
【実録】ドローン申請足止め|知床の交通事情:矢野事務所
【北海道の高高度申請】5箇所のご依頼。調べると2箇所は包括で可。現地の許可取りも不要の旨をお伝えすると安堵され、さあ空域調整や入林届を…となった矢先、目的地にタクシー会社が1社しかなく既に予約満杯。現地入りの目処がつきません。申請は一時待機。有名観光地知床の思わぬ実情を知りました。
— drone高難度申請 矢野事務所 (@drone_nippon) August 2, 2025
「北海道、知床での高高度ドローン撮影を申請したい」
その言葉だけで、壮大な映像が目に浮かぶような、非常にやりがいのあるご依頼をいただきました。
クライアント様のご依頼は、旅先の道東エリア5箇所での高高度飛行許可。
当事務所で直ちに調査を開始し、5箇所のうち2箇所は包括申請で対応可能、かつ現地の入林届も不要という、幸先の良いスタートを切りました。
「これで申請手続きに集中できる」と、クライアント様も私も安堵した矢先のことでした。
立ちはだかったのは、航空法でも条例でもありません。
すべての計画を一時停止させた、全く予想外の「壁」の正体とは。
これは、ドローン事業に携わるすべての方に共有したい、現場からの教訓です。
このページで分かること
順風満帆のはずだった申請準備
飛行場所の精査も終わり、空域調整や書類作成といった専門業務に集中できる環境が整っていました。
しかし、その一方で、現地でのドローン運用の責任者であるクライアント様は深刻な問題に直面していました。
現地への「足」がない - クライアント様が直面した現実
問題は、申請地の一つである「羅臼町」での移動手段でした。
撮影機材を運ぶため、公共交通機関ではなく、柔軟に動ける車両の手配は必須です。
しかし、クライアント様が各所に問い合わせた結果、次々と厳しい現実が明らかになります。
- 【タクシー】町に1社のみ、予約満杯
まず羅臼町観光協会に確認したところ、町内のタクシー会社はたった1社。そして、その会社はすでに他の予約で完全に埋まっていました。 - 【配車サービス】高額、または地域外
次に全国規模の配車サービスに期待をかけます。しかし「たびの足」での見積もりは、現実的とは言えない高額なもの。さらに「ベルトラ」からは、無情にも「サービス地域外」として予約がキャンセルされてしまいました。 - 【観光タクシー】遠すぎて手配不可
最後の望みをかけ、羅臼町役場に相談するも、「観光タクシーは隣の斜里町方面にしかなく、距離が遠すぎて羅臼までは手配できない」との回答。
万策尽きたかと思われました。
世界自然遺産として名高い知床。
その玄関口である羅臼町の、これが交通インフラのリアルでした。
どんなに完璧な飛行計画を立て、許可を取得しても、現場にたどり着けなければ始まりません。
申請業務の一時中断を余儀なくされました。
突破口を発見 – 諦めない情報収集の先に
しかし、クライアント様は諦めませんでした。
役場から得た「商船三井フェリーとの連携バス」というわずかな情報を頼りに、粘り強く調査を続行。
そして、ついに一筋の光が差し込みます。
クライアント様が商船三井のクルーズデスクに直接電話で確認したところ、
- にっぽん丸の寄港に合わせたオプショナルツアーバスが存在する。
- ツアーの詳細は7月中旬頃に、阪急交通社経由で郵送される。
- 昨年の実績では、目的地である「羅臼国後展望台」や「知床峠」を巡るコースも存在した。
という、極めて有力な情報を掴んだのです。
本年度のコースはまだ未確定ながらも、これで現地入りの目処が立ちました。
これで、中断していた許可申請を、再び前に進めることができるようになったのです。
この事例から学べること
今回の出来事は、ドローンビジネスには、法務知識だけではない視点が不可欠であることを教えてくれます。
- 「許可取得」はスタートラインに過ぎない
法律や手続きのクリアは当然のこと。その先の、現地の交通、宿泊、天候といったロジスティクス計画こそが、プロジェクトの成否を分けます。 - 「有名観光地」という先入観を捨てる
知名度とインフラの利便性は必ずしも一致しません。特に地方での計画は、常に「もしも」を想定し、裏付けを取る慎重さが求められます。 - 最後まで諦めない「現場力」
今回の突破口は、クライアント様ご自身の粘り強い情報収集によって開かれました。この「現場力」こそが、計画を絵に描いた餅で終わらせないための、最終的な推進力となります。
まとめ
私たち行政書士の使命は、許可書を右から左へとお渡しすることだけではなく、時としてクライアントが直面するであろう、法務の枠を超えた「リアルな課題」まで想像力を働かせ、共に悩み、解決の道を探すことも重要だと感じました。
貴重なご経験を共有くださったクライアント様に心より感謝申し上げます。
地方でのドローン飛行には、時に私たちの想像を超える落とし穴が潜んでいます。
計画段階から専門家が伴走することで、こうしたリスクを事前に洗い出し、万が一の事態にも共に立ち向かうことが可能です。
どんな些細なことでも、お気軽にご相談ください。
【ドローン専門行政書士によるサポート】
レベル3/3.5飛行、建設現場の安全体制構築、夜間・目視外飛行、イベント上空、空撮、揚重ドローン実証支援、補助金(ものづくり補助金)まで幅広く対応しています。
現場理解 × 法令理解 × 申請実務を組み合わせた実務型サポートを提供しています。
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