農薬散布ドローンの事故原因と安全対策:包括申請の矢野事務所

農薬散布ドローンは急拡大

 

今、農業の世界では「スマート農業」を実現するためにIT系の様々な取り組みがなされています。

その中で最も有望視されているのが農薬散布でのドローンの活用です。

ドローンは、その機動性や取扱性そして効率性から利用価値が非常に高く、特に病害虫の防除領域で大きく利活用が進んでいます。

 

農林水産省もドローンの農業への利活用を強力に推進しており、特にニーズが顕在化している防除分野においては、ドローンで散布できる登録農薬の拡大など、これまでの規制を緩和しています。

その結果、水稲や麦、大豆等の穀物類だけでなく野菜や果樹と、広い用途で利用が可能となっています。

このような理由から今後農業分野でのドローン市場は急速に拡大していくと予想されているのです。

 農家の不安とヤンマーの啓蒙活動

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しかし一方で、防除作業というのは年間の中でも一定の期間に限られており、そのためいくらドローンの操作が簡単とはいえ、毎年訪れる使い始めは、不安視されている方が多いようです。

しかも、トラクターなどで使い慣れた陸での作業と異なり、慣れない空からの作業ですので、万が一墜落させたらどうしようという心配もあります。

そのような農家の悩みを解決すべく、農薬散布ドローンの製造メーカーであるヤンマー社では、忘れがちなドローンの操作や作業前に行う項目を毎年防除時期に入る前に復習解説する「動画」を出してくれています。

この動画の中で、墜落の事故を未然に防ぐために安全な散布作業に必要なことをまとめているのです。

ドローンを活用される農家の方は是非この動画の内容を散布作業に取り入れていただき、事故ゼロで散布作業が終えるよう取り組んでください。

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事故原因のワースト3

事故の傾向

ヤンマー社は動画の中で貴重なデータを公表しています。

2021年に発生した事故の傾向についてのデータです。

  • 農薬散布中の事故:52%
  • 散布するために移動中に発生した事故:16%
  • 飛行準備確認不足で離陸直後に発生した事故:32%

その中で、事故発生原因のワースト3

  • 散布作業の前にアームスリーブを締め忘れたことで発生した墜落事故
  • 散布中に電線や電柱の支線、害虫除けの電気柵などに接触した墜落事故
  • 散布中の立木への接触

となっており、いずれも飛行準備確認不足が原因であることがわかります。

 操作ミスと連係ミスが大半

このように、ドローンの墜落事故のほとんどは、オペレーターの確認不足や操作ミス、ナビゲーターと呼ばれる補助者との伝達不足によるもので、ヒューマンエラーで発生しているのです。

早く散布したいからすぐ飛ばそう、もうちょっとギリギリまで散布したい…などの気持ちを抑え、その都度安全を意識・最優先するだけで事故を減らすことは可能といえます。

一番多かった散布中事故の内訳をみると

・オペレーターの操作ミス:50%

・オペレーターとナビゲーターの連携ミス:46%

と、もうほとんどがオペレーターの安全に対する知識、オペレーターとナビゲーターの情報伝達の不足が事故発生原因といえます。

 

ドローンによる空中散布は、歩いて行う農薬散布より遥かに省力化できるようになりましたが、その空中には電柱や電線、立木などが多数あり、操縦者がとっさに気づいても空中にいるドローンはすぐには止まれません。

ナビゲーター(補助者)との連携不足で、見えづらい電線や視線などに衝突してしまったり、見えているにも関わらず目測を誤り立木に衝突してしまうことなどは、散布中の事故の原因の殆んどとなっています。 

そんな状況ですから、事前に障害物を確認しておくことやドローンの特性を理解しておくことが、事故を起こさない重要なポイントになります。

飛行準備、確認不足

もう一つの事故原因に、飛行準備、確認不足があります。

準備と確認という事前措置についての不足ですので、基本的には愚直な確認や無理な作業をしなければ、未然に防ぐことが可能になります。

つまり、確認を怠らなければ発生しない事故ということです。

作業前にドローンのアームを展開しますが、固定するためのスリーブを閉め忘れてしまったとか、バッテリーの残量警報が出ているにもかかわらず無視をしてしまったとか、シンプルな措置を怠らなければ発生しなかった事故だと考えられます。

猛暑は要注意

近年の散布時期は猛暑の中で行うことが増えてきているそうです。

猛暑で外での作業となると非常につらい作業となることは想像に難くありません。

例えば、意識が朦朧とし、集中力が切れてしまいます。

散布スケジュールの詰め込みすぎで、とりあえず早く作業を終わらせようとして、注意がおろそかになります。

オペレーターとナビゲーターの伝達が遅れたり、お互いイライラし、作業どころではなくなることも考えられます。

また、普段気付くような障害物ですら気づくことができなくなります。

猛暑は事故発生要因の一つになることも理解しておくべきです。

事故を起こさないために

事故が起こりうる原因としては以下の6つでした。

①オペレーターの操作ミス。

②ナビゲーターとの連携不足により、電線、電柱などへの接触。

③オペレーターの確認不足。

④ナビゲーターの誘導ミス。

⑤未熟な操作技術により取り扱い補助の判断ミス

⑥スケジュールの過密化

万が一事故を起こしたら

一度事故を起こすと、散布作業はできなくなるだけではなく、多額の修理費用も発生します。

計画的に散布作業するには、事故を起こさないことが一番です。

どうしたら安全にドローンで散布作業ができるかが重要になります。

万が一事故を起こしてしまった場合は、冷静に、直ちに関係各所やメーカー担当者への連絡をお願いいたします。

伝える内容としては、ケガ人はいませんか、ケガ人がいた場合は、救急車を呼ぶなど、人命救助が最優先です。

電線支線や第三者へ損害を与えていませんか。

もし第三者への損害を与えてしまった場合は、警察署や持ち主への報告が必要になります。

どのような不具合なのか、具体的な事故内容を担当者へ連絡してください。

関係各所へ事故報告書の提出をしてください。

けが人や第三者への損害があった場合は、国土交通省へ報告が義務付けられています。

必ず報告をしてください。

周囲は騒いでいませんか。

事故状況によっては、マスコミが情報を得て、情報の聞き取りに来る可能性もあります。

事故を起こしてしまったときには、このような対応が必要となります。

散布作業が滞るだけでなく、たくさんの作業が発生します。

万が一事故を起こしてしまった場合は、必ず対応してください。

安全飛行の具体策

以下はヤンマーが農家に提案している、ドローンで安全に作業するための必要事項です。事故データや農家の声を踏まえた、とても有効で難しくはない内容となっていますので紹介します。

障害物入りの地図

一つ目は、障害物を記入した散布計画地図を作成しましょう。

オペレーターとナビゲーターで障害物を事前に共有し、ここは注意が必要だなと確認し合います。

そして、事前に作成した地図を散布直前に確認し合い作業を行ってください。

追加で障害となりそうなものがある場合は、その場で追記し、共有します。

作成した地図は、次年度以降でも重要な資料となります。

また、オペレーターやナビゲーターが変わっても、散布計画地図があることで、障害物が一目瞭然です。

作成と活用と、オペレーターとナビゲーターでの情報共有をお願いいたします。

目印の設置

次に、見えにくい障害物、例えば電柱の視線や電気柵などへは、よりわかりやすくするため、旗などを近くに設置しましょう。

オペレーターは障害物があることが認識しやすくなります。

ナビゲーターも障害物の認識忘れや伝達漏れが減少すると考えます。

障害物の大きさ幅によって、より多くの旗などを命ずる率を設置してください。

指差し呼称

どんな職種でも、どんな現場でも指差し呼称は非情に有効です。

散布前に、オペレーターとナビゲーターで行うようにしましょう。

ドローンに向かってアームの締め込みをし、送信機に向かって「バッテリー残量よし!」などを行うようにしてください。

もちろん、離陸する前には十分距離をとり、前後左右と上空の確認も実施します。

何もしないときに比べ、84%、事故が低減すると言われています。

必ず一つ一つの行動に、オペレーターとナビゲーターで指差し呼称を実施しましょう。

暑さ対策

熱中症予防のためにも集中力を切らさないためにもこまめな休憩と水分補給をしましょう。

そして、余裕を持った散布スケジュールを計画実施し、焦りがないように作業しましょう。

休憩中に再度散布計画や、作成した散布計画地図の確認を実施してください。

水分補給には、スポーツ飲料が最適と言われており、特に常温が吸収しやすいと言われています。

そして、塩飴なども常備し、水分とともに積極的に摂取しましょう。

養蜂とのトラブル

最近では養蜂へのトラブルも発生しています。

養蜂農家の情報は、各市町村にお問い合わせください。

一般的に、ニホンミツバチは水や花粉集めに、半径2キロ。

探索罰や分波器では、半径500m程度移動すると言われています。

養蜂箱の設置は、補助より低い場所や背の高い草で、見えない場所にあったりするので注意が必要です。

蜂に農薬が付着し、養蜂箱に戻った際、全滅になったというケースがありますので注意が必要です。

事前に市町村へ問い合わせてください。 

まとめ

事故を起こさないように安全にドローンで農薬散布するために基本動作の徹底は無事故への一番の近道です。

ヤンマー社の提案を忠実に実行し安全作業を最優先した飛行を行いましょう。

ドローンによる農薬散布は農業の救世主として登場しましたが。事故を起こしてはひとたまりもありません。

 

行政書士矢野法務事務所は東京都八王子の事務所です。北海道の案件も九州の申請もお受けしている全国型の事務所です。
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