
利尻礼文サロベツで運航が止まる理由|矢野事務所
利尻礼文サロベツ国立公園でドローンを飛行させる場合、「国立公園だから一律禁止」と単純に整理することはできません。
しかし、「一律禁止ではないから飛ばせる」と考えるのも危険です。
この公園では、場所ごとに運航が成立しない理由が異なります。
礼文島では自治体ルールや歩道外立入の制限が問題になります。
サロベツ湿原では野生生物や湿原保護が問題になります。
利尻島では利尻空港周辺空域が問題になります。
つまり、利尻礼文サロベツ国立公園のドローン運航は、「飛ばせるか」ではなく、どの場所で、どの理由により運航が成立しないのかを分解して確認する必要があります。
このページで分かること
一律禁止ではなく停止条件が分かれる
利尻礼文サロベツ国立公園の特徴は、地域ごとに停止条件が異なることです。
同じ国立公園内でも、礼文島、サロベツ湿原、利尻島では、確認すべき相手も、問題になる法令・ルールも違います。
- 礼文島は、地域ルールと立入管理で運航が難しくなる
- サロベツ湿原は、野生生物と湿原保護で運航が難しくなる
- 利尻島は、利尻空港周辺空域で運航が難しくなる
このように、停止条件が複数に分かれる地域では、航空法だけを見ても判断できません。
現地の管理者、自治体、環境省、林野庁、空港管理者などを含めて、運航成立性を確認する必要があります。
この考え方は、ドローンは操縦でなく運航管理|矢野事務所で整理している運航管理そのものです。
公園地図でまず区域を確認する
最初に確認すべきなのは、飛行予定地が公園内のどの区域にあたるのかです。
利尻礼文サロベツ国立公園は範囲が広く、島、湿原、海岸、山地、空港周辺が含まれます。
そのため、場所を曖昧にしたまま「国立公園内で飛ばせますか」と聞いても、判断できません。
地図で区域を確認したうえで、次に、そこが礼文島なのか、湿原周辺なのか、利尻空港周辺なのか、国有林なのかを切り分けます。
この切り分けがないと、相談先も手続きもずれてしまいます。
礼文島は地域ルールで運航が難しくなる
礼文島は、実務上もっとも慎重な整理が必要なエリアです。
自治体、環境省、林野庁などが関係し、地域全体として自然環境と観光利用を守るためのルールが設けられています。
- 空港周辺、自衛隊施設、民家上空の飛行禁止
- 高度150m未満での飛行
- 目視内飛行
- 道路からの離着陸禁止
- 夜間飛行禁止
- 第三者から30m以上の距離確保
- 人が多い場所での飛行禁止
- 歩道外立入禁止
特に重要なのは、歩道外立入の制限です。
機体が落下した場合でも、歩道外へ立ち入って回収できない可能性があります。
つまり、礼文島では、飛行中の安全だけでなく、落下後の回収可能性まで運航計画に入れる必要があります。
礼文島の飛行ルールは、次の資料で確認できます。
サロベツ湿原は野生生物で運航が難しくなる
サロベツ湿原では、野生生物への影響が大きな論点になります。
特に野鳥への影響、湿原環境への立入り、落下時の回収困難性が問題になります。
- 木道周辺でのドローン使用制限
- 野生生物への影響
- 湿原内への立入り制限
- 落下時の回収困難性
- 私的利用の制限
湿原では、飛行そのものだけではなく、音、接近、影、落下、回収行為が問題になります。
機体が墜落した場合に回収できるのか。
回収のために湿原へ立ち入ることができるのか。
野鳥の繁殖や生息環境に影響しないのか。
これらを説明できなければ、運航としては弱くなります。
利尻島は空港周辺空域で運航が難しくなる
利尻島では、利尻空港周辺空域が重要な論点になります。
空港周辺に該当する場合、航空法上の許可整理が必要になります。
さらに実務上は、空港管理者との事前調整が必要になる場合があります。
利尻空港管理事務所
TEL:0163-82-1269
利尻島での飛行は、自然公園内かどうかだけでは判断できません。
空港周辺空域、飛行高度、飛行場所、飛行時間、空港運用との関係を確認する必要があります。
つまり、自然公園の問題と航空法の問題が重なります。
環境省所管地は事前連絡が必要になる
環境省所管地上空を飛行する場合には、事前連絡が必要になる場合があります。
自然公園内でのドローン飛行は、航空法だけで判断するのではなく、所管地や利用ルールも確認する必要があります。
稚内自然保護官事務所
TEL:0162-33-1100
ここで重要なのは、連絡したかどうかだけではありません。
どの場所で、どの目的で、どのような飛行を行うのかを説明できるようにしておくことです。
自然環境への影響、第三者の有無、離着陸場所、落下時対応を整理したうえで相談する必要があります。
国有林に入る場合は入林届を確認する
国有林に入る場合は、入林届の要否を確認する必要があります。
ドローン飛行そのものとは別に、操縦者や補助者が国有林内へ入る場合、入林手続きが問題になります。
つまり、上空を飛ぶことと、人が現地へ入ることは分けて整理する必要があります。
離着陸場所、補助者配置、回収対応が国有林内に関係する場合、入林届の確認を省略できません。
包括申請だけでは成立しない
利尻礼文サロベツ国立公園では、包括申請があるからといって運航が成立するわけではありません。
包括申請は、航空法上の一定の飛行を行うための入口です。
しかし、この地域では、自治体ルール、自然公園、野生生物、国有林、空港周辺空域、第三者管理が別に残ります。
そのため、包括申請の有無だけで判断すると、現地で運航が成立しない可能性があります。
この考え方は、包括申請でも成立しない飛行とは|矢野事務所で整理している内容と同じです。
第三者状態と観光利用をどう見るか
利尻礼文サロベツ国立公園は、観光利用も多い地域です。
登山者、観光客、歩道利用者、施設利用者、車両、地域住民が関係します。
そのため、第三者状態をどう維持するかが重要になります。
観光客が少ない時間帯だから大丈夫、という判断では足りません。
歩道、展望地、駐車場、木道、登山道、施設周辺に人が入る可能性を見なければなりません。
また、飛行中だけでなく、離着陸、機体回収、補助者配置の場面でも第三者との関係が生じます。
第三者整理については、第三者と関係者の整理で止まる理由|矢野事務所で整理しています。
場所ごとの停止条件を文書化する
この地域で重要なのは、場所ごとの停止条件を文書化することです。
礼文島なら、道路離着陸、歩道外立入、民家上空、人が多い場所をどう避けるのか。
サロベツ湿原なら、野生生物、木道、湿原立入、落下時回収をどう整理するのか。
利尻島なら、空港周辺空域、空港管理者調整、飛行高度をどう整理するのか。
これらを事前に整理しなければ、現地で判断できません。
「飛ばせるか」ではなく、「どこで止めるか」を先に決めることが、自然公園でのドローン運航には必要です。
まとめ
利尻礼文サロベツ国立公園は、一律禁止の公園ではありません。
しかし、だからといって簡単に運航が成立する場所でもありません。
礼文島では地域ルールと歩道外立入。
サロベツ湿原では野生生物と湿原保護。
利尻島では空港周辺空域。
国有林では入林手続。
環境省所管地では事前連絡。
このように、場所ごとに停止条件が分かれます。
矢野事務所では、利尻礼文サロベツ国立公園でのドローン飛行を、単なる許可要否ではなく、場所ごとの停止条件と運航成立性の問題として整理します。
◆ドローン運航は『事後説明』を前提に設計する◆
法人案件では「飛ばせるか」だけでは進まないことがあります
ドローン運航は、許可が取れるかだけでなく、現場で最後まで成立するかで判断する必要があります。
- 第三者管理は維持できますか?
- 監視体制は機能しますか?
- 中止判断は定義されていますか?
- 発注者・関係者への説明は通りますか?
これらが整理されていない案件は、許可があっても現場で止まる方向に傾きます。
※飛行許可申請のみのご相談にも対応しています

