
工場ドローン「社内規定がない会社」3つのリスク
近年、工場の屋根・外壁・プラント設備の点検を目的として、ドローンを自社(工場設置者自身)で運用する企業が増えています。
外部委託に比べ、柔軟でコストを抑えられる反面、自社運用では判断と責任がすべて社内に集約されます。
このとき問題になるのが、「社内の運航規定がないまま飛ばしている」ケースです。
飛行許可を取っているだけでは、企業を守るには不十分です。
工場でのドローン運用を考える際、「包括申請で足りるのか」という疑問は非常に多く寄せられます。
ただし、この問題は工場ドローン点検における判断論点の一部にすぎません。
航空法の整理や、自社運用として何を判断基準にすべきかといった全体像については、
工場ドローン点検を自社運用する際の判断基準と法令整理
を前提として読むと理解しやすくなります。
このページで分かること
リスク① 判断の責任が「個人」に集中
社内規定がない状態でドローン点検を行うと、事故やトラブルが発生した際、判断の責任が個人に集中します。
「誰が」「どの基準で」「なぜ飛ばす判断をしたのか」を説明できなければ、組織としての安全管理体制が疑われます。
名目上の運航管理者がいても、判断基準が文書化されていなければ、実質的には現場任せと評価されかねません。
社内規定とは、責任を押し付けるためのものではなく、責任の所在を組織として整理するためのものです。
リスク② 警察・行政対応で説明が詰む
工場でのドローン飛行は、第三者からの通報や警察対応が突然発生する可能性があります。
このとき求められるのは、「許可は取っています」という口頭説明ではありません。
・どの条件で飛行を判断したのか
・中止基準はどうなっているのか
・組織としてどのような安全管理をしているのか
これらをその場で示せなければ、法令違反でなくても「管理不十分」と受け取られます。
社内規定は、警察・行政・監査に対する説明資料としての役割を果たします。
リスク③ 内製化した瞬間に「責任が重くなる」
外部業者に委託していた場合、安全管理や判断の多くは業者側に委ねられていました。
しかし、自社運用に切り替えた瞬間、安全管理義務は全面的に企業側に移ります。
「専門業者に任せていたから分からなかった」という言い訳は通用しません。
内製化とは、コスト削減と引き換えに説明責任を引き受ける選択でもあります。
社内規定は「守るため」ではなく「説明するため」に作る
多くの企業が混同しがちなのが、マニュアルと規定の違いです。
マニュアルは現場で守るためのもの。
一方、社内運航規定は、対外的に説明するための文書です。
なぜその判断をしたのか、なぜその運用が安全と言えるのか。
これを後から第三者に説明できる形にすることが、社内規定の本質です。
【補足】港湾・臨海部の工場ではリスクが一段上がる
港湾や臨海部に立地する工場では、管理者や関係機関が増え、説明すべき相手も多くなります。
このような立地では、「想定していたかどうか」がより厳しく問われます。
だからこそ、社内規定による事前整理がより重要になります。
まとめ:最大のリスクは「事故」ではない
社内規定がない工場ドローン運用の最大のリスクは、事故そのものではありません。
事故や通報が起きた後に、説明できないこと。
これが企業にとって致命的なリスクになります。
工場ドローン運用は、技術の問題ではなく、組織としての設計の問題です。
























