組み合わせ飛行は許可の足し算では成立しない|矢野事務所

組み合わせ飛行は許可の足し算では成立しない|矢野事務所

 

矢野行政書士
夜間飛行と目視外飛行を、それぞれ許可されていても、そのまま同時に成立するとは限りません。

 

操縦のプロ
包括申請で夜間飛行も目視外飛行も許可されています。だから普通に飛ばしていました。

矢野行政書士
そこが実務上よく誤解されるポイントです。許可項目を持っていることと、その組み合わせ飛行が成立することは別です。

この場所で事故にならずに運航できるかは、条件によって変わります。

飛行条件を確認する

包括申請は「組み合わせ成立」を保証しない

ドローン実務では、「夜間飛行の許可がある」「目視外飛行の許可がある」という状態だけで安心してしまうケースがあります。

しかし、ここには大きな落とし穴があります。

重要なのは、個別の許可項目を持っているかではありません。

その条件を同時に行ったときに、運航として成立するかです。

例えば、夜間飛行では視認性が低下します。

一方、目視外飛行では操縦者が直接機体を確認できません。

つまり、この二つが重なると、「視認性低下」と「直接確認不能」が同時発生します。

さらにDID上空飛行が重なれば、第三者や物件への影響管理も重くなります。

つまり、個別許可を単純に足し算しても、運航成立とは限らないのです。

標準マニュアルが前提としている構造

現在の航空局標準マニュアル②でも、夜間飛行では「目視外飛行を実施しない」ことが基本構造として整理されています。

また、人又は家屋が密集している地域の上空では、夜間飛行を行わないという整理も残っています。

つまり、標準マニュアルは「夜間×目視外×DID」を標準構造として想定しているわけではありません。

ここを誤解すると、「許可項目を持っているから自由に組み合わせてよい」と考えてしまいます。

しかし実際には、組み合わせた瞬間に、追加の安全設計が必要になります。

問題は「法律違反」より運航成立

実務では、「違法か適法か」だけで話を終わらせると危険です。

重要なのは、その運航条件で本当に安全を維持できるかです。

夜間。

目視外。

DID。

これらが重なると、必要になるのは単なる許可ではありません。

補助者配置、第三者管理、飛行経路、立入管理措置、中止条件、灯火視認、緊急着陸場所などを、一つの構造として整理する必要があります。

つまり、「飛ばせるか」ではなく、「その状態を維持できるか」が問題になります。

組み合わせ飛行で増える説明責任

夜間飛行だけなら成立しても、そこへ目視外が加われば、必要な説明は変わります。

さらにDIDが加われば、第三者管理や落下時影響評価も重くなります。

つまり組み合わせ飛行では、条件を追加するたびに説明責任も増えます。

なぜその飛行経路なのか。

なぜ第三者状態を維持できるのか。

なぜ夜間でも視認性が確保できるのか。

なぜ目視外でも安全と言えるのか。

どの状態なら中止するのか。

これらを説明できなければ、包括申請を持っていても実務上は弱い運航になります。

独自マニュアルと個別申請が必要になる理由

実務では、標準マニュアルでは整理しきれない飛行があります。

特に、夜間・目視外・DID・イベント・第三者上空などが重なる場合です。

この場合、単純な包括申請ではなく、個別申請や独自マニュアルによって、追加の安全設計を整理する必要があります。

例えば、補助者配置。

立入管理措置。

第三者状態維持。

飛行経路の限定。

緊急着陸地点。

中止条件。

これらを「実際にどう成立させるのか」まで整理しなければ、運航として説明しきれません。

組み合わせ飛行は判断設計で決まる

ドローン実務では、「許可項目を持っているか」が主役ではありません。

重要なのは、その条件を組み合わせたときに、現場で安全を維持できるかです。

夜間。

目視外。

DID。

これらを重ねるほど、必要になるのは操縦技術だけではありません。

運航管理と判断設計です。

どこを飛ばすのか。

誰が第三者管理をするのか。

視認性をどう確保するのか。

どの状態なら中止するのか。

つまり、組み合わせ飛行は「許可の足し算」で成立するのではありません。

複数条件を一つの運航構造として成立させる必要があります。

この点は、目視外飛行の成立条件と判断整理|矢野事務所でも整理しているように、単なる許可取得ではなく、現場で状態維持できるかが本体になります。

ドローンは操縦でなく運航管理|矢野事務所でも触れているように、現在の高難度飛行では、操縦そのものより「現場全体を成立させる構造」が重要になります。

包括許可だけで安心しない

包括許可は入口にすぎません。

特に、夜間×目視外×DIDのような組み合わせ飛行では、包括申請の有無だけでは説明できません。

重要なのは、現場条件と運航設計です。

許可項目を持っていることではなく、その条件を重ねても安全状態を維持できるか。

ここまで設計できて初めて、組み合わせ飛行は成立します。

◆ドローン運航は『事後説明』を前提に設計する◆

許可があっても、現場で止まる案件は少なくありません

ドローン運航は「許可が取れるか」ではなく、現場で最後まで成立するかで判断する必要があります。

  • 第三者管理は維持できますか?
  • 監視体制は機能しますか?
  • 中止判断は定義されていますか?
  • 関係者への説明は通りますか?

これらが整理されていない案件は、許可があっても現場で止まります。

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