高額ドローンを補助金なしで買う合理性:矢野事務所

高額ドローンを補助金なしで買う合理性:矢野事務所

 

産業用ドローンの導入は、もはや「趣味の機体購入」とは別世界です。

インフラ点検、プラント・タンク検査、測量、楊重、災害対応など、現場の要求水準は年々上がり、機体本体だけで数百万円、センサーや運用体制まで含めると数千万円規模の投資になることも珍しくありません。

こうした設備投資を支援する補助金制度は複数存在します。

それにもかかわらず、業界の会合などで話を聞くと、補助金の存在を知りながら「あえて使わず、即購入」する事業者が一定数います。

一見すると「もったいない判断」に見えますが、実際はそう単純ではありません。

補助金を使わない選択の裏には、事業のスピード戦略に基づく合理性が隠れています。

本記事では、行政書士が実務目線で「補助金を使わない理由」を整理し、貴社が導入判断で迷わないための判断基準を提示します。

法人・自治体案件のご担当者さまへ
業務での飛行は「飛ばせるか」だけでなく、飛行可否判断/通報設計/説明整理が必要になる場合があります(個人のご相談も可)。

 現場で見えた実態:補助金を使わず即決する事業者

会合の休憩時間、ある点検会社の経営者が最新機体について「申請やってる暇がないから、もう買った」と淡々と言いました。

ここで重要なのは、彼らが補助金を知らないのではなく、知った上で“捨てている”点です。

つまり、補助金を「得する制度」と見るのではなく、導入判断を遅らせる時間コスト運用制約まで含めて総合評価し、投資判断を下している――ということです。

補助金を使わない主な理由(戦略的放棄の内訳)

① 手続きの煩雑さ=“経営時間”の消耗

補助金は、申請書の作成だけで終わりません。採択後も、実績報告、証憑管理、検査対応など、想像以上に工数がかかります。

少数精鋭の企業ほど、その時間を本業(営業・現場・採用・教育)に振った方が総合利益が大きい、と判断しやすくなります。

② スピード最優先:機会損失の回避

「今すぐ機体がないと受注できない」「今月の案件に間に合わない」――この状況で数か月待つのは、補助金額以上の損失になり得ます。

補助金を待つこと自体が、競合優位や受注機会を失うリスクになるなら、即購入は合理的です。

④ 行政対応・監査への心理的負担

補助金は多くが後払いです。

さらに、ルール解釈や運用の揺れ、監査・検査対応への不安から、「余計な火種を増やしたくない」と考える経営者もいます。

これは“面倒”というより、不確実性を嫌う合理判断として理解すべき部分です。

⑤ キャッシュフロー・税務上の都合

補助金は会計上の扱いが発生します。

投資・資金繰り・税務の設計を一体で考える会社ほど、「補助金がある方が絶対に得」とは言い切れない場面が出てきます。

(※個別事情で変わるため、ここは“絶対論”で判断しないのが安全です)

「補助金なし」が正しい判断になるケース

A. 待つことで失う売上(機会損失)が大きい

補助金の獲得額よりも、導入遅延で失う受注機会が大きいなら、補助金を捨ててでも即導入が合理的です。

特に「導入の有無が受注可否に直結する」業態では、この判断がよく起きます。

B. 競争優位の確保が最優先(先行投資が武器)

同業がまだ持っていない機材・運用能力を先に確保し、市場での立ち位置を一気に取る。

これは補助金よりも重要な“戦略投資”になります。

C. 補助金の枠では事業の根幹を満たせない

必要な仕様・センサー・運用体制が、補助金の要件や対象範囲では組めない場合、補助金に合わせることが「本末転倒」になり得ます。

※「ものづくり補助金」でのドローンではこのようなケースはなさそうです。

逆に「もったいない投資」になりやすいケース

A. 設備投資として位置づけが固まっている

今後数年にわたり安定稼働する基幹設備として導入するのに、単に「面倒だから」で申請を避けるのは損失になりやすいです。

この場合は、制度側に合わせる工夫(調達手順・計画整理)を先に検討する価値があります。

B. 資金繰りに余裕がないのに、勢いで購入する

導入後の教育、保守、予備機、保険、運航管理、コンサル費用など、機体以外にもコストは発生します。

補助金を使える可能性があるのに検討せず、資金繰りを圧迫するのは避けたいところです。

C. 社内工数が理由なら“外部化”の選択肢を捨てない

申請負担がネックなら、専門家活用や外部委託の費用対効果を冷静に比較するべきです。

「補助金は面倒」で終わらせるより、経営時間を守る設計を先に考える方が安全です。

判断基準はここを見る(4つの軸)

評価軸チェックポイント目安
時間軸(スピード)導入まで「数か月待てるか」/待てないと受注を失うか待てる→申請検討 / 待てない→即導入
目的と仕様補助金対象の枠内で“事業の根幹”を満たせるか満たせる→申請検討 / 特注必須→即導入
行政対応余力申請・報告・証憑管理を運用として回せるか(外部化含む)回る→申請検討 / 回らない→即導入寄り
運用体制安全管理(運航管理者・運航規程・記録)を整える準備があるか整う→制度活用と相性良 / 未整備→導入設計が先

 まとめ:「使う/使わない」の二択ではありません

補助金の判断は「得か損か」だけで決まりません。

重要なのは、スピード仕様行政対応運用体制を一体で見て、自社にとって“失敗しない導入”を設計することです。

補助金を使わない判断にも合理性はありますが、それは「急ぐ理由」「勝つ理由」「枠に合わない理由」があって初めて成立します。

迷う場合は、制度の話より先に、導入目的と運用設計を整理するだけでも判断は一気にクリアになります。

関連:補助金は「申請」ではなく「実行設計」

行政書士が支援できること(法人・自治体案件)

高額ドローン導入は、機体選定だけでなく、運用体制・安全管理・許可手続・(必要なら)補助金設計までを一体で考えないと失敗しやすい領域です。

行政書士として、「使う/使わないの判断整理」の段階から、実務の視点で整理・確認のご相談に対応しています。

  • 補助金を使う/使わないの判断基準整理(時間軸・仕様・運用体制の棚卸し)
  • 導入後に必要となる運用・安全管理文書の整備(運航管理者・運航規程・記録体系 等)
  • 飛行許可・承認の要否整理、管理者調整、法人向け実務支援

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※ 本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別案件の採択・給付・適法性等を保証するものではありません。最終判断は貴社の責任にてお願いいたします。必要に応じて個別事情を確認のうえ整理します。

【ドローン専門行政書士によるサポート】

レベル3/3.5飛行、建設現場の安全体制構築、夜間・目視外飛行、イベント上空、空撮、揚重ドローン実証支援、補助金(ものづくり補助金)まで幅広く対応しています。

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※ 本サイトの内容は、ドローン関連法令および行政実務を扱う行政書士が執筆・監修しています。法人・自治体向けのWebコンテンツ、提案資料、運用マニュアル等について、法令・運用観点からの監修・レビューのご相談にも対応しています

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