
工場ドローン運用は包括申請だけで足りるか?:矢野事務所
工場敷地内でのドローン活用が進む一方で工場点検や設備確認を目的として、ドローンの活用を検討する企業が増えています。
その際、よく耳にするのが次のような説明です。
「操縦ライセンスがなくても、一定時間の飛行練習とDIPS申請を行えば、工場敷地内での屋外飛行は可能」
この説明は一部は正しいものの、そのまま実務に当てはめると危ういケースが少なくありません。
特に、DID(人口集中地区)に立地する工場で、定期的な点検運用を想定している場合は注意が必要です。
工場ドローン運用で重要になる「説明耐性」や、自社点検における航空法上の基本的な考え方については、
で詳しく解説しています。
このページで分かること
よくある誤解
① 工場敷地内=第三者はいない
実務上、最も多い誤解です。
工場敷地内であっても、
- 別部署の社員
- 協力会社
- 納入業者
- 来訪者
- 警備・受付動線
などが存在し、常に「業務関係者のみ」とは限りません。
航空法上の「第三者」は、敷地内外で決まるものではなく、その業務との関係性によって判断されます。
② 年間包括申請があれば、いつでも飛ばせる
包括申請は、一定条件下での飛行を認める枠組みです。
しかし、
- 飛行場所
- 時間帯
- 作業内容
- 人の動線
が変われば、その都度、条件に合致しているかの判断が必要になります。
包括申請が有効であっても、運用条件が合わなければ、飛行を見送る判断が必要になる場面は少なくありません。
実務で止まりやすいポイント
DIDに立地する工場では、特に次の点が問題になります。
- 敷地境界付近での飛行可否
- 公道・港湾・周辺施設との関係
- 時間帯による人の流れの変化
- 緊急時の立入管理措置の実効性
これらは、申請書類だけでは整理できない論点です。
申請作業と「運用判断」は別物
ドローン運用において、
- DIPS申請
- 飛行許可・承認
- 飛行情報の通知
といった手続き作業と、
- 今回は飛ばしてよいか
- どこまでが許容範囲か
- 外部に相談すべきか
という運用判断は、まったく別のものです。
申請作業を内製化すること自体は可能ですが、運用判断の考え方が整理されていない状態での内製化は、かえってリスクを高めることになります。
申請手順だけでは危険な理由
工場点検などでドローン活用を検討している企業の方から、次のような相談を受けることがあります。
「免許がなくても、一定の練習とDIPS申請、飛行の通知をすれば屋外飛行できると聞いた。申請〜通知のやり方を社内でできるように、手順をレクチャーしてほしい」
この相談のポイントは、申請手続そのものではなく、“運用判断”の前提がまだ整理されていないところにあります。
申請作業ができても、当日の判断が残る
手続きの手順を覚えること自体は可能です。
しかし実務では、当日に次のような条件が変動します。
- 人の動線(作業員・協力会社・来訪者など)
- 飛行区画(敷地境界付近/道路・周辺施設との距離)
- 作業内容(高度・経路・滞空の有無)
- 時間帯(出入りが増える時間、交通量の変化)
これらが変わると、単に「申請が通っているか」ではなく、その日の条件で“飛ばしてよい”と判断できるかが問題になります。
敷地内でも「第三者ゼロ」にはならない
工場敷地内であっても、現場では作業員以外の人が入ってきます。
たとえば、別部署の社員、協力会社、納入業者、来訪者、受付・警備動線などです。
このため、「敷地内だから第三者はいない」と前提してしまうと、運用上の判断が崩れます。
実務では、誰を業務関係者として扱えるか/扱えないかを先に整理しておく必要があります。
結論:手続きの内製化の前に、判断基準の整理が必要
検討段階で重要なのは、申請画面の操作を覚えることよりも、「どの条件なら成立し、どの条件なら見送るか」という判断基準を持つことです。
この整理があると、社内での検討も、導入後の運用も、後戻りが少なくなります。
工場ドローン運用で本当に必要な整理
このように、工場敷地内でのドローン運用を成立させるには、
- 第三者性の線引き
- 飛行可能区画・不可区画の明確化
- 時間帯・動線を踏まえた運用設計
- マニュアル適合性の確認
- 行政説明に耐える判断根拠
といった運用設計の整理が欠かせません。
これは、単なる申請代行や操作レクチャーの範囲を超える領域です。
まとめ
工場ドローン運用の本質は、「申請できるか」ではなく、「自社で安全かつ説明可能な形で運用判断ができるか」にあります。
特にDIDに立地する工場では、申請制度と実際の運用判断を切り分けて考える視点が不可欠です。
検討段階にある企業ほど、「何を内製化し、何を外部に委ねるべきか」を整理しておくことが、結果的に後戻りの少ない導入につながります。
工場におけるドローン活用は、手続きの問題ではなく、運用として成立するかどうかの判断が成否を分けます。
特に検討段階では、「できるか・できないか」ではなく、「どの条件なら成立するのか」という視点で整理することが重要です。
【ドローン専門行政書士によるサポート】
レベル3/3.5飛行、建設現場の安全体制構築、夜間・目視外飛行、イベント上空、空撮、揚重ドローン実証支援、補助金(ものづくり補助金)まで幅広く対応しています。
現場理解 × 法令理解 × 申請実務を組み合わせた実務型サポートを提供しています。
※ 本サイトの内容は、ドローン関連法令および行政実務を扱う行政書士が執筆・監修しています。法人・自治体向けのWebコンテンツ、提案資料、運用マニュアル等について、法令・運用観点からの監修・レビューのご相談にも対応しています
【免責事項】
○当サイトのコンテンツや情報において可能な限り正確な情報を掲載するよう努めておりますが、 誤情報が入り込んだり古くなったりすることもあり必ずしもその内容の正確性および完全性を保証するものではございません。当該情報に基づいて被ったいかなる損害について、一切責任を負うものではございませんのであらかじめご了承ください。
○当サイトから移動された先のホームページは、当サイトが管理、運営するものではございません。移動先サイトで提供される情報の真偽、サービス等につきましても一切の責任も負いませんのでご了承ください。なお、予告なしに内容が変更または廃止される場合がございます。































