レベル4・ドローン物流に「廃線」活用の可能性
社会実装の「到達点」として期待されるレベル4飛行は、高難度の飛行技術が要求されます。
その技術は一体どこで養成・開発していくのでしょうか。
そのフィールドの一つとして、鉄道の「廃線跡地」を考えてみました。
注:以下に紹介する「廃止路線名」は現在の再利用状況等は踏まえず廃線化の歴史のみを示すものです。
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このページで分かること
神奈川県の主な廃線跡地の現状
起点終点:)小田原線足柄駅↔小田原工場・駅数:1駅・廃止:1984年3月・所有者:日本専売公社・路線距離:0.8kmkm・軌間:1,067mm・線路数:単線
1984年3月に廃止された後、線路敷地はしばらく軌条(レール)を撤去しただけで放置されていた。線路跡地については1999年ごろに小田原市が譲り受け、足柄駅に隣接する部分を除いて「久野緑の小径」と称する遊歩道として整備された。足柄駅に隣接する部分は特に整備されておらず、地域住民の通り道として利用されているが、架線柱などが残存しており、張力を失った状態で架線が垂れ下がっている。
出典:Wikipedia
起点終点:大船駅↔ドリームランド駅・駅数: 2駅・廃止: 2003年9月・所有者: ドリーム開発・路線距離:5.3 km・線路数:単線
モノレールの軌道や設備の一部は運行休止後40年近く放置されたままとなり、テレビ番組の廃墟特集その他で何度か取り上げられた。廃止が決定された後に大部分の事業用地が横浜市に売却された。軌道・橋脚などの構造物の早期撤去を条件に売却されたため、これらの撤去工事は免許廃止に先立つ2003年9月1日から開始され、2005年(平成17年)上半期までにほとんど終了した。
ドリームランド駅プラットホームは、先に解体撤去されていた駅舎の跡地共々2003年(平成15年)に整地され、2006年に開校した横浜薬科大学の駐車場となった。また、残されていた大船駅の軌道・橋脚も撤去され、2005年(平成17年)には建売住宅が、2008年(平成20年)には分譲マンションが建設された。
モノレールの跡地は、休止中から続いている宅地開発や、2004年(平成16年)10月に発生した台風22号による土砂災害の復旧工事などで大きく姿を変えている。そのため現在では、古い地図や写真を見ながらでなければ軌道の存在した場所を探し当てることは困難である。ただし、休止期間が長期に及んだことから愛好家が撮影した軌道の写真などは数多く残されている。
出典:Wikipedia
起点終点:駒ヶ岳登り口駅↔駒ヶ岳頂上駅・駅数: 2駅・廃止:2005年9月・所有者: 伊豆箱根鉄道・路線距離: 0.7km・軌間: 1,067mm・線路数:単線
廃線後、駒ヶ岳鋼索線撤去・復旧工事を実施。2008年に施設・車両はすべて解体撤去された。富士箱根伊豆国立公園の指定地域内であるため、自然公園法に基づき、軌道跡の整地や植林など、跡地を山林に復旧する原状回復が行われた。
駒ヶ岳登り口駅で接続していた伊豆箱根バスもケーブルカー廃線後は経路から外れ、現在駒ヶ岳登り口駅へのアクセス道路は通行止めとなっている。
出典:Wikipedia
起点終点:向ヶ丘遊園駅↔向ヶ丘遊園正門駅・駅数: 2駅・廃止: 2001年2月・所有者、運営者: 小田急電鉄・路線距離: 1.1km・線路数:単線
廃止後、モノレールの駅や支柱などはそのまま放置されていたが、2002年(平成14年)から2004年(平成16年)にかけて段階的に撤去された。
廃線跡のうち二ヶ領用水に沿う区間は「五ヶ村堀緑地」や「ばら苑アクセスロード」などの遊歩道として整備され、設置されている案内板には当路線に関する記述も掲載されている。また、橋脚が設置されていた地点には小田急による金属製プレートが地表に設置されている。モノレールが府中街道を跨いでいた本村橋交差点付近には、当時の橋脚を模した小型のモニュメントが設けられている。
向ヶ丘遊園駅跡地は自転車駐輪場に転用され、向ヶ丘遊園正門駅跡地は整地された後、2011年(平成23年)に藤子・F・不二雄ミュージアムが付近に開館した。
出典:Wikipedia
廃線跡地の再利用状況や現況の出典:Wikipedia「日本の廃止鉄道路線一覧」
廃線跡地の持つ可能性
これからも日本の鉄道にとって廃線化の道は避けて通れないでしょう。
無理な妄想は控えるべきですが、空の産業革命と期待される「ドローン」という利器を廃線跡地利用の選択肢として活用できないものでしょうか。
以下に考えてみました。
レベル4につながる飛行環境
レベル4を分かりやすく言えば「人がいる地帯の上空で補助者なしでモニターを見ながら飛行させる」という飛行法です。
一般に広く行われている「下に人がいない場所の上空を、機体の操縦者が直接目視しながら、安全管理する補助者を伴って飛ばす」、、、という方法と比べて、その危険性や難度は比較にならないほど高くなる飛行です。
廃線の軌道上は人の少ない場所ではありますが、部分的にはいつでも人が立ち入ることは可能で、有人地帯にもなり得ます。
そのような廃線跡地で、補助者を配置せず飛行させれば、人の立入を防ぐことは困難となり事実上「立入管理措置を行わない」(つまり、人が自由に出入りする)飛行となります。
この点がレベル4の要件に適合します。
人の肉眼から遠く離れて線路の軌道上を飛んでいくドローンは、モニターに映る画像や飛行のリアルデータで機体を追いかけ、飛行を制御していくしかありません。
このように、廃線跡地は「有人地帯・目視外・補助者(立入管理措置)なし」というレベル4の要素が内在した飛行環境と言えます。
緩やかなカーブ・直線的な飛行
そんな廃線跡地を再利用の観点からとらえると、様々な利点が見えてきます。
廃線となった鉄道の軌道は、長い距離をつなぐ道路や高速道路と同様に、緩やかなカーブを伴う地形にそってまっすぐに伸びています。
上空には建物や電信柱などの障害物が少なく空間が広く開けており、直下の交通渋滞も無く工事なども少ないため、より高速で安全に移動できるという利点があります。
レベル4の練習フィールドとして適した環境の一つと言えるかもしれません。
荷物の受渡し場所へのアクセス
練習の場にとどまらず、ドローン輸送の面でメリットを考えると、ドローンは地上を走る車やトラックと比べて、直線的に進むことができるため、軌道に沿って荷物の受け渡し場所を設置しておけば、受取手にとってはアクセスすることが容易になるでしょう。
この点からも、ドローンにとって「廃線跡地の利用」の持つポテンシャルは飛行練習の場としてだけでなく、それ自体がドローン輸送の飛行経路として可能性があると言えないでしょうか。
より効率的で環境にも優しい飛行が期待できる廃線跡地での飛行は、ドローンによる「輸送・宅配」を実現できる可能性も併存していると考えられるでしょう。
廃線の再利用課題を解決
「廃線跡地の再利用」は鉄道会社や地方自治体が模索している社会的な課題となっています。
2020年、豊田市と愛知県は、名鉄三河線廃線跡の一部区間をドローンの専用空路に見立て、地元小売店から地域住民への商品配送を想定した実証実験を行いました。
また、名鉄グループは荷物の配達など輸送、分野でのドローン活用に注目し、ドローン配送の実証実験に積極的に取り組んでいます。
将来的には更に廃線を利用した配送網の構築を目指すことも考えられ、更にこれらに飛行訓練場としての可能性も含めれば、再利用事業に一筋の光が見えてきます。
過疎化対策の可能性も
鉄道が廃線となる原因は、乗客の少なさ・・・つまり鉄道周辺地域の過疎化にあります。
廃線化されれば、その不便さから周辺人口は益々減少していき、過疎化は更に進みます。
そうなれば暮らしを支える商業インフラも少なくなり、生活物資や薬品等緊急の輸送ニーズは高まっていくでしょう。
もともと都市部や郊外地域を結ぶ役割を果たしていた鉄道の軌道を輸送ドローンの飛行経路として転用すれば、地域間の荷物の配送がスムーズになり、人々の生活を改善することができます。
ラストワンマイル問題の解決手段や過疎化対策にもなり得るのではないでしょうか。
山積する問題・課題
期待が膨らむ廃線跡地利用ですが、しかし、ドローンを鉄道の軌道上で飛行させるためには多くの課題があります。
空域・遠隔操作・ルート
空域管理の問題
鉄道の廃線上空は、現在は航空法によって管理されていません。
ドローンが上空を飛行するためには、適切な空域管理が必要となります。
ドローンの安全性
ドローンが鉄道の廃線上空を飛行する場合、地上に人がいないかどうか、障害物がないかどうか、十分に確認する必要があります。
また、万が一ドローンが墜落した場合の被害を最小限に抑えるための対策も必要です。
ドローンの遠隔操作
鉄道の廃線上空を飛行するドローンは、遠隔操作によって操縦されることとなります。
遠隔操作の安定性や通信の問題が発生した場合、ドローンの操作が困難になる可能性があります。
また、地上の電波状況に影響される可能性もあります。
飛行ルートの設計
安全かつ効率的なルートを設計する必要があります。
また、ドローンの飛行経路周辺の施設や住民の生活に影響を与えないようにすることも必要です。
天候・電力・機体そして法律
天候条件の影響
天候条件によって飛行できなくなるのがドローンです。
風が強い場合や雨が降る場合など、飛行可能な環境であるかどうかを常に確認する必要があります。
電力の確保
長時間の飛行、荷物の重量に堪え得る電力を確保するためには、適切なバッテリーの使用や、充電設備の整備などが必要です。
機体の信頼性
高度に信頼性の高い機体が必要です。
特に、遠隔操作で操縦されるドローンの場合、通信エラーやバッテリー切れなどによる機体の停止は大きなリスクとなります。
法律上の問題
鉄道の廃線跡地上空を飛行するドローンは、法律上の規制が必要です。
例えば、航空法に基づく運用規則や、個人情報保護法に基づくプライバシー保護などがあります。
規制を遵守しながら運用する必要があります。
採算性・事業性
このように、解決しなければならない課題は山積しています。
諸課題の解決にはシステムや軌道上の設備等、様々な設備投資は避けて通れないでしょう。
- 軌道の状態を確認するための監視カメラや障害物を検知するためのセンサー
- 飛行ルートでの安全な高度や速度や方向を制御するシステム
- 安全な位置を維持するためのGPSシステム
- 十分な電力や安定した通信を確保するシステム
- 安全な着着陸を行うための場所や運航管理要員、、、etc
これらの投資や費用を回収し得るほどの収益が期待できるものなのかどうか、官民ともに知恵の出しどころと言えます。
全国廃線地図
【場所別】神奈川県のドローン規制
神奈川のドローン禁止条例
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神奈川の廃線跡地とレベル4
神奈川の飛ばせる場所と規制
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