
工場ドローン点検を自社運用する際の基準と法令整理:矢野事務所
近年、工場の屋根・外壁・プラント設備などの点検において、外部委託ではなく自社でドローンを運用する企業が増えています。
足場設置や高所作業を減らせるドローン点検は、安全性・効率性の面で大きなメリットがあります。
一方で、自社運用には法令対応と説明責任が伴います。
【法人・自治体のご担当者様向け】
本記事は、工場・公共施設・インフラ設備の点検目的でドローンを自社(自庁)運用する際に、「どこを判断基準にすべきか」「何を整理しておくべきか」を全体像として把握するための基準記事です。
工場ドローン運用で重要なのは、単に飛ばせるかどうかではありません。
事故・通報・監査が入った際に、なぜその運用を適法・安全と判断したのかを説明できる状態、いわゆる「説明耐性」が求められます。
このページで分かること
工場ドローン点検は「私有地」でも航空法の対象
「自社の工場敷地内だから航空法は関係ない」という誤解は非常に多く見られます。
航空法は土地の所有権ではなく、空域の公共性を前提に規制されています。
工場敷地内であっても、屋外を飛行する限り航空法の対象です。
判断の起点① 人口集中地区(DID)と特定飛行
多くの工場は都市部や準工業地域に立地しており、航空法上の人口集中地区(DID)に該当するケースが少なくありません。
DID内で屋外飛行を行う場合、飛行主体が誰であっても国土交通省の飛行許可・承認が必要です。
また、工場点検では設備・建屋に接近するため、「人又は物件から30m以内の飛行」に該当しやすく、特定飛行として整理する必要があります。
なお、工場ドローン運用において「包括申請だけで足りるのか」という点については、
工場ドローン運用は包括申請だけで足りるか?
で、判断の考え方を整理しています。
判断の起点② 飛行計画の通報(DIPS2.0)
許可・承認を取得していても、飛行のたびに飛行計画の通報を行う義務があります。
工場点検は定常業務になりやすく、通報が形骸化しがちですが、通報履歴は組織として法令を遵守していたかを示す重要な証拠になります。
判断の起点③ 社内運航規定の整備
自社でドローンを運用する場合、個人の判断に依存しない社内運航規定の整備が不可欠です。
運航規定は、現場用マニュアルではなく、対外的に説明するための文書としての意味を持ちます。
中止基準、責任分担、緊急時対応をあらかじめ文章化しておくことで、事故・通報時の説明耐性が大きく向上します。
実際に、社内の運航規定を整備しないまま工場ドローン点検を行っている企業も少なくありません。この点については、
工場ドローン点検で「社内規定がない会社」3つのリスク
で、実務上の問題点を具体的に整理しています。
【高難度ケース】港湾・臨海部に立地する工場
港湾・臨海部に立地する工場では、管理者や関係機関が増え、説明すべき相手も多くなります。
このような立地では、「想定していたかどうか」がより厳しく問われるため、基準となる社内整理がより重要になります。
基準記事としてのまとめ
工場ドローン点検の自社運用では、次の視点をセットで整理することが重要です。
- DID・特定飛行の該当性
- 飛行許可と飛行計画通報
- 社内運航規定と判断基準
- 説明耐性という考え方
工場ドローン運用は、技術の問題ではなく、組織としての判断設計の問題です。
行政書士が基準整理から支援します
工場ドローン点検における航空法整理、社内運航規定の作成、説明資料の整備まで実務ベースでサポートします。
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