出されたことはありません。

それ自体は喜ばしいことですが、ひとたび発令された時の影響を考えると失念することのできないルールです。

飛ばす前には必ず国交省のホームページを確認してください。

またTwitterでも発信されますから、国交省のアカウントはフォローしておきましょう。

飛行の前日、とりあえずホームページを見て、更に飛ばす直前にも再度確認するとことを心がけていれば大丈夫でしょう。

緊急用務空域における追加基準

国土交通大臣が、その飛行により航空機の航行の安全並びに地上及び水上の人及び物件の安全が損なわれるおそれがないと認めて許可した場合、「緊急用務空域」においても無人航空機を飛行が認められます(航空法第132条第2項第2号)

緊急用務空域が発令されても、飛行許可を得れば民間サイドでも飛ばせる場合があります。

何故なら、報道の為の空撮やまた自らが罹災者となり被害の状況を調べたい場合があるからです。

緊急用務空域における無人航空機の飛行に関して国土交通大臣の許可を受けるためには、ほかのケースと同様にまず3つの規制を満たすことが基本です。

(ただし、無人航空機の機能及び性能、無 人航空機を飛行させる者の飛行経歴等、安全を確保するために必要な体制等とあわせて総合的に判断し、航空機の航行の安全並びに地上及び水上の人及び物件の安全が損 なわれるおそれがないと認められる場合は、この限りでない・・・国交省HP

飛行許可申請でクリアすべき三つの規制(共通)

1.機体の性能及び性能に関する規制

2.飛行させる者の飛行経歴・知識・技能に関する規制

3.安全確保体制に関する規制

そして、これに加えて追加基準を満たす必要があります。

国交省は許可承認の追加基準として次のように定めています。

1.機体に関する追加基準

航空機からの視認をようにする為の「灯火」の装備又は飛行時に機体を認識しやすい「塗色」を行うこと

2.安全確保体制に関する追加基準

安全確保体制に関する追加基準

◎災害時等の報道取材やインフラ点検・保守など、緊急用務空域の指定の変更又は解除を待たずして飛行させることが真に必要と認められる飛行であること。

◎無人航空機を飛行させる際には、空港事務所及び緊急用務空域を飛行する航空機の運航者等の関係機関と常に連絡がとれる体制を確保すること。

◎飛行経路全体を見渡せる位置に、航空機及び無人航空機の飛行状況及び周囲の気象状況の変化等を常に監視できる補助者を配置し、補助者は、無人航空機を飛行させる者が安全に飛行させることができるよう必要な助言を行うこと。

◎無人航空機の飛行経路上及びその周辺の空域において飛行中の航空機及び法第132 条の3の適用を受けた無人航空機の接近を確認した場合には直ちに無人航空機を地上に降下させるなどし、衝突のおそれがないことを確認できるまでは飛行させないこと。

◎空港事務所又は緊急用務空域を飛行する航空機の運航者等の関係機関から無人航空機の飛行の中止又は飛行計画(飛行日時、飛行経路、飛行高度等)の変更等の指示がある場合には、それに従うこと。

◎緊急用務空域を飛行する航空機の運航者等の関係機関から無人航空機の飛行に係る情報の提供(無人航空機の飛行の開始及び終了の連絡等)を求められた場合には、当該関係機関に報告すること。

◎第三者に対する危害を防止するため、原則として第三者の上空で無人航空機を飛行させないこと。また、飛行経路の直下及びその周辺に第三者が立ち入った場合には、無人航空機の飛行の中止又は飛行計画の変更等を行うこと。

3.航空情報の通知

航空情報の発行手続きが必要であるため、以下の対応を行う体制を構築すること。

飛行を行う日の前日までに、その飛行内容について飛行する場所を管轄する空港事務所長等(管轄事務所長等)へ、以下の項目を通知すること。なお、予め管轄事務所長等から通知先を指定された場合には、指定された機関へ通知を行うこと。

通知項目
〇飛行日時:飛行の開始日時及び終了日時
〇飛行経路:緯度経度(世界測地系)及び所在地
〇飛行高度:下限及び上限の海抜高度
〇機体数:同時に飛行させる無人航空機の最大機数
〇機体諸元:無人航空機の種類、重量 等

〇日時及び空域を確定させて申請し許可を取得した場合には、申請内容に応じて航空情報を発行することとするため、飛行を行わなくなった場合には、速やかに管轄事務所長に対しその旨通知すること

 

以上のように、緊急用務空域でドローンを飛ばす場合は、様々な規制をクリアしなければならず難度の高い飛行許可申請となります。

多方面の管轄事務所等との調整もありますから、場合によってはドローン専門の行政書士に依頼することが良い選択でしょう。

行政書士矢野法務事務所は東京都八王子の事務所です。北海道の案件も九州の申請もお受けしている全国型の事務所です。
ドローン法務に詳しい当事務所にご依頼頂き、手間の要らない確実なドローンの飛行許可申請を行いましょう。

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