
ドローン夜間飛行が許可される条件:矢野事務所
ドローンの夜間飛行は、「許可を取れば自由に飛ばせる」ものではありません。
夜間飛行は、航空法上、原則として承認が必要になる飛行方法です。
ただし、承認を取得したとしても、それだけで現場の運航が成立するわけではありません。
夜間は、昼間に比べて機体、周囲、第三者、障害物、離着陸地点の確認が難しくなります。
つまり、夜間飛行で問われるのは、単に「承認があるか」ではありません。
暗い環境の中で、飛行状態を維持できるか。
第三者状態を維持できるか。
異常時に止める判断ができるか。
ここまで整理して初めて、夜間飛行は実務上成立します。
このページで分かること
夜間飛行は「承認が必要になる飛行方法」です
夜間飛行とは、日の入りから日の出までの間に行う飛行です。
この時間帯にドローンを飛行させる場合、原則として国土交通大臣の承認が必要になります。
ただし、ここで大切なのは、夜間飛行が「全面的に禁止されている」という単純な話ではないことです。
正確には、夜間というリスクの高い時間帯で飛行するため、一定の条件を満たしたうえで承認を受ける必要がある、という整理です。
そして、承認を受けた後も、飛行マニュアルや許可条件に従って運航しなければなりません。
つまり、夜間飛行は、承認取得と現地運航の両方で成立する飛行です。
夜間飛行の本質は、視認性低下です
夜間飛行が難しい理由は、暗いからです。
これは単純ですが、実務上は非常に大きな問題です。
夜間になると、機体の向き、姿勢、高度感覚、周囲の障害物、第三者の接近が昼間より分かりにくくなります。
離着陸地点の確認も難しくなります。
補助者との位置関係も把握しにくくなります。
そのため、夜間飛行では、「飛ばせるか」ではなく、「暗い中でも状態を維持できるか」が問題になります。
視認性が落ちるということは、異常の発見が遅れるということです。
異常の発見が遅れれば、停止判断も遅れます。
夜間飛行の条件は、形式ではなく現地で成立する必要があります
夜間飛行では、灯火によって機体の向きや位置を確認できることが重要になります。
しかし、機体にライトが付いていれば十分という話ではありません。
そのライトが、実際の飛行範囲で確認できるか。
操縦者が機体の向きを把握できるか。
補助者が周囲状況を確認できるか。
離着陸地点に必要な明るさがあるか。
第三者が入ってこない状態を維持できるか。
これらが現地で成立している必要があります。
夜間飛行の条件は、申請書に書いて終わるものではありません。
現場で維持できて初めて意味を持ちます。
第三者状態維持は、夜間ではさらに難しくなります
夜間飛行では、第三者状態維持が昼間より難しくなります。
人の接近に気づきにくい。
車両や自転車の動きが見えにくい。
建物の出入口や駐車場から人が出てくる可能性がある。
暗い場所では、補助者が周囲を見落とすこともあります。
そのため、夜間飛行では、第三者が立ち入らない状態をどう維持するかが重要になります。
「第三者を完全に排除する」といった抽象的な言い方では足りません。
誰が見て、どの範囲を管理し、第三者が近づいたら誰が止めるのか。
ここまで決めておく必要があります。
夜間と目視外は、単純に重ねてよいものではありません
夜間飛行と目視外飛行は、それぞれ別のリスクを持っています。
夜間は視認性が下がります。
目視外では、操縦者が機体や周囲を直接見続けることができません。
この二つが重なると、確認機能が大きく弱くなります。
したがって、「包括申請で夜間も目視外も取っているから、同時に使える」と考えるのは危険です。
実際には、夜間と目視外が重なる場合、補助者、第三者管理、飛行経路、監視体制、停止条件まで含めて、個別に成立性を確認する必要があります。
目視外飛行全体の考え方は、目視外飛行の成立条件と判断整理|矢野事務所で整理しています。
DIDや30m未満と重なる場合も、一律に考えない
夜間飛行は、他の飛行条件と重なることで成立難度が上がります。
DIDで夜間飛行を行う場合、第三者状態維持はさらに難しくなります。
30m未満の飛行と重なる場合、人や物件との距離管理も問題になります。
ただし、これらを一律に「できる」「できない」と整理するのは危険です。
重要なのは、組み合わせによって何が難しくなるのかを具体的に見ることです。
夜間で見えにくい。
DIDで第三者が多い。
30m未満で接近リスクが高い。
このように、条件が重なるほど、現地設計と説明可能性が重要になります。
国家資格や認証機があっても、条件確認は残ります
現在の制度では、国家資格や認証機が関係する場面があります。
しかし、「国家資格と認証機があれば夜間飛行はすべて許可不要」と単純に考えるのは危険です。
制度上、許可・承認が不要になる場面があるとしても、それは一定の条件を満たす場合に限られます。
飛行カテゴリー、機体、操縦者、飛行方法、立入管理措置などによって結論は変わります。
つまり、国家資格や認証機は重要ですが、現地の安全確認や運航判断を不要にするものではありません。
制度上の整理と、現地で夜間状態を維持できるかは、分けて確認する必要があります。
夜間飛行では、停止条件を先に決める
夜間飛行では、異常の発見が遅れやすくなります。
そのため、停止条件を先に決めておく必要があります。
機体の向きが確認できなくなったら止めるのか。
補助者が周囲確認できなくなったら止めるのか。
第三者が近づいたら止めるのか。
離着陸地点の安全が保てなくなったら止めるのか。
通信や映像が不安定になったら止めるのか。
ここが決まっていなければ、現場で判断が遅れます。
夜間飛行では、「続ける理由」よりも、「どこで止めるか」が重要です。
夜間飛行は、操縦ではなく運航管理で決まります
夜間飛行では、操縦技術だけでは足りません。
暗い中で機体を操作できるかだけでなく、現地全体をどう管理するかが問われます。
飛行範囲。
第三者状態。
補助者機能。
離着陸地点。
照明。
停止条件。
周辺説明。
これらを一体で整理する必要があります。
つまり、夜間飛行は「夜に飛ばす技術」ではなく、「夜間状態を維持する運航管理」です。
ドローン運航全体の考え方は、ドローンは操縦でなく運航管理|矢野事務所でも整理しています。
まとめ:夜間飛行は、条件が成立して初めて飛ばせます
夜間飛行は、原則として承認が必要になる飛行方法です。
しかし、承認を取得しただけで自由に飛ばせるわけではありません。
夜間では、視認性が低下し、第三者状態維持、補助者機能、停止判断が難しくなります。
夜間と目視外、DID、30m未満が重なる場合は、さらに慎重な判断が必要です。
重要なのは、「承認があるか」ではなく、「夜間状態を維持できるか」です。
その条件が成立して初めて、夜間飛行は実務上成立します。
◆ドローン運航は『事後説明』を前提に設計する◆
許可があっても、現場で止まる案件は少なくありません
ドローン運航は「許可が取れるか」ではなく、現場で最後まで成立するかで判断する必要があります。
- 第三者管理は維持できますか?
- 監視体制は機能しますか?
- 中止判断は定義されていますか?
- 関係者への説明は通りますか?
これらが整理されていない案件は、許可があっても現場で止まります。
※飛行許可申請「のみ」のご相談にも対応しています

