補助者なし目視外飛行のルール
ドローンの高度な操縦方法の一つに「補助者なしの目視外飛行」があります。
厳しい安全管理措置が求められます。
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22,000円(税込)
独自マニュアル付き
このページで分かること
補助者なし目視外は二種類ある
レベル2(包括申請)
航空局の標準マニュアルには、フェンスやコーン等で第三者を完全に制限するなら補助者を設置しなくても良いとしています。
更に、目視外飛行で義務付けられる補助者の設置も上記の措置でOKと記されています。
つまり、包括申請で使用するこの標準マニュアルに記されている以上は、「補助者なし目視外飛行」がレベル2飛行(包括申請)でも可能であることを意味します。
これが「補助者無し目視外」のまず一つ目です。
但し重要な注意点があり、それは「第三者の対入りを確実に制限できる場合」に限られていることです。
基本は個別申請
看板やコーン等で第三者の対入りを確実に制限できる立入管理があれば「補助者なしの目視外飛行」は包括申請でも可能です。
くどいようですが、これはあくまでも第三者を「確実に制限」出来る場合であって、現実的には「確実に制限」できると言い切れる場所はそう多くないでしょう。
限られたエリアで、完全に四方をフェンスで囲われてる等、どう見ても第三者の立入が制限される場所を除いて、「確実に制限できる」と独断で包括申請のままで飛行に踏み切らない方が後々安全です。
一方で国交省は「補助者なしの目視外飛行」については【飛行の経路を特定する必要がある飛行】として個別申請することを義務付けています。
これがレベル3飛行です。
確実に第三者の立入制限が出来ない場合でも「補助者なし目視外飛行」が可能となるよう用意されています。
このレベル3飛行には多くの条件が付けられています。
ここからはその条件を解説します。
レベル3飛行の条件
基本的な要件
目視外飛行を補助者無しで行うためには様々なリスクが増大することから、補助者の役割を代替できる機体や地上設備等の配備が最低の条件となります。
それでも、現在の機体や地上設備の技術レベルでは補助者の役割を完全に担うことが難しい為、更に飛行場所や使用する機体についても条件がつけられています。
重要なことは、これらの代替要件がどうであれ、運航者自らが飛行方法に応じたリスクを分析し安全対策を講じることとされています。
まず全体像が分かるよう以下に要件を列挙し、それぞれを解説して行きます。
①飛行経路は第三者が存在する可能性が低い場所を設定すること
②不測の事態が発生した際に機体を安全に着陸させられる場所を事前に確保しその際の対処方法を定めていること
③機体が落下する可能性のある範囲を第三者の立ち入りを管理する区画(立入管理区画)として設定すること
④立入管理区画について近隣住民に周知するなど、当該区画の性質に応じて第三者が立ち入らない為の対策を講じること
⑤無人航空機の飛行経路の周辺を飛行する航空機の運航者に事前に飛行予定を周知するとともに航空情報の発行手続きに係る対応を行い航空機の飛行の安全に影響を及ぼす可能性がある場合には必要な安全措置を講じること
飛行要件
①飛行経路は第三者が存在する可能性が低い場所を設定すること
補助者なしの目視外で飛行させる場所は第三者が存在する可能性が低い場所とされています。
第三者が存在する可能性が低い場所とは、山、海水域、河川・湖沼、森林、農用地、ゴルフ場又はこれらに類するものです。
ただしそれ以外でも、飛行経路を設定する上でやむを得ない場合があります。
その場合は、幹線道路や鉄道の上空はやはり禁止ですが、都市部以外の地域で交通量が少ない道路・鉄道を横切る飛行や人口集中地区(DID)以外の家屋の上空であれば、離着陸時等の一時的な飛行に限って可能とされています。
飛行高度は通常有人機が飛行しない 150m 未満でかつ制限表面(規制のある空港周辺空域)未満とする。
②不測の事態が発生した際に機体を安全に着陸させられる場所を事前に確保しその際の対処方法を定めていること
飛行中にモーター不具合等の不測の事態が発生した場合に備え、全ての飛行経路上において地上の人や物件に危害を与えずに着陸・着水ができる場所を予め選定するとともに、緊急時の実施手順を定めていること。
飛行前に、飛行経路又はその周辺が適切に安全対策を講じることができる場所であることを現場確認すること。
③機体が落下する可能性のある範囲を第三者の立ち入りを管理する区画(立入管理区画)として設定すること
本来補助者がいる場合の役割は、飛行経路の直下及びその周辺を常に監視し、第三者が近付いた場合は、第三者又は操縦者に注意喚起を行い、第三者への衝突を回避することにあります。
補助者がいない場合は、この役割を代替できる機体、地上設備を配備や立入管理区画を設定しなければなりません。
無人航空機が落下し得る範囲をあらかじめ考慮しなければなりませんが、範囲の想定は、メーカーが算出・保証した距離又は機体の性能・形状、運用方法(飛行高度、速度等)等を踏まえて落下範囲が最大となる条件下で算出した距離とすることがルールとなっています。
④立入管理区画について近隣住民に周知するなど、当該区画の性質に応じて第三者が立ち入らない為の対策を講じること
立入管理区画を設置しても、そもそもその存在が周知されていなければ役に立ちません。
立入管理区画に看板等の物理的な目印を施し、第三者等への注意喚起を行うとともに、問い合わせ先を明示した上でインターネットやポスターにより当該事実を近隣住民、地域関係者等に対し広く周知するなど、立入管理区画の性質に応じて、第三者が立ち入らないための対策を行わなくてはなりません。
⑤無人航空機の飛行経路の周辺を飛行する航空機の運航者に事前に飛行予定を周知するとともに航空情報の発行手続きに係る対応を行い航空機の飛行の安全に影響を及ぼす可能性がある場合には必要な安全措置を講じること
飛行前に、飛行経路周辺に関係する有人機の運航者に対し飛行予定を周知するとともに、有人機の飛行日時・経路等を確認の上、有人機との接近のリスクがある場合は飛行の自粛や飛行計画の変更等の安全措置を講じることが義務づけられています。
特に、ドクターヘリの運航者、警察及び消防機関については緊急的な有人機の運航も予想されます。
従って、事前にドローンの飛行日時・場所を周知した上で、その日時・その場所において有人機を飛行する可能性がある場合は、ドローン運航者へ連絡することを依頼し、これらの情報を受けた場合には、飛行の自粛、飛行計画の変更等の安全措置を講じることとされています。
第三者の立入管理の徹底
特に第三者の立入管理の徹底は最も重要な要件の一つです。
前述の要件に加え次のような要件を満たすことが求められています。
機体、地上設備
機体又は地上に、常に進行方向の飛行経路下に第三者が立ち入る兆候を確認できるカメラ等を装備又は設置し、操縦者等がこれらの情報を確認し、進行方向の飛行経路下に第三者が立ち入る可能性が判明した場合は即座に回避すること。
立入可能性が排除できない場合
立入管理区画に道路、鉄道、家屋上空等、第三者が存在する可能性を排除できない場所が含まれる場合には、追加の第三者の立入管理方法を講じることとされています。
a 立入管理区画に道路が含まれる場合
飛行中に歩行者、自転車又は自動車等が管理区画に入ることが予想される場合は、その場所に部分的にカメラ又は補助者を設置し、その場に応じて適切な対策(飛行を中止、経路の変更等)をとること。
b 立入管理区画に鉄道が含まれる場合
鉄道事業者との調整の上、鉄道が運行する時間帯には飛行させないこと。
c 立入管理区画に家屋が含まれる場合
家屋の住民や関係者に飛行日時等について事前に個別に説明し、了解を得るとともに、看板等において日時等を掲示した上で飛行させること。
監視機能の配備
本来補助者がいる場合の役割は、飛行経路周辺に有人機等がいないことを監視し、有人機等を確認した場合には操縦者等に助言し、有人機等への衝突を回避することです。
また、機体の飛行状況(挙動、計画上の飛行経路とのずれ、不具合発生の有無等)を常に監視し、操縦者が継続的に安全運航を行うために必要な情報を適宜操縦者に助言することも本来の補助者の役割です。
加えて、機体周辺の気象状況の変化を常に監視し、補助者は安全運航に必要な情報を操縦者に適宜助言する役割も担います。
補助者がいない場合は、これらの役割を代替できる機体、地上設備を配備しなければなりません。
有人機等の監視
航空機からの視認をできるだけ容易にするため、機体に灯火を装備すること又は飛行時に機体を認識しやすい塗色を行うこと。
機体又は地上に、常に飛行経路周辺を監視できるカメラ等を装備又は設置し、飛行させる空域に有人機等を確認した場合は即座に着
陸する等の安全措置を講じること。
自機の監視
地上において、機体の状態(位置、進路、姿勢、高度、速度等)を操縦者等が遠隔で把握できること。
地上において、計画上の飛行経路と現行の機体の位置の差を把握できること。
操縦者等は、機体の異常又は計画上の飛行経路から逸脱することが判明した場合には、計画上の飛行経路に戻す、付近の適切な場所に着陸・着水させる等適切な対策をとることができること。
自機周辺の気象状況の監視
飛行経路の直下若しくはその周辺、又は機体に風速センサ、カメラ等を設置し、気象状況を操縦者等が確認できること。
操縦者等は、メーカーの定める機体の運用限界を超える気象状態を把握した場合には、即座に付近の適切な場所に機体を着陸・着水させる等適切な対策をとることができること。
操縦者等の教育訓練
このように補助者なし目視外飛行を行うには、基礎的な操縦技量や上記の様々な要件に従って適切に飛行させる技量が必要となります。
この技量の取得のため、遠隔から機体状態を把握したり、状況に応じた適切な判断や操作等に関して座学・実技による教育訓練を、少なくとも 10 時間以上受けていることが義務付けられています。
具体的には次のような技術です。
a 飛行中に、カメラ等からの情報により、立入管理区画における第三者の有無等、異常状態を適切に評価できること。
b 把握した異常状態に対し、現在の飛行地点(飛行フェーズ、周辺の地形、構造物の有無)や機体の状況(性能、不具合の有無)を踏まえて最も安全な運航方法を迅速に判断できること。
c 判断した方法により遠隔から適切に操作できること。
無理に包括申請しない
以上のように、補助者なしの目視外飛行は難度の高い飛行なので様々な要件が求められます。
それだけ「補助者なしの目視外飛行」は危険度が大きいということです。
従って、このようなケースでの飛行許可申請は場所を特定しない包括申請では認められず「飛行の経路を特定する必要がある飛行」として個別申請が必要であることに要注意です。
前述の通り、限られたエリアで完全に四方をフェンスで囲われてる等、誰がどう見ても第三者の立入が制限されると言い切れる場所を除いては、無理に包括申請のままで飛行に踏み切らない方が絶対的に安全です。
包括申請のままレベル3のような追加要件を完備すれば飛行が認められる訳ではないことをくれぐれも忘れずに、国交省の指針通りに「個別申請」をなさってください。
レベル3.5の登場
補助者なし目視外飛行のルールは以上ですが、このルールが大きく改定されました。
一定の要件が揃っていれば「立入管理措置が不要」のまま補助者なしで目視外飛行ができるというルールです。
これが「レベル3.5」と呼ばれる新しい飛行レベルです。
以下の記事で趣旨を述べています。
目視外飛行はドローンをドローンたらしめる大きな利点の一つです。
矢野事務所の包括申請
22,000円(税込)
現地許可取り申請フォーム付き
【番外】場所別の規制と手続き
飛ばせる場所と規制【県別】
DIDで飛ばす【県別】
国立公園で飛ばす【県別】
山で飛ばす【県別】
観光地で飛ばす【県別】
海で飛ばす【県別】
みなとで飛ばす【県別】
ダムで飛ばす【県別】
文化財空撮で飛ばす【県別】
灯台で飛ばす【県別】
廃線で飛ばす【県別】
禁止条例(県別)
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