
ドローンの8つの追加基準と実務判断|矢野事務所
ドローンの飛行許可申請では、基本基準に加えて、特定の空域や飛行方法ごとに「追加基準」が課されます。
この追加基準を押さえると、ドローン規制の大枠はかなり見通しやすくなります。
ただし実務では、基準を知っているだけでは足りません。
重要なのは、その条件で本当に成立すると説明できるかです。
このページで分かること
結論|追加基準は「制度」、実務は「成立条件」
追加基準は、許可審査で見られる制度上の要件です。
しかし実務では、それだけで飛行の可否は決まりません。
実際に見るべきなのは、次の3つです。
- 制度上の基準を満たしているか
- 第三者管理や立入管理が成立しているか
- 現場で説明しきれる運航設計になっているか
つまり、追加基準を知ることと、案件を成立させることは別問題です。
※目視外飛行の成立条件は、許可の有無だけでなく第三者管理・立入管理まで含めて判断する必要があります。
目視外飛行の成立条件と判断整理|矢野事務所
※立入管理区画の考え方は、制度説明よりも実務判断に直結します。
立入管理区画の設計と判断基準|矢野事務所
追加基準の対象になる8つの空域・飛行方法
飛行許可申請で追加基準が問題になるのは、主に次の8項目です。
- 空港周辺空域・緊急用務空域・高度150m以上の空域
- 人又は家屋の密集する地域(DID)上空
- 夜間飛行
- 目視外飛行
- 人又は物件との間に30mを保てない飛行
- 多数の者が集合する催し場所上空
- 危険物輸送
- 物件投下
これらは、単に「危ない飛行」という意味ではなく、追加的な安全措置が必要な飛行として整理されています。
空港周辺空域・高度150m以上・緊急用務空域
この分野で見られるのは、主に次のような点です。
- 航空機からの視認性
- 関係機関との事前調整
- 常時連絡が取れる体制
- 補助者配置や監視体制
- 第三者の立入防止措置
ただし実務では、単に「調整した」「連絡先を持った」では足りません。
いつ、誰と、どういう条件で飛ばすのかを説明できるかが問われます。
※空港周辺空域は、高さや位置だけでは判断しきれません。
空港周辺空域の考え方と実務判断|矢野事務所
DID上空で飛行する場合
DIDでは、第三者や物件に危害を与えないための構造や運航体制が求められます。
典型的には、
- プロペラガード等による被害軽減措置
- 適切な飛行経路の設定
- 補助者による監視と助言
- 飛行経路周辺への第三者立入防止
などです。
ただし実務では、DIDだから危ないという話ではなく、第三者管理をどう成立させるかが本質です。
夜間飛行を行う場合
夜間飛行では、視認性と操縦能力が中心になります。
- 機体の姿勢・方向を確認できる灯火
- 夜間に飛行経路を維持できる操縦能力
- 日中の事前確認
- 離着陸地点の明確化
- 補助者による監視
制度上はこう整理されますが、実務では「夜に飛ばせるか」より、夜でも止める判断ができるかが重要です。
目視外飛行を行う場合
目視外飛行は追加基準の中でも特に重い論点です。
求められるのは、
- 機体外の状況を確認できる装備
- 位置や異常を把握できる地上体制
- フェールセーフ機能
- 第三者管理
- 航空機との衝突回避措置
- 緊急時の着陸場所と手順
です。
特に補助者なしで飛ばす場合は、制度要件が一段重くなります。
※補助者なし目視外飛行は、制度を知るだけでは判断できません。
補助者なし目視外の区分と成立条件|矢野事務所
30mを保てない飛行
人又は物件との間に30mを保てない飛行も、実質的には第三者管理の問題です。
制度上は追加基準の対象ですが、現場で問われるのは、
- なぜ30m未満で飛ばす必要があるのか
- どう危害防止するのか
- その説明が現場で通るか
です。
30m規制は、単なる距離の話ではありません。
※30m規制の考え方は、距離だけでなく物件・第三者管理まで含めて整理が必要です。
ドローン30m規制の考え方|矢野事務所
催し場所上空で飛行する場合
催し上空飛行では、第三者上空を飛ばさないことが大前提です。
そのうえで、
- 飛行経路の特定
- 立入禁止区画の設定
- 補助者配置
- 風速条件による中止判断
などが求められます。
この論点は、制度上の要件だけでなく、主催者との調整や現地運営まで絡みます。
危険物輸送・物件投下を行う場合
危険物輸送や物件投下では、機体性能、操縦技能、安全確保体制がより重く見られます。
特に物件投下は、
- 不用意に投下しない機構
- 投下実績・訓練
- 立入管理区画の設定
- 補助者または代替措置
などが問題になります。
つまり、単に「投下できる」ではなく、安全に投下し、説明できるかが判断軸です。
実務で本当に大事なのはここです
追加基準を知ることは大事です。
しかし案件が止まる理由は、たいてい制度の暗記不足ではありません。
実務で止まるのは、
- 第三者管理の設計が弱い
- 補助者や監視体制が曖昧
- 中止判断が整理されていない
- 対外説明ができない
からです。
つまり、追加基準を満たすことではなく、成立させることが重要です。
まとめ
ドローンの追加基準は、空港周辺、DID、夜間、目視外、30m未満、催し上空、危険物輸送、物件投下の8分野に整理できます。
これらを知ることで制度の全体像はかなり見えてきます。
ただし実務では、
- 追加基準=制度上の要件
- 成立条件=現場で止まらない設計
という違いを意識しなければなりません。
◆ドローン運航は「事後説明」を前提に設計する◆
許可があっても、現場で止まる案件は少なくありません
ドローン運航は「許可が取れるか」ではなく、現場で最後まで成立するかで判断する必要があります。
- 第三者管理は維持できますか?
- 監視体制は機能しますか?
- 中止判断は定義されていますか?
- 関係者への説明は通りますか?
これらが整理されていない案件は、許可があっても現場で止まります。
※飛行許可申請のみのご相談にも対応しています
