
ドローンFPVスクール開業の鍵は主任無線従事者:矢野事務所
【FPV専門教育機関】が開校され業務用開局申請のご依頼です。まずはVTX等4機申請と従事者選任届ですが、並行して陸特1を取得し主任無線従事者制度を活用します。受講生の無免許訓練が可となり事業運営にうってつけです。因みにプロゲーマー講師FPV専門は世界初だそうです。https://t.co/pCATbRMTLK
— drone高難度申請 矢野事務所 (@drone_nippon) September 20, 2025
FPV(First Person View)ドローンの人気が、趣味の世界を越えて産業分野にまで急速に拡大しています。
それに伴い、プロのFPVパイロットを育成する専門の教育機関、いわゆる「FPVドローンスクール」の設立を検討する事業者様が増えてきました。
先日、まさにそのような事業者様から、業務用無線局の開局申請に関するご依頼がありました。
世界初となる「プロゲーマーが講師を務めるFPV専門教育機関」の立ち上げです。
この案件を通じて、FPVスクールが事業として成功するための、法制度上の重要な鍵が見えてきました。
それは、「主任無線従事者制度」をいかに活用するか、という点です。
今回は、ドローンスクール事業の適法な運営を可能にする、この制度について詳しく解説します。
このページで分かること
アマチュア無線との違い
まず、事業としてFPVドローンを扱う上で大前提となるのが、無線局の種別です。
FPVドローンで一般的に使用される5.7GHz帯などの映像伝送装置(VTX)は、無線設備にあたります。
個人の趣味(アマチュア業務)で利用する場合は、第四級アマチュア無線技士以上の資格と、アマチュア無線局の免許が必要です。
しかし、事業目的(ドローンの操縦訓練、空撮業務など)で電波を利用する場合、アマチュア無線は絶対に使用できません。
事業として行うには、法人の業務で利用するための「業務用無線局」の免許が必須となります。
今回のスクール様からのご依頼が、まさにこの業務用無線局の開局申請です。
解決策は主任無線従事者
業務用無線局を開局すると、原則としてその無線設備を操作するスタッフ全員が、所定の無線従事者資格(陸上特殊無線技士など)を持つ必要があります。
ここでスクール事業者は大きな壁にぶつかります。
「入校してくる受講生は、当然ながら無線従事者の資格を持っていない。どうすれば合法的に操縦訓練ができるのか?」
この課題を解決する極めて有効な手段が、「主任無線従事者制度」です。
制度の概要
主任無線従事者制度とは、電波法第39条に定められた制度です。
簡単に言えば、
「十分な資格と経験を持つ主任無線従事者を選任し、その監督下であれば、資格を持たない他のスタッフ(この場合は受講生)も無線設備を操作できる」
というものです。
これにより、受講生一人ひとりが無線従事者免許を取得していなくても、適法にFPVドローンの操縦訓練を行う環境が整います。
主任者の資格と役割
主任無線従事者になるためには、相応の資格が必要です。
第一級陸上特殊無線技士(陸特1級)の資格がそれです。
この資格の取得方法については、後ほど詳しく解説します。
この主任無線従事者に選任された者は、ただその場にいるだけではいけません。
その職務は重要であり、具体的には以下のような監督・管理業務を担います。
- 無線設備の適正な運用の監督
- 無資格者が行う無線操作の監督
- 無線従事者の訓練計画の作成・実施
- 無線検査結果の記録と保管
これらの責務を果たすことで、無線局全体の適法な運用を担保することになります。
陸特1級の取得方法
主任無線従事者の要件となる陸特1級ですが、取得するには主に二つの方法があります。
- 国家試験を受験する
公益財団法人日本無線協会が実施する国家試験に合格する方法です。試験科目は「無線工学」と「法規」の二つで、マークシート形式で行われます。独学で知識を習得し、自分のペースで受験できるのがメリットです。 - 養成課程を修了する
総務大臣の認定を受けた機関が実施する「養成課程」を受講し、修了試験に合格する方法です。数日間の講習で集中的に学ぶことができ、修了試験の合格率も一般的に高いとされています。費用はかかりますが、短期間で確実に資格を取得したい方に向いています。
どちらの方法を選ぶかは、ご自身の知識レベルや学習スタイルによって決めるとよいでしょう。
スクール運営の具体例
今回の案件を例に、事業運営の具体的な流れを見ていきましょう。
無免許訓練の実現
まず、スクールが事業者として業務用無線局の免許を取得します。
次に、陸特1級の資格を持つ講師を主任無線従事者として選任し、管轄の総合通信局へ届け出ます。
この体制が整うことで、授業中は主任無線従事者である講師の監督のもと、免許を持たない受講生が合法的にVTXを搭載したFPVドローンを操縦できるようになります。
まさに、ドローンスクール事業の運営にうってつけの制度と言えるでしょう。
開局申請の流れ
私が行政書士として受任したのは、この体制を構築するための開局申請のフェーズ(2、3)ですが、全体の大まかな流れは以下のようになります。
- 無線機(VTX)の準備: 日本国内で合法的に使用できる技術基準適合証明(技適)の認証を受けたVTXを用意します。
- 業務用無線局の免許申請: 無線機の情報などを記載した申請書を作成し、総合通信局へ提出します。
- 無線従事者の選任: 無線局で操作を行うスタッフ(講師など)の選任届を提出します。
- 主任無線従事者の選任: 主任無線従事者の要件を満たす者を選任し、その選任届を提出します。
これらの手続きを並行して、かつ計画的に進めることで、スムーズなスクール開校が実現します。
事業者が得る大きな利点
この制度を正しく活用することで、事業者は計り知れないメリットを享受できます。
法令遵守と信頼性
何よりもまず、法令を完全に遵守したクリーンな事業運営が可能になります。これは、受講生や取引先からの信頼を獲得する上で最も重要な基盤となります。
円滑な事業運営
受講生に「まず無線免許を取ってきてください」と言う必要がありません。スクールのカリキュラム内で、ゼロからFPV操縦技術の教育をスタートできるため、受講生の募集から育成までが非常にスムーズに進みます。
優れた拡張性
将来的に訓練用のドローンを増やしたり、指導する講師を増やしたりする場合も、主任無線従事者の監督下という基本体制を維持することで、柔軟に対応できます。事業のスケールアップがしやすい点も大きな魅力です。
まとめ
FPVドローンスクールの開業や、その他FPVを活用した事業を展開する上で、電波法の規制は避けて通れない重要なテーマです。
一見、複雑でハードルが高く感じられるかもしれませんが、「主任無線従事者制度」のような仕組みを正しく理解し活用することで、道は拓けます。
むしろ、これらの法制度を味方につけることが、他社との差別化を図り、事業を成功に導くための強力な武器となるのです。
FPV関連事業の立ち上げや、無線局の開局手続きでお悩みの際は、ぜひ一度、専門家にご相談ください。
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