ドローンを海で飛ばす際の規制と場所で変わる飛行許可手続き

港湾法・港則法・海上交通安全法・海岸法

海でドローンを飛ばしたい方への解説です。そもそも海でドローンを飛ばしてはいけないという法律は存在しません。

しかし、ドローンを飛行させる空域にある施設の管理者の許可や届け出が必要な場合があります。

ドローンを海上で飛ばしてはいけないという法律はありませんが、ドローンに関係する海の規制として頭において頂きたいのは

四つの法律です。

海上で行われる様々な行為は、主にこの四つの法律で規制され海の安全や環境が守られています。

そしてこれらは場所によって役割の範囲が決められ、管理者も変わってきます。それぞれに確認していきましょう。

飛行場所で変わる法律

ドローンの飛行場所によって、適用される法律が次のように異なってきます。

適用される法律

1.港における飛行→港則法

2.東京湾・伊勢湾・瀬戸内海における飛行→海上交通安全法

3.港湾区域および港湾施設における飛行→港湾法

4.公共海岸における飛行→海岸法

参考:河川での飛行→河川法

許可の要不要の一応の目安

上で紹介したそれぞれ法律に基づいて許可の要不要を解説して行きますが、具体的なイメージがなかなか掴みにくいと思います。

その前の結論(まとめ)として、「神戸海上保安部」が出している案内をご紹介します。

全体を通し、一応の目安となると思います。

許可又は届出を要する場合があるもの
ドローン飛行のために海上に作業船を配置したり又は海上に工作物等を設置する場合は許可又は届出が必要
・ドローンの操縦や離発着等のため、操縦者が乗船する船舶等が他の船舶を避けることができないもの
・撮影対象となる船が撮影等のために他の船舶を避けることができないもの
・競技や曲技等の飛行に必要な工作物(パイロン等)を設置するもの
・ドローンの飛行イベントを開催し、観覧船の混雑が見込まれるもの    など
許可又は届出を要しないもの
(1)陸上からドローンを飛行させる場合(ドローンの飛行のみ)
・港湾施設、海域、船舶、海上に存在する物件等の状況を撮影するもの
・海上において、橋梁、荷役施設等の点検、測量等を行うもの
・荷物の配送のため、単に海上を通過するもの
(2)船舶を使用する場合(船舶で離発着する)
・ドローンの操縦や離発着などのため、ドローンを操縦する者が乗船する船舶が他船を避けることができ、船舶交通に
影響を及ぼすおそれがないもの。
・船舶を撮影する場合であって、撮影対象の船舶が他船を避けることができ船舶交通に影響を及ぼす恐れがないもの。

国交省ガイドラインの抜粋
2.5 港則法及び海上交通安全法
港則法が適用される港又は海上交通安全法が適用される海域の上空においてドローンを飛行させる場合、港則法又は海上交通安全法
に基づく許可又は届出は特段必要ない。
ただし、ドローンの飛行に関連して、海上に作業船の配置や工作物を設置するなど、船舶交通に影響を及ぼすおそれがある場合は、
港則法又は海上交通安全法の許可又は届出を要することがある。

適用港における飛行

「港」の法律といわれるのが「港測法」です。

港内にはたくさんの船が行き来しています。

船同士が衝突しないよう、その安全を確保するために定められた法が港則法です。

港内で船が自由勝手に停泊したりすると港の秩序が乱れるため、港内の交通整理を図るために港の使用方法等を規定しています。

この法律が適用される港は政令で指定される全国500の港になり、これらを「適用港」と呼んでいます。

適用港とは港則法という法律が「適用」される港のことです。日本のほとんどの港がこれに該当します。

都道府県別の適用港はこちらを参照

作業・工事・行事は許可が必要

この港則法では「船舶交通の安全に支障を及ぼす行為を行ってはならない」と定めています。

また、港内やその周辺で「工事または作業をしようとする者は、港長または海上保安監部・海上保安本部の許可を受ける必要があるとされています。(港則法31条1項)

従って、これらの適用港でドローンを飛ばす場合、飛行自体が規制される条文はないものの「工事と作業」に該当するような飛行を行う場合は飛行許可が必要となります。

少し難しくなりますが、「工事」とは行為の行われた場所において将来的に施設が存在するなどして、その痕跡を残すもの。

「作業」というのは痕跡を残さないもの、として区別されています。

そして港則法ではもうひとつ「行事」についても規制しています。

「行事」とは、祭礼・パレード・海上訓練・水上カーニパル・花火大会・遠泳大会・海上デモ等、多数の者が参加して行われる社会的な活動をいいます。

この行事規制は港則法32条でうたわれており、対象となる港が「特定港」といわれる大型の港の場合は「端艇競争その他の行事をしようとする者は予め港長の許可を受ける必要がある」というものです。

特定港とは大型の船舶が出入できる港又は外国船舶が常時出入する港を言います。

特定港

〇北海道
稚内港・根室港・釧路港・留萌港・石狩湾新港・小樽港・苫小牧港・室蘭港・函館港

〇東北
青森港・むつ小川原港・八戸港・秋田船川港・秋田港・船川港・釜石港・仙台塩釜港・酒田港・相馬港・小名浜港・

〇関東
日立港・鹿島港・木更津港・千葉港・京浜港・東京港・川崎港・横浜港・横須賀港

〇中部
新潟港・両津港・直江津港・伏木富山港・七尾港・金沢港・福井港・敦賀港・田子の浦港・清水港・三河港・衣浦港・名古屋港・四日市港

〇近畿
舞鶴港・宮津港・阪神港・大阪港・堺泉北港・尼崎西宮芦屋港・神戸港・阪南港・泉州港・和歌山下津港・田辺港・東播磨港・姫路港 

〇中国
宇野港・水島港・福山港・尾道糸崎港・呉港・広島港・岩国港・柳井港・徳山下松港・三田尻中関港・宇部港・関門港(下関港)・境港・浜田港・萩港

〇四国
小松島港・高松港・坂出港・三島川之江港・新居浜港・今治港・松山港・高知港・ 

〇九州・沖縄
関門港(北九州港)・博多港・唐津港・伊万里港・佐世保港・長崎港・厳原港・三池港・三角港・大分港・細島港・鹿児島港・喜入港・名瀬港・那覇港・金武中城

1か月前に港長へ許可申請を

ドローンの飛行が「行事や作業」に該当し、行事船舶の安全航行に交通に支障を来たす場合には、港湾の管理者である港長への許可申請を行います。

港長はドローン飛行の安全対策も含めて審査の上で一か月以内に判断することになっています。

審査に1か月をかけるということですので、国土交通省への飛行許可申請の場合と同様にドローン飛行前一か月以上の余裕をもって申請してください。

東京湾・伊勢湾・瀬戸内海の飛行

東京湾、伊勢湾及び瀬戸内海のうち、ある特定の海域に適用される法律が海上交通安全法です。

「この法律は、東京湾、伊勢湾(伊勢湾の湾口に接する海域及び三河湾のうち伊勢湾に接する海域を含む)及び瀬戸内海のうち、次の各号に掲げる海域以外の海域に適用するものとし、これらの海域と他の海域(次の各号に掲げる海域を除く)との境界は、政令で定める」と定められています。

海上交通安全法とは読んで字の通りの法律で、船舶が頻繁に交通する海域に特別の交通方法を定めて、危険防止の規制を行なうことで船舶交通の安全を図ることを目的とした「海の道路交通法」です。

空に空路空域があるように海にも通らなければならない航路というものが定められておりそのルールをまとめたものと言えます。

なお、港則法とこの海上交通安全法とでは同じ港でも規制する海域が違うことに注意しましょう。

航行安全に支障あるなら届け出

この法律の中にドローンの飛行自体を規制する条文はありませんが、押さえておかなければならない点があります。

それは「工事または作業をしようとする者は、その行為が航行の安全に支障を及ぼすおそれのある場合は当該行為をする旨を海上保安庁長官に届け出る必要がある」という定めです。

先に述べた港則法と同じです。

【海上交通安全法第四十条】
次の各号のいずれかに該当する者は、当該各号に掲げる行為について海上保安庁長官の許可を受けなければならない。
一 航路又はその周辺の政令で定める海域において工事又は作業をしようとする者
二 前号に掲げる海域(港湾区域と重複している海域を除く。)において工作物の設置(現に存する工作物の規模、形状又は位置の変更を含む。以下同じ。)をしようとする者

【海上交通安全法第四十一条】
次の各号のいずれかに該当する者は、あらかじめ、当該各号に掲げる行為をする旨を海上保安庁長官に届け出なければならない。
ただし、通常の管理行為、軽易な行為その他の行為で国土交通省令で定めるものについては、この限りでない。
一 前条第一項第一号に掲げる海域以外の海域において工事又は作業をしようとする者
二 前号に掲げる海域(港湾区域と重複している海域を除く。)において工作物の設置をしようとする者

海上保安長官への届け出

もしもドローンの飛行が航行の安全に支障を及ぼすような場合は、この「作業」に該当することになります。

従ってその場合は「海上保安庁長官」に届け出を出さなければなりません。

これらの港や海域はドローンの空撮には魅力的な空域ですから機会も増えてくると思われます。

この「海の道路交通法」については頭にいれておいてください。

港湾区域・港湾施設における飛行

港の管理が目的の港湾法

港の法律のもう一つが「港湾法」です。

前述の港則法が船舶の航行の安全確保を目的としているのに対して、港湾法は港湾の区域と港湾施設の管理を目的としています。

この法律の目的は「港湾の秩序ある整備と適正な運営を図るとともに、航路を開発し、および保全すること」となっています。

この目的に照らして港湾管理者は「港湾区域及び港務局の管理する港湾施設を良好な状態に維持すること」が務めとなっています。

その為、ドローン飛行においては事前の届け出や許可を必要としています。

港ごとに違う規制や手続き

港湾区域といわれる水域や港湾施設として扱われる場所は港湾ごとに定められており、その管理を行う港湾管理者とは地方自治体ごとに設立された管理団体を指します。

港湾管理者とは地方公共団体又は港務局となっています。

例えば東京港の東京都、横浜港の横浜市、或いは名古屋港の名古屋港管理組合、新居浜港務局(港務局は新居浜港のみ)等々、地方自治体が設立しています。

この地方公共団体がドローンの飛行許可の届け出先となります。

港湾毎の規制内容を定める権利等は国ではなく地方公共団体に委ねられているため、港でのドローン飛行の際の規制の内容や程度等は、個別に確認するしかありません。

規制の範囲の確認や相談先・届出先は飛行する港のある地方自治体に確認するのが早いでしょう。

また、調整や手続が難しい場合は海事の行政手続きを担う海事代理士に相談すると円滑に進めることができて安心です。

 公共海岸における飛行

海岸は自由に使用できますが、海岸管理者による管理行為を受ける場合があります。

特に人の多い海水浴場でのドローン飛行は海水浴場の管理者の管理行為による制約を受けます。

根拠となる法律は「海岸法」です。

公共海岸は知事が決める

海岸法では「公共海岸」について次のように定義しています。

【海岸法第二条第二項】
国又は地方公共団体が所有する公共の用に供されている海岸の土地(他の法令の規定により施設の管理を行う者がその権原に基づき管理する土地として主務省令で定めるものを除き、地方公共団体が所有する公共の用に供されている海岸の土地にあっては、都道府県知事が主務省令で定めるところにより指定し、公示した土地に限る。)及びこれと一体として管理を行う必要があるものとして都道府県知事が指定し、公示した低潮線までの水面

 

同時に、その管理にあっても都道府県知事が行うものと定められています。

つまり地方自治体ごとに公共海岸の範囲が指定されており、その管理規定についてもそれぞれに決められているということです。

必要となる手続き

各自治体によって規制が異なることから、各自治体に海岸管理者への手続きを確認してください。

千葉県などは海岸での撮影行為にあたっては「海岸使用申出書」の提出を義務付けています。

海岸での撮影等一時使用に関する手続について

河川管理

参考までに河川におけるドローン規制も見ておきましょう。

河川の管理について定めた河川法ではドローンの飛行を明確に制限した規定は設けられていません。

但し、ドローンの飛行が他の河川利用者の安全・快適な利用を妨げる「適正でない利用」として行われた場合には、河川管理者によりドローン飛行の自粛等を求められることがあります。

一部の河川においては、ドローンの飛行を禁止する例も見られる一方で、河川管理者へ事前に一時使用届を提出させた上で飛行を認める例もある等、河川管理におけるドローンに関する規定は様々です。

各地の河川管理の事例

荒川
ドローンの飛行は、利用目的について公共性が高く、飛行エリアの安全を確保できるなどの要件を充たした場合にのみ例外的に飛行させるという厳しい規制をしており、ドローン飛行を危険行為と位置づけ原則として飛行できません

天竜川
事前の使用届け出を求める管理をしています。なお、浜松市が災害時や緊急時に天竜川の上空でのドローンは事後の届け出も良いことになっています。

淀川
民有地と自治体等管理の河川公園を除いた部分においては、ドローン飛行を危険・迷惑行為として原則禁止としています。

 

 

行政書士矢野法務事務所は東京都八王子の事務所です。北海道の案件も九州の申請もお受けしている全国型の事務所です。
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