
航空局標準マニュアル01・02の違い|矢野事務所
ドローンの飛行許可・承認申請で使われる航空局標準マニュアルには、01・02などがあります。
大きな違いは、標準マニュアル01が場所を特定した飛行、標準マニュアル02が包括申請で利用する標準的・定型的な飛行を前提としていることです。
そのため、「包括申請なら標準マニュアル02を使えばよい」と考えられることがあります。
しかし実務では、包括申請を取得していても、マニュアル02の条件だけでは成立しない飛行があります。
本記事では、まず航空局標準マニュアル01・02の違いを整理し、そのうえで、実際の飛行ではどのようにマニュアルを考える必要があるのかを説明します。
このページで分かること
結論|01と02は「運航責任」が違う
標準マニュアル01と02は、単なる種類の違いではありません。
- マニュアル01: 場所を特定した飛行用
- マニュアル02: 包括申請で利用する標準的・定型的運航用
つまり違うのは、「申請形式」だけではありません。
どこまで現地条件を個別説明しなければならないか。
どこまで標準条件で処理できるか。
誰が現地成立性を説明するのか。
ここが大きく変わります。
実務では、包括で出していても、02では成立しない案件が存在します。
02は“標準条件維持型”の運航
マニュアル02は、包括申請で利用される標準マニュアルです。
主に、DID、夜間、目視外、30m未満など、反復継続する日常運航を前提にしています。
つまり02は、一定の標準条件を維持できることを前提に成立しています。
- 第三者状態を維持できる
- 補助者機能が成立している
- 飛行範囲が明確
- 停止条件が整理されている
- 現地条件が大きく変動しない
このような前提が崩れると、02だけでは成立しなくなります。
つまり02は、「包括だから自由」という思想ではありません。
標準条件を維持できる案件を、標準化して処理する思想です。
01は“場所特定・現地説明型”の運航
一方、マニュアル01は、場所を特定した飛行を前提としています。
空港周辺。
150m以上。
催し上空。
鉄道。
特殊空域。
大規模イベント。
このような案件では、現地条件そのものを個別に説明しなければなりません。
つまり01では、
- 第三者管理
- 立入管理
- 飛行経路
- 調整主体
- 中止基準
- 緊急時対応
- 現地連絡体制
まで含めて、運航成立性を個別に説明する必要があります。
01は、「場所を特定して飛ばす」というより、現地条件を説明し続ける運航です。
現在の国交省は“運航類型別”へ移行している
現在の国交省標準マニュアルは、単純な「01・02」だけではありません。
実際には、
- インフラ点検
- 空中散布
- 研究開発
- 補助者なし目視外
など、運航内容ごとに安全設計そのものが分岐しています。
つまり現在は、「どの申請を使うか」ではなく、「どの運航リスクをどう閉じるか」が中心になっています。
例えば研究開発用マニュアルでは、
- 空域監視
- ジオフェンス
- フェールセーフ
- 緊急着陸場所
- 第三者立入管理区画
- 有人機団体との事前調整
まで要求されています。
つまり現在の実務は、「許可を取る」より、「なぜその運航が成立すると説明できるか」へ移行しています。
実務では「どちらで出すか」より「どちらで成立するか」
実務では、マニュアル選定そのものが目的ではありません。
重要なのは、その案件がどの運航構造で成立するかです。
- 同じ場所・同じ条件で反復する → 02側
- 現地条件依存が強い → 01側
- 第三者管理が不安定 → 個別設計寄り
- 鉄道・イベント・空港調整 → 01側
- 特殊安全設計が必要 → 専用マニュアル寄り
つまり、「包括で通す」ではなく、「どの安全構造で閉じるか」が本体です。
包括申請の限界については、包括申請でも成立しない飛行とは|矢野事務所でも整理しています。
マニュアルだけでは現地成立性は完成しない
マニュアルを理解していても、その案件がそのまま成立するとは限りません。
実務では、次のような理由で止まることがあります。
- 第三者排除が成立していない
- 飛行範囲が曖昧
- 補助者機能が不足している
- 中止基準が未整理
- 施設管理者調整が未了
- 現地条件変化を織り込めていない
つまり、マニュアルは「提出書類」ではありません。
現地条件を維持できる前提で運航を組み立てるための、安全設計文書です。https://drone-nippon.jp/third-party-related-persons-stop/
第三者整理については、第三者と関係者の整理で運航は決まる|矢野事務所でも整理しています。
最後は運航管理へ戻る
標準マニュアル01・02は、単なる申請区分ではありません。
どの運航を、どの条件で、どう成立させるかを整理するためのものです。
誰が見るのか。
誰が止めるのか。
どの状態を維持するのか。
どの条件で中止するのか。
なぜその運航が成立すると言えるのか。
現在の標準マニュアル体系は、ここへ向かっています。
つまり今の実務は、「許可取得」より、「運航リスクをどう閉じるか」へ移行しています。
この考え方は、ドローンは操縦でなく運航管理|矢野事務所でも整理しています。
まとめ|標準マニュアルは“運航設計思想”を読むもの
標準マニュアル01と02は、単なる申請形式の違いではありません。
- 01=場所特定・個別説明型
- 02=包括・標準条件維持型
さらに現在は、インフラ点検、研究開発、補助者なし目視外など、運航類型ごとに安全設計が分岐しています。
つまり国交省実務は、「許可を出す」より、「どの運航リスクをどう閉じるか」へ移行しています。
重要なのは、「どのマニュアルを使うか」ではありません。
その運航が、なぜ成立すると説明できるかです。
◆ドローン運航は『事後説明』を前提に設計する◆
法人案件では「飛ばせるか」だけでは進まないことがあります
ドローン運航は、許可が取れるかだけでなく、現場で最後まで成立するかで判断する必要があります。
- 第三者管理は維持できますか?
- 監視体制は機能しますか?
- 中止判断は定義されていますか?
- 発注者・関係者への説明は通りますか?
これらが整理されていない案件は、許可があっても現場で止まる方向に傾きます。
※飛行許可申請のみのご相談にも対応しています
