ドローン高さ制限の落とし穴は標高と対地高度:矢野事務所

ドローン高さ制限の落とし穴は標高と対地高度

 

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「高さ制限システム」に潜む危険な誤解

ドローンを安全に飛行させるには、航空法で定められた「高さ制限」を正確に理解することが不可欠です。

多くの操縦者が利用する「高さ制限回答システム」(またはそれに類する情報提供サービス)は非常に便利ですが、そこに潜む大きな落とし穴によって、意図せず航空法違反を犯してしまうケースがあることをご存じでしょうか。

先日、ある方から「高さ制限回答システムで調べたこの制限値未満ならドローンを飛ばして良いんですよね?」というご相談を受けました。

画面を見ると、確かに「制限高」が示されていましたが、その数値は「標高」のままでした。

ご相談の地点の標高が10Mだったため、この方はその10Mを考慮せず、システムに表示された制限高そのままを「地表から飛ばせる高さ」だと誤解されていました。

これは非常に危険な誤解です。

なぜなら、航空法におけるドローンの高さ制限は、基本的に「対地高度(地表または水面からの高さ)」で定められているからです。

標高が考慮されていないまま飛行させると、知らない間に許可された高度を超過し、航空法違反となる可能性があります。

標高と対地高度:ドローン飛行でなぜ重要か?

ドローンの高さ制限を正しく理解するためには「標高」と「対地高度」の明確な違いを知ることが重要です。

標高(海抜高度)とは

標高(海抜高度)は、東京湾の平均海面を基準(0m)とした、ある地点の垂直方向の高さを示します。

地図上などで示される地形の高さは、通常この標高です。

航空機が飛行する際の高度も、航空管制上は標高(フライトレベル)で管理されるのが一般的です。

対地高度とは

一方、ドローンを飛行させる上で最も重要になるのが「対地高度」です。

これは、ドローンの直下の地表または水面からドローンまでの垂直方向の高さを指します。

航空法で定められている「地表または水面から150m以上の空域での飛行禁止」といった規制は、この対地高度が基準となります。

例えば、標高100mの丘の上からドローンを飛行させ、対地高度100mで飛行している場合、そのドローンの標高は200m(標高100m + 対地高度100m)になります。

「高さ制限システム」の盲点

多くの「高さ制限回答システム」は、空港周辺の制限表面(進入表面、転移表面など)における「飛行可能な標高」を表示します。

これは、航空機の安全航行を確保する為の基準であり、その地点の地盤の高さ(標高)を考慮していません。

したがって、システムで表示された制限高(標高)から、実際にドローンを離陸させる地点の標高を差し引かなければ、地表から飛行可能な真の「対地高度」は算出されません。

計算式:飛行可能な対地高度 = 制限高(システム表示の標高) − 離陸地点の標高

私の相談事例では、地点の標高10Mを差し引いた「対地高度」を改めて制限高として共有し、その数値を超えて飛行する場合には、改めて空港事務所との「空港調整」を行い、国土交通省への「個別申請」が必要となることをご説明しました。

高度規制とその他の重要事項

高さ制限の理解は、ドローンの飛行許可申請において非常に重要な要素ですが、それ以外にも考慮すべき規制が多々あります。

1. 空港等周辺空域における飛行

ドローンを空港等の周辺空域で飛行させる場合、多くの場合、国土交通大臣の許可・承認が必要です。

これは、航空機の安全な離着陸を妨げないためです。

高さ制限システムで示されるのは、この空域における高さの限界値ですが、たとえその制限値以下であっても、空港管理者との事前の調整が必要となる場合があります。

2. 人口集中地区(DID地区)上空での飛行

更に、ドローン飛行における場所の規制に「人口集中地区(DID地区)上空での飛行禁止」があります。

DID地区は、国勢調査に基づき定められる人口密度の高い地域で、ドローンの落下による人身・物損事故のリスクが高いため、原則として飛行が禁止されています。

ご相談の事例の場所はDID地区でもあったため、高さ制限に加え、DID地区での飛行許可も必要となります。

通常、業務での飛行であれば「包括申請」(特定の期間・条件であれば複数の飛行を包括的に許可する制度)を利用しているケースが多いですが、その包括申請の有効期限や、適用される飛行条件を改めて確認していただくよう促しました。

3. その他の特定飛行

上記以外にも、ドローンの飛行には以下のような特定飛行があり、それぞれ国土交通大臣の許可・承認が必要です。

  • 夜間飛行
  • 目視外飛行
  • 人または物件から30m未満での飛行
  • イベント上空での飛行
  • 危険物の輸送
  • 物件投下

これらの特定飛行に該当する場合も、適切な許可を取得しなければなりません。

複雑な手続きは専門家へ

ドローンの飛行に関わる法規制は非常に複雑で、一つ一つの要素が密接に絡み合っています。

特に、高さ制限システムで表示される「標高」と、実際に飛行を管理すべき「対地高度」の混同は、多くの操縦者が見落としがちな落とし穴です。

空港周辺での飛行やDID地区での飛行、さらには今回のような具体的な相談事例は、複数の規制が複合的に絡み合うため、正確な判断と適切な手続きが求められます。

 

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