分かれ目は標準マニュアル
ドローンの飛行許可承認申請は、DIPSというシステムを使い、設問に回答入力する方法で申請書を仕上げ申請します。
最も多い「包括申請」もこのシステムを使って行い、同時に申請の必須条件である「飛行マニュアル」を提出します。
実はここが、同じ包括申請でも違反になるケースとならないケースとの分かれ目になるのです。
この落とし穴にはまってはいけません。
このページで分かること
違反になるケース
標準マニュアルの危ない箇所
DIPS申請時に標準マニュアルを使って申請した人が、実際にドローンを飛ばす際に違反を犯しているケースは山ほどあります。
なぜなら、単純に「標準マニュアルの内容を守って飛ばしていない」からです。
そう聞くと不思議に思われるかも知れませんが、多くの方が飛行マニュアルの内容を守らずに違反飛行をしているのが実態です。
それでは、違反飛行になるケースとはどのようなものがあるのでしょうか。
以下に、殆んどの方が選んでいる「標準マニュアル」の中から危ない箇所をピックアップしましたので、セルフチェックしてみてください。
〇風速5m
5m以上の時は飛行を中止しなければいけません。
→そうしてますか? また、現実的にそうできますか?
〇第三者の往来が多い場所や学校、病院等の不特定多数の人が集まる場所の上空
→飛行してはいけません。・・・やってしまってませんか?
〇人又は物件との距離が30m以上確保できる場所で「離発着」させる
→できますか? そんな広い場所がありますか?
〇人又は家屋が密集している地域の上空での夜間飛行
→これはやってはいけません。・・・やってしまったことがあるのでは?
〇夜間の目視外飛行
→「行わない」と明記されています。
いかがですか? 守れていますか?
夜間飛行の厳しい条件
更に、例えば飛行許可を得た上で行う「夜間飛行」の場合でも以下の条件がついています。
〇夜間においては目視外飛行は実施せず
〇機体の向きを視認できる灯火が装備された機体を使用
〇機体の灯火が容易に認識できる範囲内での飛行に限定する。
〇飛行高度と同じ距離の半径の範囲内に第三者が存在しない状況でのみ飛行を実施する。
〇操縦者は夜間飛行の訓練を修了した者に限る。
〇補助者についても飛行させている無人航空機の特性を十分理解させておくこと。
〇夜間の離発着場所において車のヘッドライトや撮影用照明機材等で機体離発着場所に十分な証明を確保する。
このように厳しい制限の下で、夜間飛行の許可は出ているのです。
軽視されてきたマニュアル
どうでしょうか?
守れていますか? 或いは上記を知っていましたか?
このマニュアルを守っているかどうかが、違反になるかどうかの分かれ目と言えます。
落とし穴はここ
申請にあたっては、ほとんどの申請者が航空局が作成した標準マニュアルに飛びつきます。
内容も吟味せずにこの標準マニュルを提出します。
何故ならば、楽だからです。
「標準マニュアルを使用する」という選択をDIPSの画面上で選べば、そのまま何のストレスもなく申請作業が進んでいくからです。
ここが「落とし穴」なのです。
単なる通過儀礼として選んだ標準マニュアルを「ただ選んだだけのこと」として済ませてしまい、あろうことか一度も眼を通さずに飛行に臨む方が大勢いるのです。
ところがそれは、上の「標準マニュアルの危ない箇所」で説明したように、とてつもなく大きなリスクをはらんでいるのです。
飛行マニュアルには「私はこのようなやり方を守ってドローンを飛ばします」といういわば「誓いの書」です。
国と操縦者との契約といっても良いでしょう。
にもかかわらず・・・。
マニュアルは許可のシンボル
繰り返しますが、自分の飛行ルールについての申告書である飛行マニュアルは「ここに書かれた飛行ルールでドローンを飛ばします」という約束の書であり、許可申請においては重要な位置づけのものです。
ところが、前述したように通過儀礼で終わってしまっていて、取扱説明書のような「マニュアル」というネーミングが悪かったとさえ思うくらい、軽んじられているのです。
そうなれば、飛行者の中に一度も見たことがないという方もいてもおかしくはありません。
それだけ軽視されてきたのです。
当事務所が代行する包括申請は、ここを最も注視しており、お客様が間違っても法律違反となる飛行をやってしまわぬよう、細心の注意を払って、提出すべき飛行マニュアルの内容を入念に吟味検討します。
飛行マニュアルは「ドローン飛行許可承認申請制度」におけるシンボル的な存在なのです。
違反となる分かれ目を重視
これから発展していかなければならないドローン業界が、このあり様です。
コンプライアンス意識の低さに危機感を持つ、当事務所では
一段高い視野で包括申請と向かい合い、入念な飛行形態のヒアリングを行っています。
❶どのような飛ばし方をするのか(どこで、何時ころ、どんなスキルをもった方が)
❷このような飛ばし方をする可能性は少しでもあるか
❸標準飛行マニュルの記載事項について本当に守れるのか、自信がないか
❹その飛ばし方に適合する機体装備がなされているのか
❺その他、事故が起こった際に1点の曇りもない言えるくらいの準備ができるか
これらが、違反の分かれ目だからです。
国交省が出した教則
2,022年7月、国交省からのパブリックコメントでは、驚くべき教則(安全運航の手引書)が出されました。
内容については別記事でアップしていますので下からご確認ください。
今後、ドローンの飛行違反に対する当局の眼の光り具合が想像できる内容です。
ドローン飛行の基本【国土交通省:無人航空機の飛行許可・承認手続き】
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