レベル4・ドローン物流に「廃線」活用の可能性
社会実装の「到達点」として期待されるレベル4飛行は、高難度の飛行技術が要求されます。
その技術は一体どこで養成・開発していくのでしょうか。
そのフィールドの一つとして、鉄道の「廃線跡地」を考えてみました。
注:以下に紹介する「廃止路線名」は現在の再利用状況等は踏まえず廃線化の歴史のみを示すものです。
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このページで分かること
宮城県の主な廃線跡の現状(国鉄民営化1987年以降)
起点終点:石越駅↔細倉マインパーク前駅・駅数:16駅・廃止:2007年4月・所有者:くりはら田園鉄道・路線距離:25.7 km・軌間:1,067 mm・線路数:単線
清算法人に移行したくりはら田園鉄道は、順次関連施設の撤去、取り壊しを進めた。当時は金属価格(特に銅)の価格が高騰しており撤去費用の捻出が可能だったことから、道路交通法に関係する踏切を構成する設備、栗原電鉄時代の名残だった架線および架線柱は廃止から比較的早い段階で撤去された。また、津久毛駅と栗原田町駅周辺にあった津久毛変電所・田町変電所は2009年に解体された。有人駅だった沢辺、栗駒を含む大半の駅も2010年までに解体されている。
線路に関しては多くが存置されており、鉄橋等もバリケードが築かれた程度で撤去は進んでいない。これには栗原電鉄が重金属を輸送していたため、路盤が汚染されていることも影響しているとされる。
出典:Wikipedia
廃線跡地の持つ可能性
これからも日本の鉄道にとって廃線化の道は避けて通れないでしょう。
無理な妄想は控えるべきですが、空の産業革命と期待される「ドローン」という利器を廃線跡地利用の選択肢として活用できないものでしょうか。
以下に考えてみました。
レベル4につながる飛行環境
レベル4を分かりやすく言えば「人がいる地帯の上空で補助者なしでモニターを見ながら飛行させる」という飛行法です。
一般に広く行われている「下に人がいない場所の上空を、機体の操縦者が直接目視しながら、安全管理する補助者を伴って飛ばす」、、、という方法と比べて、その危険性や難度は比較にならないほど高くなる飛行です。
廃線の軌道上は人の少ない場所ではありますが、部分的にはいつでも人が立ち入ることは可能で、有人地帯にもなり得ます。
そのような廃線跡地で、補助者を配置せず飛行させれば、人の立入を防ぐことは困難となり事実上「立入管理措置を行わない」(つまり、人が自由に出入りする)飛行となります。
この点がレベル4の要件に適合します。
人の肉眼から遠く離れて線路の軌道上を飛んでいくドローンは、モニターに映る画像や飛行のリアルデータで機体を追いかけ、飛行を制御していくしかありません。
このように、廃線跡地は「有人地帯・目視外・補助者(立入管理措置)なし」というレベル4の要素が内在した飛行環境と言えます。
緩やかなカーブ・直線的な飛行
そんな廃線跡地を再利用の観点からとらえると、様々な利点が見えてきます。
廃線となった鉄道の軌道は、長い距離をつなぐ道路や高速道路と同様に、緩やかなカーブを伴う地形にそってまっすぐに伸びています。
上空には建物や電信柱などの障害物が少なく空間が広く開けており、直下の交通渋滞も無く工事なども少ないため、より高速で安全に移動できるという利点があります。
レベル4の練習フィールドとして適した環境の一つと言えるかもしれません。
荷物の受渡し場所へのアクセス
練習の場にとどまらず、ドローン輸送の面でメリットを考えると、ドローンは地上を走る車やトラックと比べて、直線的に進むことができるため、軌道に沿って荷物の受け渡し場所を設置しておけば、受取手にとってはアクセスすることが容易になるでしょう。
この点からも、ドローンにとって「廃線跡地の利用」の持つポテンシャルは飛行練習の場としてだけでなく、それ自体がドローン輸送の飛行経路として可能性があると言えないでしょうか。
より効率的で環境にも優しい飛行が期待できる廃線跡地での飛行は、ドローンによる「輸送・宅配」を実現できる可能性も併存していると考えられるでしょう。
廃線の再利用課題を解決
「廃線跡地の再利用」は鉄道会社や地方自治体が模索している社会的な課題となっています。
2020年、豊田市と愛知県は、名鉄三河線廃線跡の一部区間をドローンの専用空路に見立て、地元小売店から地域住民への商品配送を想定した実証実験を行いました。
また、名鉄グループは荷物の配達など輸送、分野でのドローン活用に注目し、ドローン配送の実証実験に積極的に取り組んでいます。
将来的には更に廃線を利用した配送網の構築を目指すことも考えられ、更にこれらに飛行訓練場としての可能性も含めれば、再利用事業に一筋の光が見えてきます。
過疎化対策の可能性も
鉄道が廃線となる原因は、乗客の少なさ・・・つまり鉄道周辺地域の過疎化にあります。
廃線化されれば、その不便さから周辺人口は益々減少していき、過疎化は更に進みます。
そうなれば暮らしを支える商業インフラも少なくなり、生活物資や薬品等緊急の輸送ニーズは高まっていくでしょう。
もともと都市部や郊外地域を結ぶ役割を果たしていた鉄道の軌道を輸送ドローンの飛行経路として転用すれば、地域間の荷物の配送がスムーズになり、人々の生活を改善することができます。
ラストワンマイル問題の解決手段や過疎化対策にもなり得るのではないでしょうか。
山積する問題・課題
期待が膨らむ廃線跡地利用ですが、しかし、ドローンを鉄道の軌道上で飛行させるためには多くの課題があります。
空域・遠隔操作・ルート
空域管理の問題
鉄道の廃線上空は、現在は航空法によって管理されていません。
ドローンが上空を飛行するためには、適切な空域管理が必要となります。
ドローンの安全性
ドローンが鉄道の廃線上空を飛行する場合、地上に人がいないかどうか、障害物がないかどうか、十分に確認する必要があります。
また、万が一ドローンが墜落した場合の被害を最小限に抑えるための対策も必要です。
ドローンの遠隔操作
鉄道の廃線上空を飛行するドローンは、遠隔操作によって操縦されることとなります。
遠隔操作の安定性や通信の問題が発生した場合、ドローンの操作が困難になる可能性があります。
また、地上の電波状況に影響される可能性もあります。
飛行ルートの設計
安全かつ効率的なルートを設計する必要があります。
また、ドローンの飛行経路周辺の施設や住民の生活に影響を与えないようにすることも必要です。
天候・電力・機体そして法律
天候条件の影響
天候条件によって飛行できなくなるのがドローンです。
風が強い場合や雨が降る場合など、飛行可能な環境であるかどうかを常に確認する必要があります。
電力の確保
長時間の飛行、荷物の重量に堪え得る電力を確保するためには、適切なバッテリーの使用や、充電設備の整備などが必要です。
機体の信頼性
高度に信頼性の高い機体が必要です。
特に、遠隔操作で操縦されるドローンの場合、通信エラーやバッテリー切れなどによる機体の停止は大きなリスクとなります。
法律上の問題
鉄道の廃線跡地上空を飛行するドローンは、法律上の規制が必要です。
例えば、航空法に基づく運用規則や、個人情報保護法に基づくプライバシー保護などがあります。
規制を遵守しながら運用する必要があります。
採算性・事業性
このように、解決しなければならない課題は山積しています。
諸課題の解決にはシステムや軌道上の設備等、様々な設備投資は避けて通れないでしょう。
- 軌道の状態を確認するための監視カメラや障害物を検知するためのセンサー
- 飛行ルートでの安全な高度や速度や方向を制御するシステム
- 安全な位置を維持するためのGPSシステム
- 十分な電力や安定した通信を確保するシステム
- 安全な着着陸を行うための場所や運航管理要員、、、etc
これらの投資や費用を回収し得るほどの収益が期待できるものなのかどうか、官民ともに知恵の出しどころと言えます。
全国廃線地図
【場所別】宮城県のドローン規制
宮城のダムで飛ばす
宮城の河川で飛ばす
宮城の文化財(22)を空撮
宮城の「港」で飛ばす
宮城の海で飛ばす
宮城の空撮許可は観光協会も
宮城の山で飛ばす
三陸復興国立公園で飛ばす
宮城の飛ばせる場所と規制
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