
ホームページ掲載機は包括申請の写真等、省略可能
ホームページ掲載機リストにある「申請書の飛行形態の区分」という欄を見ると A からG までアルファベットが記載されています。
このアルファベットは「どういった資料が省略できるのか」ということを具体的に示したものです。
内容をよく理解しないと違反に直結するケースがあるのできっちりと解説します。
このページで分かること
区分Aで省略できる資料
まずAというのは基本的機能および性能の部分についての資料が省略できます。
この国交省のホームページのこのリストにない機体については、機体の多方面からの写真と諸元、スペックの資料を添付する必要があります。
オンライン申請であればこれらを添付入力する必要があるということです。
そして、このホームページ掲載機の飛行形態区分の欄に「A」と書いてあれば、機体の多方面の写真もスペックについての資料もすべて省略できるという意味です。
“この機種の内容については国交省で既に完全に認められているので飛行許可申請するときにわざわざ出さなくていいですよ”ということを申請者に伝えているのです。
そうでなければ、通常は前横後ろ方面やプロポの写真、メーカーのホームページなど説明書に載っている基本的な生のスペック部分の写真やスクリーンショット、PDFなどを添付する必要があり、かなり面倒な作業となります。
このAが書いてあるものはこれらが全て不要となるので、その負担がなくなる分だけ申請者側には作業がとても楽になります。
このホームページ掲載機リストの機種にはほぼすべてにAが付いているので、飛ばしたいドローンがこのリストに載っていれば基本的な性能についての資料提出は省略できる…と思っていれば OK です。
DJI機は全てAと書いてあるので基本的な資料は全部不要です。
区分Bで省略できる資料
Bは「新入表面等の上空、地表から150メートル以上の高さの空域の基準」と書いてあり、これだけでは非常に判りにくいのですが、この意味は“空港の周辺か150メートル以上の高さで飛ばすときに必要となる条件をクリアしていることを証明する写真等の資料は不要”というものです。
本来であれば、有人の航空機から見えやすいようにドローンに色を塗ったり蛍光色あるものを取りを付けたり、LEDライトを付けたり等々の基準が多々あるのですが、このBと書いてあるものについてはその資料の省略が可能ということです。
区分Cで省略できる資料
Cは、「人又は家屋の密集している地域の上空における飛行、地上又は水上の人又は物件との間に所定の距離を保てない飛行、多数の者が集結する催し場所の上空における飛行のための基準(第三者の上空で無人航空機を飛行させない場合)」と定義されています。
これは、“人又は家屋の密集している地域(人口集中地区DID のこと)や第三者・第三者物件から30m の距離を確保できない飛行をする際に必要となる、プロペラのガード等の安全措置についての写真の添付が省略できる”ということを意味しています。
ただし、これはメーカーが指定しているガードを使っている場合に限られ、そうでないものについては写真の添付や改造の申請が必要となります。
少し自分好みに変えたりすると、さほど飛行に影響ないにもかかわらず改造申請までもが必要になってしまいますので、あくまでメーカーが指定のものに限って資料が省略できるということに注意してください。
プロポを変えた場合も同様です。
区分Ðで省略できる資料
Dは「夜間のための基準」とだけ記されてありますが、夜間飛行では飛行中のドローンが見やすいようにライトが付いていなければならないという基準があり、ライト点灯した状態で写真撮影をしてそれを添付する必要があるのですが、このDと付記された機体であればそれを省略できます。
区分Eで省略できる資料
Eは「目視外飛行(補助者あり)の基準」となっています。
目視外飛行では、“カメラがついていて手元のプロポのモニターでそのカメラとつながっていることが確認できることや、google マップのような地図が画面の中に写っていて画面の中でドローンの位置がわかること、そして電波の状況などドローンの状態がモニター上でわかることが必要“とされています。
そして通常ですとモニターのスクリーンショット写真などを添付することとなっているのですが、これは区分Eとなっていれば写真の添付が省略できます。
見過ごせない「E」の注意点
このEだけは見過ごすことができない注意点があります。
このEには、ほぼ全てに「注意2」と書いてあります。
注意2についての記述を見ると「メーカー指定の自動操縦システムその機外の様子を監視できるカメラを装備した場合に限る」と書かれています。
つまり資料を省略できる場合というのは、自動操縦システム(具体的には自動操縦のアプリを装備して使う場合)に限るという意味です。
ということは、自動操縦以外ならば資料の省略はできないということです。
では、非常にポピュラーな、プロポのモニターを見ながらの飛行やゴーグルをつけての飛行は自動操縦と言えるでしょうか?
違いますね。自動操縦ではありません。
普通に手元でプロポなどのモニターを見ながらの目視外飛行や、ゴーグルをつけての目視外飛行をする場合は自動操縦には当たらないということです。
となれば、この場合は資料省略はできません。
ところが多くの方は、資料が省略できる方が断然に楽なので、自動操縦をしないにもかかわらずDIPSに出てくる「自動操縦システムを使用する」…という選択ボタンを選んで許可承認取得しているのが実態です。
許可された飛行法と異なる飛行
DIPSで自動操縦の選択肢を選ぶと、一般的な目視外飛行の空撮でやるようなモニターを見ながらの飛ばし方ができない内容の許可承認になっている・・・にもかかわらず・・・にです。
この点は許可証を見ただけでは判りませんが、ひとたび事故が起きてしまえば「申請内容と違う!」と当局から厳しく追及されることになります。
矢野事務所もここを注意して、実態とそぐわない申請や明らかに空撮したいと言っている場合などは「自動操縦システムを使う」選択はしないようにしています。
これは飛行許可申請の中でもかなり注意しなければならないところです。目視外の飛行の時はかなり注意です。
プロペラガードも同様
従って、現実と合った飛行をするのであれば、カメラとそのプロポの映像がつながっている写真と画面の中で機体の位置とか電波バッテリー の状況などがわかるスクリーンショット写真を省略せずに全部提出して申請することが必要になります。
残念ながら多くの方ほとんどの方はそれができていない。
知らないですし気づいてもいません。
オンラインシステム上は自動操縦システムを使うという選択肢を選べば資料を省略できるので、皆さんそれを知らずにやっているのです。
楽だから…だけの理由です。
何かあった時に100%追及されるところなのにです。
これまで事故がたまたまなかっただけのことに過ぎません。
因みにCのDID地区等飛行の条件としてある注意1として「プロペラガードを装備した場合に限って省略できる」ということになっています。
ということはプロペラガードを装備していない場合はこの資料の省略ができないということになります。
こちらも実際は付けていなくても付けていることにして、資料の省略を受けることができます。
これもEと同様にあってはならない当座しのぎの抜け道です。
区分FとGで省略できる資料
次に F の危険物の輸送。それにGの物件投下の基準。
これらFやGが付記されているのはほとんど農薬散布の機体です。
具体的には機種 mg 1と呼ばれている農薬散布用途の機体には F とGが付いています。
Fは「機体について危険物の輸送に適した装備が備えられていること」を、Gは「機体について不用意に物件を投下する機構ではないこと」を証明する写真や設計図等の提出が省略されます。
ホームページ掲載リストには、省略できる資料とは何なのかについて以下が記されており次の三つとなっています。
・機体及び操縦装置の設計図又は写真(多方面)
・運用限界及び飛行させる方法が記載された取扱説明書の写し
・追加装備を記載した資料(第三者上空の飛行を除く)
「安定した飛行と非常時に人等に与える危害を最小限とするための 国が定めた要件(第三者の上空で飛行させる場合を除く。)に適合……」した機体という趣旨も記載されていますが、具体的に資料省略できるものは機体、操縦装置、プロボの設計図または写真。
設計図…とありますが、資料省略できずに申請する場合はその写真を添付することになります。
スクールの技能認証も一部省略可……しかし
次の「運用限界および飛行させる方法が記載された説明書の写し」とはスペック資料を出せば大丈夫です。
「追加装備を記載した資料」については、カメラなどによっては何パターンか切り替えられたりできる機体がありますが、そういったものを何に使うのかということを本来は全パターンの資料を提出しないとならないのですが、リストに掲載された機体の対応カメラやアプリについてはその資料は不要ということになります。
以上のように、この機体リストは許可申請するときに結構大事な資料データになります。
適時更新されていき毎年何回か新たな資料不要リストが増えていくことになるので、ドローンの機体そのものについては申請が徐々に簡単になっていきます。
一方、もう一つの方のドローンスクールで取得できる「技能認証」については資料省略は進み難いのではないかと思われます。
むしろ逆に手間がかかっていくのではないでしょうか。
何故ならオンラインシステムの仕様があまり良くないという事情があるからです。
国交省のホームページに掲載されているドローンスクールを受講すれば、操縦に必要な10時間以上の操縦経験とドローンの許可申請に必要な基礎知識や法律の知識などが総合的に学べます。
そして卒業する際に配られる証状やカードを根拠に、飛行許可申請に際して操縦者に関する資料を一部省略することができることになっています。
ただ、自分が卒業したドローンスクールを画面から選択したり資料を添付したりする時間が非常にかかります。
現在のシステムではスクール検索機能がないため全てのスクール約1300校がタブで流れている中から自分の卒業校を選択しなければならないからです。
このような状態であれば、むしろ技能認証は横において、許可申請した方が手間はかからないでしょう。
検索システムが装備されこの点が改善されると利用されるようになるのでしょうが、今のところは改善のめどは立っていません。
国交省のホームページ掲載されているドローンスクールは令和4年3月時点で1265団体あります。
自動車学校も1200校前後ありますのでそれと同じくらいの団体があるということです。
車と違ってドローンは圧倒的に数が少ないのですが、こんなにも団体がある状況になっています。
特に若者の車離れや少子化という逆風にさらされている自動車学校にとってはドローンにかける期待は大きなものがあるのでしょう。
そのせいかドローンスクールの中には経営の不安定なままで始めていたり、教習の中身の伴っていない実体のない先も多くあるようです。
逆に国交省のリストには掲載されていないスクールでも質の高い優れた先はあります。
スクールの選定はくれぐれも気を付けてください。
以上、許可申請における資料の省略に関しては、リスト掲載の機体の方がとても重要なのでしっかり理解してください。
ドローン飛行の基本【国土交通省:無人航空機の飛行許可・承認手続き】
行政書士矢野法務事務所は東京都八王子の事務所です。北海道の案件も九州の申請もお受けしている全国型の事務所です。
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