レベル3.5飛行が登場した理由:ドローンの矢野事務所

レベル3.5飛行が登場した理由

 

新しく登場した飛行レベル「3.5」。

3でも4でもない中間値の飛行レベルが今頃なぜ登場したのか。

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河野デジタル大臣コメント

目視外飛行での事業化を進めたい

レベル3.5飛行が登場した理由を理解する上で象徴的な大臣発言があります。

2023年のとある会議で河野デジタル相が次のように語りました。

この10年、全国のスーパーの店舗数は2割も減少している。

高齢者の4人に1人が買物アクセスが困難な買物弱者と推計され、全国の自治体の実に87%がこの問題の対策を求めている。

ドローンの技術は買物弱者を助けるという意味でも非常に大きなイノベーションになり得る。

先月米国では、 1時間内に医薬品を配送するサービスが始まった。

本来なら高齢化が進み人口が急速に減っている日本でこそ最初に始め世界に広げなければならない。

しかし遅れをとった。

非常に残念なことで我々は深刻に受け止めなければならない。

ドローンは物資を運ぶだけでなくインフラの点検や災害時の対応だったりと活用の裾野の広い技術。

実証実験ばかりが繰り返されているが、もうドローンを事業として活用していく時期。

課題の「目視外飛行での事業化」を進めたい。

安全性の確保は大前提ではあるが、リスクゼロ信仰からは一線を画して国民目線で進めて欲しい。

第2回デジタル行財政改革会議 

このように、ドローンによる配送事業は今の日本が抱える問題の解決に直結しており、このドローン配送の事業化はドローンが担う分野の中でも本丸だと言えます。

キーファクターは目視外飛行

そして大臣は「目視外飛行の事業化が必要」と具体的な課題に言及しました。

飛行方法の一つである「目視外飛行」を配送ドローンのキーファクターと大臣自ら示し、この課題を解決しない限りドローン配送事業は始まらないという危機感を表明しました。

関係者へ檄を飛ばしていることが分かります。

この「目視外飛行」は機体を目視せずモニターで遠隔操縦をする技術で、物資を遠隔地に配送する機体を肉眼で追うことが不可能なドローン配送事業には不可欠な操縦方法となります。

しかしこれまで、この目視外飛行で配送ドローンを飛ばすには大きな壁が立ちはだかっていました。

立入管理措置という壁

レベル3における目視外の制約

これまでドローン配送には「レベル3飛行」という飛行ルールが用意されていました。

レベル3飛行の概要

〇人(住民や歩行者)がいない無人地帯を自身の見えない範囲まで(目視外)自動飛行させる形態。

無人地帯:山、海水域、河川、森林、離島等

〇補助者の配置が必須のドローンにおいて「補助者なし」の飛行が可能。

但しその代わりとなる立入管理措置を行う義務あり

〇荷物の配送を始め河川測量や大規模なインフラ点検、被災状況の調査等を目的とした飛行が該当。

このレベル3飛行を「目視外飛行」を中心に置いて整理すると、目視外が許される条件・義務は次のようなものです。

①飛行経路が無人地帯であること

②人の侵入に備えて立入管理措置を行うこと

③道路や線路の横断時には一時停止すること

これらは危険防止のために設けられた規制です。

しかし、さて「事業化」を図ろうとした時にこのような義務の下で配送ドローンが成り立ち得るでしょうか。

山間部等の過疎地での配送飛行なので「①無人地帯」は当然の環境ですが、②と③については数キロにわたる飛行経路の中でフェンスを立てたり注意看板を設置したり、人も車もいない道路の横断時に毎回一時停止行うことなど非常に困難です。

だからといって②や③の代わりに「補助者」を配置することなど「事業」を考えると採算的にも人手確保の面でも成り立ち得ません。

このように「立入管理措置・一時飛行停止」という大きな壁をかかえているのがレベル3なのです。

つまり、レベル3のままで目視外飛行でのドローン配送を行うには無理があるのです。

リスクゼロ信仰から一線画した

そこで政府は今般この大きな足かせを外しました。

レベル3にある「立入管理措置の義務」を撤廃したのです。

それが「レベル3.5」です。

①飛行経路下の安全管理措置義務の撤廃

②道路・線路での一時停止不要

これらはまさに大臣のセリフにある「リスクゼロ信仰から一線を画した」英断だったかも知れません。

レベル3.5の中身

3.5でできること

この「立入管理措置」を撤廃した3.5は、次のような条件が付けられました。

• 操縦ライセンスの保有
• 保険への加入
• 機上カメラによる歩行者等の有無の確認

技能証明・保険・歩行者有無の監視カメラ確認。

これらの条件が揃えば、中山間部で経路下に道路、鉄道、家屋等が含まれていた場合でも、補助者・看板・一時停止等の【立入管理措置無しの目視外飛行】が可能となりました。

レベル3では「第三者立入の可能性が排除出来ない場合」は、立入管理措置が求めれらていましたが、3.5ではこの場合でも飛ばせるようになります。

この点は大きな前進です。

3.5の概要はこちらからどうぞ。

国土交通省:レベル3.5飛行について

夜間飛行も可能

3.5を活用すれば夜間でも有人地帯の飛行は可と航空局は会議でコメントしています。

カメラ監視で人がいない事を確認して飛ばすのは昼夜同じという見解です。

但し有人地帯といっても当然DID等ではなく人の在住が少なく無人地帯に準じるようなエリアとなるのでしょう。

無人地帯か有人地帯か

3.5の肝は「完全な無人地帯でなく有人地帯でも人を避ければ飛ばせる」という点です。

ただ、無人地帯と有人地帯の境界がまだ判然としていいません。

レベル4と3.5。

どちらも有人地帯を飛ばせますが有人という言葉で両者を混同してしまいます。

第三者の上空を飛ばすのが4で3.5は第三者のいない上空。

3.5の有人地帯は人の少ない中山間部を想定しており、ラストワンマイル対策としてドローン物流を早く社会実装したいという明確な狙いがあるようです。

2023年12月施行「審査要領」

わずか2週間のパブコメ

2023年12月末の施行にあたってはパブリックコメント(パブコメ)が行われました。

パブリックコメントとは、規則や命令などを制定しようとするときに、広く意見・情報・改善案などを求める手続きです。

パブコメは通常は1か月以上の期間をかけて行われるものですが、3.5のパブコメ期間は僅か2週間でした。

30日未満の場合はその理由を開示する義務があるのですが、サイトには「年内に施策を実現するため関連通達を急ぎ改正施行する必要があるため」とありました。

お尻に火がついた本気度が感じられます。

第1回デジタル行財政改革会議で岸田総理が指示した「ドローンの事業化を加速して下さい」との鶴の一声の威力でしょうか。

2023年12月施行「審査要領」

こちらがレベル3.5が追加された審査要領ですが、23ページの「5-4」からの目視外飛行に関する記述の中で確認できます。

無人航空機の飛行に関する許可・承認の審査要領(カテゴリーⅡ飛行)

レベル2も3も含まれているカテゴリ―Ⅱの審査要領ですので文言が多すぎて読みづらい内容です。

以下が「3.5」だけを整理した記事ですので、そちらを確認して頂ければと思います。

何が許されて、何が許されないのか。。。という視点で整理した記事がこちらです。

レベル1~4のおさらい

こちらの記事をご確認ください。

ドローンレベル1・2・3・4とは?

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【番外】場所別の規制と手続き

飛ばせる場所と規制【県別】

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