
補助者なし目視外の区分|矢野事務所
ドローン運航において難易度の高い飛行の一つが「補助者なしの目視外飛行」です。
単に目視外というだけでなく、補助者がいない状態になることで、第三者管理・監視・緊急対応のすべてを運航設計で成立させる必要があります。
ここで重要なのは、「補助者なし目視外」は一つではないという点です。
実務上は大きく2つに分かれます。
- 包括申請で成立するケース(レベル2)
- 個別申請が前提となるケース(レベル3)
この違いを誤ると、運航自体が成立しなくなります。
このページで分かること
補助者なし目視外は2種類ある
① 包括申請で成立するケース(レベル2)
航空局の標準マニュアルでは、目視外飛行において補助者を配置することが基本とされています。
しかし例外として、
第三者の立入を確実に制限できる場合
に限り、補助者の代替として
- フェンス
- コーン
- 看板等
による立入管理区画の設定が認められています。
つまり理屈上は、包括申請(レベル2)でも補助者なし目視外は可能です。
ただしここに決定的な前提があります。
「確実に制限できる」ことが条件です。
ここが実務の分岐点です。
現実的に成立するか
「確実に制限できる」と言い切れる環境は極めて限定されます。
- 完全に閉鎖された施設内
- 四方がフェンスで囲われている
- 関係者以外が物理的に入れない
このレベルでなければ成立しません。
看板やコーンのみで「確実」と判断するのは危険です。
ここを誤ると、
包括のまま違反構造で飛ばすことになります。
② 個別申請が前提となるケース(レベル3)
現実の多くの案件はこちらです。
第三者の立入を完全に排除できない場合でも、条件を満たせば補助者なし目視外飛行は可能です。
これがレベル3飛行です。
ただし、ここからは別の次元の話になります。
レベル3飛行の本質
補助者がいないということは、本来補助者が担っていた機能をすべて代替しなければなりません。
つまり
人を外して構造で成立させるという設計になります。
レベル3の基本要件
代表的な要件は以下です。
- 第三者が存在する可能性が低い経路設定
- 緊急着陸地点の事前確保
- 立入管理区画の設定
- 周知措置(看板・住民説明等)
- 有人機との調整(必要に応じNOTAM等)
最重要:立入管理区画
補助者なし目視外の核心はここです。
補助者がいる場合は、第三者を「見て止める」ことができます。
補助者がいない場合は、
そもそも入らせない設計に変わります。
そのために必要なのが立入管理区画です。
追加対策が必要なケース
以下が含まれる場合は追加設計が必要です。
- 道路 → カメラ監視や一時停止判断
- 鉄道 → 運行時間帯の飛行回避
- 家屋 → 個別説明と同意
つまり
区画を置くだけでは成立しません。
監視機能の代替
補助者の役割は以下です。
- 第三者監視
- 有人機監視
- 機体状態監視
- 気象監視
これらを
機体・地上設備で代替する必要があります。
結論:基本は個別申請
補助者なし目視外飛行は、
包括で成立するケースの方が例外です。
ほとんどの案件は
「飛行経路を特定する必要がある飛行」=個別申請
になります。
包括のままレベル3的な運用をしても成立しません。
※補助者なし目視外飛行は、包括・個別、立入管理、監視体制まで含めて判断が必要です。立入管理区画の考え方は
立入管理区画の設計と判断基準|矢野事務所
に整理しています。
※目視外飛行全体の判断構造は
目視外飛行の成立条件と判断整理|矢野事務所
をご参照ください。
許可があっても、現場で止まる案件は少なくありません
ドローン運航は「許可が取れるか」ではなく、現場で最後まで成立するかで判断する必要があります。
- 第三者管理は維持できますか?
- 監視体制は機能しますか?
- 中止判断は定義されていますか?
- 関係者への説明は通りますか?
これらが整理されていない案件は、許可があっても現場で止まります。
※飛行許可申請のみのご相談にも対応しています
